ユニーリサーチ
導入事例

1週間サイクルの「リサーチスプリント」で事業判断を加速 “素早く手軽に聞ける”ユニーリサーチが支える顧客起点の開発

1週間サイクルの「リサーチスプリント」で事業判断を加速 “素早く手軽に聞ける”ユニーリサーチが支える顧客起点の開発
株式会社カナリー 荻野ありな
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株式会社カナリーは、「もっといい“当たり前”をつくる」をミッションに掲げ、不動産業界のDXに挑むテック企業です。お部屋探しをするユーザー向けのマーケットプレイス事業と、不動産会社向けのSaaS事業を両輪に、業界全体のデジタルシフトを推進しています。

同社では、デザインチームが中心となってユーザーリサーチを推進。「リサーチスプリント」と呼ばれる1週間単位で集中的にリサーチと検証を行う手法で、ユーザーの声を起点とした開発をスピーディーに実現しています。その取り組みを支えるツールのひとつがユニーリサーチです。

今回は、ユニーリサーチの活用方法や、チーム全体でリサーチに取り組む文化づくりについて、開発本部 リードデザイナー の荻野 ありなさんにお話を伺いました。

※本記事の内容は取材日2025年10月27日時点のものとなっています

「お部屋探し」の体験をもっと滑らかに toC・toB両面から挑むカナリーの不動産DX

― 御社が手がける事業について教えてください。

荻野さん: カナリーは、不動産業界のDXに挑戦しているテック企業です。

不動産業界は、衣食住の「住」を支える暮らしに欠かせない産業ですが、その規模の大きさゆえに関わる人も多く、いまだにアナログな慣習が数多く残っています。

私たちは、業界の一部分だけを変えるのではなく、お部屋探しをするユーザーから不動産仲介業者、その先の周辺市場までをつなぎ、業界全体をデジタルの力でアップデートしていくことを目指しています。

事業の中核を担うのが、不動産情報マーケットプレイス「カナリー(CANARY)」と、不動産会社向け業務支援SaaSの「カナリークラウド(CANARY Cloud)」です。この2つのサービスを両輪に、お部屋探しから入居後までの体験を滑らかにつなぎ、業界の“当たり前”そのものを進化させていきたいと考えています。


荻野さん1

― 荻野さんのお仕事について教えていただけますか?

荻野さん: 私はtoC向けの「カナリー(CANARY)」事業で、デザイナー兼プロダクトマネージャーとして働いています。

仮説の立案からユーザーインタビューの実施、インサイトの探索、施策の企画、デザインまでを一貫して担当しています。施策実施後には定量的な検証を行い、その結果の背景をヒアリングすることもあります。リサーチを中心に据えながら、開発と意思決定を前に進めていくのが私の役割ですね。

― デザインチーム主導でリサーチを推進されているとのことですが、その背景について教えてください。

荻野さん: 私が2024年5月に入社した当初から、「ユーザーインタビューは大事」という意識は社内に根づいていました。ただ、当時は忙しさもあって、なかなか継続的に実施する時間が取れない状況でした。

そこで、開発の流れの中にリサーチが自然に組み込まれるよう、インタビューを定期的に行う仕組みづくりを進めていきました。

デザイナーが「このデザインいいな」と思って形にしても、実際にインタビューでお話を伺うと、引っ越しの期限が迫っていたり、繁忙期で物件がすぐ埋まってしまったりと、想定していなかった背景がいくつも見えてきます。現場の文脈や状況を理解しないままだと、人に寄り添った体験はつくれないと感じました。

「作ってみたけど、実際のユーザーが求めていたものと違っていた」といったギャップをなくすためにも、しっかりとユーザーの声を聞くことが欠かせないと考えています。

1週間サイクルの「リサーチスプリント」で、“使いきりのリサーチ”から脱却

― リサーチに本格的に取り組む中で、「リサーチスプリント」という仕組みを導入されたと伺いました。具体的に教えていただけますか?

