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導入事例

グローバル製薬企業が挑む新規事業開発 患者さんのリアルな姿を把握し、ニーズ検証もクイックに

グローバル製薬企業が挑む新規事業開発 患者さんのリアルな姿を把握し、ニーズ検証もクイックに
アステラス製薬株式会社 服部/梶田/浅野
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アステラス製薬は、世界70カ国以上でビジネスを展開する製薬企業です。「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」というビジョン実現に向け、アンメットメディカルニーズ(満たされていない医療ニーズ)の高い疾患分野における医薬品創出にグローバルで取り組んでいます。

また同社では、医療用医薬品の創出に留まらず、ペイシェントジャーニー(予防、診断、治療および予後管理を含む医療シーン)全体で患者さんに「価値」を届けるため、Rx+®(アールエックスプラス)事業を展開しています。Rx+事業では、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベースに、異分野の技術や知見も融合することで、医薬品の枠を超えた新たなヘルスケアソリューションの創出に挑戦しています。

今回は、新規事業創出に向けた仮説構築や業界特性の理解のためにユニーリサーチをご利用いただいているRx+事業創成部の服部さん、浅野さん、梶田さんに活用方法や気に入っているポイントなどをお伺いしました。
※本記事の内容は取材日2024年2月6日時点のものとなっています

世界70カ国以上で展開する製薬企業が挑む「医薬品の枠を超えたヘルスケアソリューションの創出」

Rx+事業創成部 Rx+事業創成部の服部さん(左)、梶田さん(中央)、浅野さん(右)

― 御社事業とRx+事業創成部について教えてください。

服部さん: アステラス製薬は、医療用医薬品を専門とする製薬会社です。本社のある日本だけでなく、欧米やアジアにも研究開発拠点や生産拠点を置き、世界70カ国以上で事業を展開しています。最先端のバイオロジーやモダリティ/テクノロジーの組み合わせを駆使することで、アンメットメディカルニーズ(満たされていない医療ニーズ)の高い疾患分野にアプローチし、革新的な医薬品の創出に取り組んでいます。

また、当社では「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」というVISIONの下、医療用医薬品(Rx)事業で培った経験を活かし、病気の診断、予防、治療および予後管理を含むヘルスケア全般で患者さんに「価値」を届けるRx+事業を推進しています。

2018年4月にRx+事業創成部が発足。欧米のメンバーも含めたグローバル横断での組織構成ですね。様々なプロジェクトがありますがそれぞれ医薬品以外での新規事業の実現に取り組んでいます。

浅野さん: Rx+事業創成部が目指すのは、「科学的根拠に基づくヘルスケアソリューションを通じて、人々が心身ともに健康で自分らしく生きることができる世界」です。個人データを活用して、病気の発症を予防したり、進行を遅らせたりすることや、現在の治療へのアクセスが限られている方々の選択肢を拡大すること、身体的・感覚的機能を高めることで、活動的な生活をサポートすること等に取り組んでいます。

当社にとって新規事業であるRx+事業を創出する上で、製薬会社ならではのナレッジや専門性を持って貢献したいと考えています。また部内では様々なプロジェクトを進行していますが、異分野の技術や知見との融合を重視しています。コラボレーションの一例としては、デジタル技術に強みを持つ米国パートナーと協業し、糖尿病の治療用アプリ「BlueStar®」の日本やアジア地域での開発と商業化を進めています。

― ありがとうございます。Rx+事業は、既存の製薬事業とはビジネスモデルが大きく異なりますよね。

梶田さん: そうですね。製薬事業は発売までに非常に多くの時間とコストがかかるため、発売後のピボットはない世界です。そのため発売までにマーケットリサーチも、キーメッセージの構築も完璧にしておくことが重要です。私自身、「準備を万全に整えてからスタートする」ということが当たり前だと思っていました。しかし、Rx+事業では「走りながら考える」ことができます。配属当初、「発売前にお金をかけてリサーチするより、まずはプロダクトを作って反応を見よう」と言われたのは衝撃でした。考え方が全然違いますよね。

また、医療用医薬品には治療が必要な人に届く道筋が、国の制度によって基本的に決められています。しかしRx+事業では、どんなニーズにフィットさせ、どう届けるべきか、どうしたら選んでもらえるのかと、患者さんをより深く理解した上でビジネスを考える必要があるので、その点も既存事業とは異なると思います。

準備に時間をかけず手軽な調査が可能 仮説構築やペルソナの深堀り、他業界の理解にも活用

― ユニーリサーチ導入のきっかけを教えてください。

服部さん: 当部ではプロジェクト検討段階における定量・定性の調査に力を入れてきました。しかし、調査会社へ委託する調査は契約や設計に時間がかかるため、頻繁に異なる仮説を確認すべき段階においては、不向きであると感じていました。もっとクイックに調査できるものはないかと検討していたところ、ユニーリサーチに出会いました。

ユニーリサーチは、企業での利用に適したサービスだと思います。導入にあたっては、個人情報はもちろん、センシティブな内容が含まれる録画データをどう取り扱うかなど、社内ルールを確立しなければなりません。その際には社内の法務部門等との調整が必要となりますが、懸念となりそうなポイントは、サービスサイトや経験豊富なユニーリサーチのご担当者からの説明で事前にクリアになっていたので、とても進めやすかったです。

― 具体的に、ユニーリサーチをどのようにお使いいただいているのでしょうか?

