定量調査では見えない顧客のストーリーを掴む 秘匿性とスピード感を両立するユニーリサーチは新規事業に不可欠

株式会社アイセイ薬局は、全国400店舗以上の調剤薬局を展開し、地域医療への貢献を続けています。同社は2023年より事業企画部主導で本格的に新規事業創出に取り組み、個人やスタートアップ企業との共創プログラムを開始。現在は寄せられたおよそ300件のアイデアから厳選された複数の事業案を推進しており、ユニーリサーチも事業化に向けて活用されています。
今回、ユニーリサーチ導入の背景やその活用方法について、事業企画部 部長の堀 浩之さんと、新規事業チームの栗原 将実さん、荒 絵里子さんにお話を伺いました。
※本記事の内容は取材日2025年8月26日時点のものとなっています
超高齢社会を迎える調剤薬局業界 激しい変化に対応するため新事業を創出
― 新規事業への取り組みについて教えてください。
堀さん: 当社は調剤事業を中心に成長を続け、現在は全国400店舗以上の調剤薬局を展開しています。
しかし、超高齢社会を背景に、弊社を取り巻く環境は年々厳しくなり、今後もこの傾向は続く見通しです。売上高の多くを調剤事業が占める当社において、2本目・3本目の柱となる事業創出は必要不可欠となっています。
事業企画部では約20名のメンバーが、プライベートブランドの製品開発、ECモール運営、漢方相談サービスなどのさまざまな事業を担当していますが、2023年から本格的に新規事業創出にも取り組み始めました。
スピード感を持って事業創出を推進するため、個人やスタートアップ企業など社外から幅広くアイデアを募ったところ、およそ300件が集まりました。役員プレゼンを含む複数回の選考を経て7案まで絞り込み、その後の調査を経て現在複数案の事業開発を進めています。栗原と荒の2名が専任メンバーとして、それぞれ認知症領域と運動領域の事業開発を担当しています。

「インタビューPro」は、秘匿性とスピード感を求められる新規事業創出にマッチ
― ユニーリサーチを導入されたきっかけについて教えてください。
堀さん: 事業案を絞り込む段階でリサーチ会社に依頼し、定量調査と定性調査を実施しました。調査内容が悪かったわけではありません。しかし、コスト面やスピード面で「これを何回も繰り返すのは難しい...」と感じていました。
そこで、対象者の方に直接インタビューができる方法を探していたところ、最初に思い当たったのがユニーリサーチでした。他社比較も行いましたが、「明らかに我々の願いが叶うサービスだ」と判断し、導入を決めました。選定時は第一に導入企業からの評判やクチコミ、実績を重視しました。
対象者条件を細かく設定できること、募集可能な人数が多いこと、そして匿名で募集をかけられることは、秘匿性が高くスピード感も求められる新規事業にマッチしていると考え「インタビューPro」のプランを利用しています。
特徴的な行動パターンを発見 ソリューションの方向性を見出せた
― 栗原さんは認知症領域の事業開発をご担当されているとのことですが、どのようにユニーリサーチを活用されたのでしょうか?実際に活用してみていかがでしたか?
栗原さん: 認知症領域の課題はある程度特定できていたものの、ソリューション策定に非常に苦労していました。
そこでユニーリサーチを活用し、ご家族の物忘れが気になる方々にインタビューを行いました。生活様式や消費様式をお聞きすることで、「このソリューションなら!」という初期仮説を導き出すことができました。
特にお金の使い方について重要な発見がありました。複数の方にインタビューを重ねる中で、とある属性の方々に特徴的な行動パターンが見て取れました。これはチーム内でも非常に大きな発見で、今に至るまで大切にしています。

定量調査では見えない、裏側の背景をユニーリサーチで深掘り
― ありがとうございます。荒さんは運動領域の事業をご担当されていますが、この分野での活用はいかがですか?
荒さん: たとえばコンセプトシートを用いて、私たちが想定している事業の姿を実際にお見せし、その場でどんな反応をいただけるかを確認しています。
ユニーリサーチ導入以前にも外部のリサーチ会社を活用して定量調査を行い、顧客像の解像度はある程度高まっていました。しかし新たな仮説の検証が必要になった時、自分たちの手で繰り返し検証できる環境が必要だと考え、ユニーリサーチを活用するようになりました。
― 定量調査と定性調査の違いについて、どのように感じられましたか?
荒さん: 定量調査では大まかな傾向や好き嫌い、優先順位などは分かりますが、その背景にあるストーリーは見えません。根底にある価値観や、行動の理由などは、定性調査でなければ得られない気づきだと思います。実際に直接お話を伺いし、顧客の声を聞くことの大切さを実感しました。
募集から謝礼の支払いまでストレスフリー 同じ方に何度もインタビューできる点も魅力
― ユニーリサーチを実際にご利用いただいて、特に気に入っているポイントはありますか?
栗原さん: 多くの方からご応募いただける点が大きな魅力であり、インタビューまでの進行や謝礼の支払いまでもストレスがなく、とても助かっています。
また、認知症のようなセンシティブなテーマは、知人だと聞きにくい部分もありますが、割り切ってインタビューできるので助かっています。インタビュー中も非常にスムーズで、皆さん積極的にお話しくださいました。認知症領域は課題感が強い分野だからこそ、問いかけるとさまざまな思いが溢れてくるのだと感じています。
荒さん: 画面の操作性がとても良く、迷わず使えています。最初に丁寧にレクチャーいただいたのも助かりましたが、おそらく初めてでも直感的に操作できたと感じます。
堀さん: 同じ方にもう一度話を聞きたい時に、再度アプローチできるのが便利ですね。私たちが想定するN1に近い方であれば、事業案を変更した際に改めて話を伺えるのは大きな強みだと思います。
― 仮にユニーリサーチを導入していなかったら、どうされていたと思いますか?
堀さん: 新規事業において、定性調査を実施しない選択肢はもはやないと思います。デスクリサーチや定量調査だけでは不確かな部分が残り、「当てずっぽう」な事業開発となるリスクがあります。
そこで、定性調査を実施するにはリサーチ会社に依頼するか、知人に頼るかといった選択肢になりますが、費用対効果やスピードを考えると、やはりユニーリサーチを導入して良かったと感じています。
健康でハッピーな世界の実現に向けて、"熱狂の火"を絶やさずに事業創出を目指す
― ありがとうございます。最後に、今後の展望についてみなさまからお願いします!
栗原さん: インタビューを重ねる中で、本当に深い悩みを抱えていらっしゃる方々の声に触れることができました。その課題感を正しく受け止め、解決に向けて形にできるよう挑戦を続けていきたいです。
荒さん: 当社のメイン事業は調剤薬局として患者様の健康を支えることですが、それはお薬をお渡しするだけにとどまりません。日々の暮らしに寄り添い、予防や健康づくりの面からもサポートしていきたいと考えています。世の中が、健康でハッピーでいられるようなサービスを実現できたらと思っています。
堀さん: 調剤薬局業界は慎重さが求められる一方で、新しい挑戦にも応えていかなければなりません。簡単な道のりではありませんが、私は前向きな気持ちで「熱狂」をもって取り組みたいと思っています。強いモチベーションの中からこそ新しい事業は生まれるはずです。その火を絶やすことなく、皆さまに自信をもって届けられる事業を作り上げたいですね。
