
プロダクト成長を実現する『UXライティング』とは?byユニーリサーチ イベントレポート
商品やサービスを開発する際、特徴や機能を説明する言葉は常に重要な存在ですが、 意図を正しく伝えきれず成果に繋がらないケースも多いのではないでしょうか。そこで今回は株式会社PaidyのUXライターで『秒で伝わる文章術』の著者である宮崎直人さんをお招きし、イベントを開催しました。プロダクトづくりで重要なUXライティングの手法について、行動経済学など様々な視点に基づいて幅広くご紹介します。
なお、以下から実際のイベント動画もご視聴いただけます。一部記事内で取り上げきれなかった部分もございますので、ぜひ合わせてご覧ください。
スピーカー 宮崎 直人氏 株式会社Paidy UXライター/コピーライター
UXライティングとは?

ー宮崎氏 UXライティングは比較的新しい言葉で人によって定義が異なるのですが、私の中では「ユーザーの行動を言葉でデザインすること」と定義しています。最近ではUXデザインという言葉をよく耳にするようになったかと思いますが、そちらをビジュアル・視覚的要素とした場合、UXライティングは主に言葉で体験をデザインするということになります。
UXライティングの範囲は、図にある通りボタン文言からヘルプ文言(FAQ)に至る「ユーザーとの接点となるほぼすべての言葉を考える」ことが該当します。
UXライティングを実践する上で一番大切なこと

ー宮崎氏 UXライティングを理解する上で、これだけは覚えていただきたい点は、「ユーザーはテキストを読まない」ということです。
これは研究等でも証明されており、代表的な研究として、上図のニールセン博士のAlertbox『ユーザーはいかにテキストを読まないか』(2008)があります。単語数(英単語)に対して、ユーザーがどの程度の文章を読みすすめるかという研究ですが、1,200語程度だと20%程度の単語しか読まれていないということが明らかになっています。
また、スマホが普及した現代ではこの傾向はより無視できなくなっています。昭和大学の研究チームによると、紙の書籍とスマホで電子書籍を比較した場合、電子書籍では読解力が低下したという結果が示されています。
他にも似たような事例として、テキサス大学の研究では、スマホが手元にあるだけで人間の集中力が低下することも指摘されています。
ご紹介した結果が100%すべて正しいとは言い切れませんが、ユーザーの読解力や集中力が低下しているであろうことを理解してUXライティングに取り組むのが大事だと思います。
ユーザーに響くUXライティングのポイント2点
ー宮崎氏 お伝えした通りユーザーはテキストを読まず、もはや「文章を見ている」という状態です。それを前提として我々にできることは主に2点です。
1.テキストは一文字でも短く書く

ー宮崎氏 人間が眼球を動かさずに知覚できる文字数は9〜13文字とされています。加えて、人間が文章を読む時間のうち80%は眼球を動かすことに使っていて、文章を読解する処理にはたった20%しか使っていないとも言われています。そのため、とにかく一文字でも短く書くのが大切です。
UXライティングのあらゆる場面で短く書くことの効果はありますが例えばバナーの場合、上図にある「A.コピーが長いバナー」と「 B.コピーが短いバナー」をABテストする場合は、Bのクリック率が高くなることが多いです。
一見、たくさん情報を入れたほうが読み手に興味を持ってもらえるようにも思えますが、長すぎるバナーはそもそもユーザーに読んでもらえません。一方、短い文章は読もうとせずとも一瞬で読めてしまうため、ユーザーに自然と情報を届けることができます。
文章を短く書く方法

ー宮崎氏 ライティングは彫刻に近いものです。まず土台となる形を作った後に、どんどん削っていくことで美しい文章が浮かび上がってきます。具体的には、言いたいことを絞ったり、一文を短くしたり、言い換えを考えたり、が考えられます。
詳細な方法論をすべて取り上げることは難しいため、宣伝で恐縮ですが書籍を参考にしていただければ嬉しいです。
>秒で伝わる文章術/宮崎 直人 (著)/フォレスト出版 (出版)
2.漢字・ひらがな・カタカナ特性を理解し利用する
ー宮崎氏 人間はシンプルで簡単な情報を受け取ると親しみや信頼を覚え、好意的な感情を抱くとされています。みなさんも漢字が多い文章だと「難しそうだな」といったネガティブな感情を持ったりすると思います。
プロダクトに関わるすべての文章は、ユーザーに好意を持ってもらうために書いています。UXライティングではユーザーに優しく、わかりやすい親切な文章構成を心がけましょう。
ひらがな7割、漢字3割
ー宮崎氏 一般的に文章の7割がひらがな・3割が漢字のバランスが人間にとって読みやすい構成だと言われています。事実、SNSでは、ひらがなが70%程度含まれる投稿はエンゲージメント率が高いという調査結果もあり、よりユーザーに情報が届いていることが窺い知れます。
ただ、漢字をひらがなで書くだけでよいというわけでない点にも注意が必要です。上図では、ひらがなよりも漢字の方が文章を瞬時に理解できると思います。このように文章の前後関係を考えた際に、必ずしもひらがなにすればよいというわけではない場合もあります。

都度どのパターンを用いるべきかを、適切に判断するのが大切です。
まとめ
ー宮崎氏 文章を書く、コピーライティングというと、どうしても美しさやユニークさが重視されてしまいがちですが、あくまでもそれらは手段にすぎません。UXライティングによって、我々がやるべきことは言葉でいかに課題を解決するかです。ぜひ、この点を意識しながらサービスに関わるテキストを考えてもらえるとよい結果に繋がるんじゃないかなと思います。
なお本記事では都合上、紹介にあった行動経済学の詳細やPaidy社および各社の事例について取り上げきれていません。以下動画からより詳細をご覧いただけますので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
また、UXデザインやUXリサーチにおけるユーザーインタビューやユーザビリティテストの実施を検討されている方は、国内最大級のダイレクトリサーチサービス「ユニーリサーチ」をご検討ください。従来の1/10以下のコストで、最短当日より調査実施が可能です。サービス詳細や利用事例は以下からご覧ください。