服部さん: 当社では、「ペイシェント・セントリシティ(患者さんの視点を取り入れた医療・ケア)」の考え方を重視しており、患者さんや患者団体の方々とのネットワーキングを担当する専門部署もあります。患者さん視点を取り入れることは既に馴染みのあるカルチャーなので、新規事業においても「実際に困っている方に聞くのが一番である」というのは、自然な考え方でした。ユニーリサーチは新しいアイディアをビジネスに繋げるためのニーズ探しに使っています。立てた仮説をユーザーインタビューで検証してみる、といった流れですね。

また当社は製薬会社なので、医師など対象分野のオピニオンリーダーの話を聞く機会は多く、これからもそれは欠かせません。しかし、医薬品の枠を超えたヘルスケアソリューションを提供するためには、どんな課題があるのかを多面的に知る必要があります。そこでユニーリサーチでは、病気に罹った経験のある方やそのご家族等に話を聞いています。また様々な地域や規模の病院に勤務されている看護師や理学療法士の方など、課題に関わるさまざまな環境にいる方の話も聞くことができています。

梶田さん: 私は主にコマーシャル戦略を担当しているので、ペルソナの深堀りや、ソリューションコンセプトのイメージづくり、ブランディングの参考とするために使っています。今後は、プロトタイプ検証も行ってみたいと思います。

浅野さん: 仮説構築に向けた業界特性の理解に使うこともあります。特に助かるのは、ヘルスケア以外の領域の方にもクイックに話を聞けること。社内の機能だけでは接点を持つのが難しい業界・業種もあるので、ユニーリサーチを有効活用しています。

定量調査で見えなかったリアルな患者さんの姿を把握し、対象市場の変更を決定

梶田様1

― ユニーリサーチでのユーザーインタビュー実施を経て、どんな変化や効果を得られましたか?

梶田さん: 想定される市場において、本当にニーズがあるかの検証を実施したことがあります。定量調査の結果からは、購入いただけそうな属性も整理されていたのですが、具体的な患者さん像が見えず、ユニーリサーチで対象属性にフィットする方に話を聞きました。

当初は5人に聞く予定だったのですが、3人に聞いたところで「なにかが違う」と気づきました。仮説の一部が違うと考え、その部分を変えて再度聞いてみてもハマらず、「この市場は違うのだ」とクイックに判断できました。それまでは半年くらい「この市場で売れるのだろうか」と確信のないまま話をしていたのですが、生の声を聞き、対象市場の変更を決めました。

定量調査では、前提条件の確認を充分行うことが難しい状況の中で「この製品を購入したいと思いますか?」という質問をすることが多いと思うのですが、実際の患者さんはさまざまな文脈(生活環境)におかれています。周辺情報の話も併せて聞くとリアルな姿が見えてきて、プロダクトの優先順位が高くないことがわかりました。

浅野さん: 普段接する機会のあまりない業界の理解を図る必要があった中、「業界の中の人からすれば当然、しかし外から見たらわからない」という発見が印象的でした。大事な部分は外からでは見えにくいですが、インタビューを通して、短い期間で解像度を上げることができたと思います。

服部さん: 私は、病院内での意思決定プロセスについてお話を聞いた際に、想像以上に病院によってさまざまであることがわかりました。どう販売し、どこに刺さるものを作れば良いか考えるにあたって、とても有用でした。

また一人ひとりの、さまざまなお困りごとを聞くからこそ、「こんなにも困っている方がいるのだ」という実感が湧き、なんとか解決したいという強い思いにつながりました。ヘルスケア領域で困っている人を一人でもなくす、そういう世界に貢献したい。相手の顔が見えたことで、その思いは強くなりました。

手軽に聞けるので、次のインタビューまでの軌道修正が柔軟 ユーザーフレンドリーなUI/UXも使いやすい

― ユニーリサーチで気に入っているポイントについて教えてください!

梶田さん: 状況に応じて、フレキシブルにユーザーインタビューをできるのは良いですね。まず3人に聞いて、違ったら募集条件を変えてみようとか、聞き方を変えようといった軌道修正がすぐにできます。欲しいインサイトを得られるかわからないけれど、とりあえず試しにユーザーインタビューしてから細かい部分は次に変えれば良い、という柔軟さが気に入っています。

服部さん: 驚いたのは、パネルの方の質の高さです。ユーザーインタビューで話をすることに慣れていない方も多いだろうと正直、最初は心配をしていました。しかし、積極的に、理路整然とお答えいただく方がほとんどで大変助かっています。特に看護師や理学療法士へのインタビューについては、エキスパートとしての高い責任感を持っている方々の話を聞けて、素晴らしい機会となりました。

浅野さん: 私は実施スピードの速さと回答者の登録人数の多さ、そして業界や職種の多様性が良いと思います。またユーザーインタビュー実施に向けて日程調整を行う際も、UI/UXが良いです。ユーザーフレンドリーに作られていて、助かっています。

― この度は素敵なお話をありがとうございました。患者様に寄り添った事業開発を意識的に取り組まれていることが伝わるお話を伺うことが出来ました。引き続き、患者さんとの接点を創出していければと思いますので、宜しくお願いいたします!

アステラス製薬株式会社
会社名
アステラス製薬株式会社
業種
医薬品
社員数
14,484名
2023年3月期末時点、連結ベース
導入事例
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