荻野さん: はい。以前からユーザーインタビューは行っていたのですが、それが十分に施策へとつながっていないという課題がありました。インタビュー動画や議事録は残っていても、他の会議の記録の中に埋もれてしまい、いわば“使いきりのリサーチ”になっていました...。

そこで、リサーチ結果を事業判断に活かせる仕組みとして「リサーチスプリント」を導入しました。

まず、プロダクトマネージャーと協力しながら事業課題(イシュー)を明確化し、今週調査すべきテーマを決定します。1週間でユーザーインタビューを実施し、得られた内容からインサイトを抽出。さらに、イシューと関連性の高いインサイトに絞ってチーム全体に共有する、といった流れを繰り返しています。


荻野さん1
(引用元:https://cocoda.design/arinaogino/p/p92779ee5b33a)

この取り組みは、すでに決まっている機能の“根拠づけ”ではなく、事業的な判断を促すことを目的としています。また、最終的には、開発チーム全体でユーザーの声を活用できる状態をつくることを目指しています。

そのため、インタビューにはデザイナーだけでなく、プロダクトマネージャーやエンジニアも参加します。私がメインで進行し、プロダクトマネージャーが補足で質問を行います。エンジニアは主に聞き手として同席しますが、事前に全員でスクリプトを確認し、質問案を追記してもらうなど、職種を超えて一緒に“問い”を磨くことを大切にしています。

― 「リサーチスプリント」の実践を通じて、どのような成果がありましたか?

荻野さん: カナリーでは今後、不確実性の高い新しい価値創出に取り組む機会がますます増えていくと思います。そうした中で、ユーザーの声をベースに意思決定していこうという文化が醸成されつつあるのは、とてもポジティブな状況だと感じています。実際、「リサーチスプリント」を通じて蓄積されたインサイトから、新たな施策も多く生まれています。

インタビュー後には、必ず30分間の振り返りの時間を設けています。その場で「どんな発見があったか」「どんな気づきがチームにとって重要か」を共有し、インサイトを一緒に言語化することで、メンバー全員の目線がそろうようになりました。

インサイトを中心に会話することが自然と増え、プロダクトマネージャーからは「戦略や機能案に対して、やる・やらないの判断がしやすくなった」と言ってもらえるようになりました。さらに、エンジニアがリサーチに興味を持ってくれたことも大きな成果です。ユーザーの声を直接聞くことで、施策の背景をあらためて説明する必要が減り、開発スピードが上がったと感じています。

「リサーチスプリント」を支える、“素早く手軽に聞ける” ユニーリサーチ

― 「リサーチスプリント」を回していく中で、ユニーリサーチを導入されたきっかけについて教えてください。

荻野さん: 実はカナリーに入社した時点で既に導入されていたので、私もそのまま使い始めました。

ユニーリサーチでは、募集をかけてから10分ほどで必要な応募が集まったことに驚きました。

リサーチスプリントを進めるうえでは、スピードと手軽さが本当に大事です。ユニーリサーチは、すぐに対象者が集まるスピード感と、プロダクトの使いやすさがあるので、とても助かっています。

以前はユーザーに対して自力でインタビュー調整を試みたこともありましたが、自社で集めるとなると意外と集まらない。やりとりの工数がかかり、運営面での負担が大きかったです。返信がほとんどなかったり、リマインドを送っても反応が得られなかったり、やっと日程が決まっても本当に実施できるか不安でした...。

さらに、謝礼を確実にお渡しできるよう気を張る必要もありました。その点、ユニーリサーチは決済も含めてプロセスが整っているため、安心して進められるのがありがたいですね。


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― 実際に導入してみた感想や、メリットについて教えてください。

荻野さん: 一番のメリットは、リクルーティングにかかる工数を大きく削減できることです。その分、インタビューや分析など、本質的な作業に時間を割けるようになりました。事業的な観点でも、意思決定の確実性が高まったと感じています。

また、リサーチ設計や分析を含めたプロセス全体がスムーズに循環するようになったのは、大きな変化です。“素早く手軽に”インタビューを実行できるユニーリサーチによって運用負荷が減り、1週間単位でリサーチを回し続ける体制が整いました。

― ユニーリサーチで特に気に入っている機能はありますか?

荻野さん: UIがとても使いやすいと感じています。

募集から日程調整までの一連の流れがスムーズで、「自分がプロダクトをつくるときに参考にしたい」と思うほど完成度が高いです。

特に便利なのが、カレンダー連携による日程調整機能です。自分の予定を自動で反映し、重ならないようにブロックできるので、調整がとても楽になりました。

インタビューから生まれた新機能“家賃相場を見える化” ユーザーの声は施策優先度の判断軸にも

― ユニーリサーチを活用した具体的な事例について教えてください。

荻野さん: たとえば、知らない土地に引っ越すユーザーの方にインタビューさせていただいたことがあります。

土地勘がないとエリアを決めるだけでも相当な時間がかかるという声や、検索サイトだけでは情報が足りず、複数のサイトやブログを行き来しているという声が多くありました。

また、特に印象的だったのが、家賃相場に関するニーズです。これまでは、駅ごとに検索して何十件も物件を見比べながら「このあたりの相場はこのくらいかな」と自分で推測するしかありませんでした。「まずは家賃相場を知りたい」という声が多く、“安心して選ぶための材料”として相場情報が求められていることに気づきました。

数値的にも家賃情報の利用率が高かったことから、駅検索時に家賃相場を一目でわかるようにする機能を実装することにしました。「一人暮らし」「二人暮らし」「ファミリー」などのカテゴリ別に家賃相場を表示できる仕組みです。現状では一覧で相場が表示される段階ですが、今後もユニーリサーチを通じてユーザーの声を聞きながら、さらにブラッシュアップしていく予定です。

― 施策の優先順位はどのように判断されているのですか?

荻野さん: 四半期ごとに「この数値を上げよう」という目標を設定しており、定量目標とユーザーの声の両軸で優先順位を決定しています。

数値上では、ページ到達率や利用率といった定量指標を見つつ、ユニーリサーチで得られた声の数やインパクトも重視しています。また、エンジニアがインタビューに参加していることで、実装にかかる工数感を共有できるため、コストパフォーマンスを踏まえた判断もしやすくなっています。

以前、プロダクト側の発想だけでコンバージョンボタンを増やしてみたことがありました。しかし、数値的な改善はほとんど見られませんでした。

そこで改めて、ユーザー体験を起点にインタビューを重ね、施策に反映することの重要性をチーム全体で再認識しました。検討中の機能が直接コンバージョンを押し上げるかどうかは計測が難しい場面でも、「ユーザーの確かな声があるから実装しよう」という判断ができるようになったのは、大きな変化だと感じています。

“新しい当たり前”をつくるため、 ユーザーの声から不動産市場の未来を変えていく

― 最後に、今後の展望について教えてください。

荻野さん: ユーザーインタビューを通して、ユーザーの声を丁寧に聞き、潜在的なニーズや既存ユーザーの課題を深く理解することで、真に求められる“新しい当たり前”をつくっていけたらと思っています。

こうしたユーザーインサイトの追求を通じて、toC・toB両方のプロダクト価値を最大化し、不動産市場の未来をデジタルの力で切り開く原動力になりたいと考えています。

不動産アプリには、ある程度決まった導線があるので、どうしてもタスク志向になりがちです。しかし、そこも思い切って変えていくことで、ユーザーが迷わず、より安心してお部屋を探せる体験へと進化させていきたいと思っています。

― 貴重なお話をありがとうございました。

素早くリサーチを回すことの価値やその取り組み方について大変勉強になりました。 引き続き貴社の素晴らしい取り組みをご支援させていただけますと幸いです。

株式会社カナリー
会社名
株式会社カナリー
業種
情報・通信業
社員数
130人
2025年11月時点
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