募集直後に30名の応募。アプリ離脱ユーザーへのインタビューをたった数日で実現。
「あなたの家族像が実現できる社会をつくる」をビジョンに掲げ、妊活、妊娠、出産、育児についての悩みや不安の解消を相談できるコミュニティサービス「ママリ」を運営する株式会社コネヒト。
2019年に出産した女性の3人に1人(※)が登録しているという同社のサービスでは、日々アプリの改善に向けた定量・定性での分析および分析データを基にしたUI/UXの改善を行っている。膨大な既存ユーザーがおり、インタビューユーザーの獲得には課題が無さそうに見える同社がなぜuniiリサーチを活用しているのか。プロダクトグロース部コミュニティグループにてUI/UXの改善施策を推進する、吉岡詩織さんにお話しを伺いました。
※「ママリ」の初回登録時に入力された出産予定日と、厚生労働省発表「人口動態統計」から算出。
定量データと定性データを基に施策検討を実行、ママリのグロースチーム
― 最初に、吉岡さんのミッションを教えてください
私が所属するプロダクトグロース部はMAU(マンスリーアクティブユーザー)をメインの指標として追っている部署です。その中でも私はユーザーであるママさんが長くサービスを使っていただけるように、継続率向上を目的とした分析、施策検討を行っています。
― 具体的にはどのように施策検討を行っているのでしょうか?
ママリではユーザーが離脱をしてしまう要因について、定量および定性面で調査・分析を行って、課題の仮説を立て、施策の検討を行います。現在はデザイナーとエンジニアを含む6名でチームを組み、調査・分析はデザイナーと協働しながら、エンジニアとコミュニケーションをとって実装を行っている感じです。
定量分析で課題のポイントは見えてきますが、それだけだと限界があるので、ユーザーインタビューやユーザビリティテスト等の定性調査を行って、仮説検証を行っています。
4,000人にアプローチし、結果はゼロ。離脱ユーザーの声をつかむことへの課題感
― 普段はどのようにインタビューユーザーを確保しているのでしょうか?
今までは大変ありがたいことに、アプリ内でインタビュー対象を募集すると、多くのユーザーさんからの応募がすぐ集まり、困ることなくインタビューの実施が出来ていました。
― では、どのようなところに課題感があったのでしょうか。
継続率向上を考える上で、重要視していたのがアプリをダウンロードして1日目のママさんの行動でした。ママリはQ&Aサービスですが、初日に質問を1件しか見ていない人と、それ以上見た人ではその後の継続率の傾向に違いがあったりします。その中でも1日目で離脱してしまったユーザーさんの離脱要因が知りたかったんです。
今までインタビューが出来ていたのはアプリに好意的なユーザーさんが比較的多かったのですが、今回話が聞きたかったユーザーさんはアプリの通知を切っている方が多くて。実際今回インタビューをしたい対象である非アクティブなユーザーさんに向けてプッシュ配信を行ってみたのですが、約4,000人に送って、インタビューが出来た人数はゼロでした。
― その数字はなかなか衝撃的ですね。
導入の理由は「価格」と「スピード」。当初はユーザーが集まるかどうかの不安も。
― uniiリサーチ導入の経緯を教えてください
実はその他のリクルーティングサービスやクラウドソーシング系のサービスも検討していたのですが、私の前職がuniiリサーチを運営するLIFULLだったこともあり、まずはuniiリサーチを使ってみようと思い、導入を決めました。
ただ結果的に、サービスの使い勝手やユーザーの集まり具合が想定以上で、その選択をして本当に良かったなと思っています。
― 当初の期待に対してどのような成果が得られましたか?
正直当初は、ママリという特定サービスの離脱ユーザーという限定された条件だったので、集まるか不安がありました。
ただ募集直後に一気に30名も候補者の方が出てきて、せいぜい3~5名ぐらいかなと思っていたので、驚きました。社内メンバーに速報で初速で30人来た、と報告したら「えーすごいんだけど!」とみんな驚いていました(笑)
― 価格面はどのような感想を持ちましたか?
外部かつエンゲージメントの低い方々ということもあったので、人数は5名で5万円ほどで実施できればと思っていました。
ただ、結果的に手数料も込みで1名3,000円で思ったより多くの方に応募いただけたので、実施人数を10名にして実施しました。人数を当初の倍にしたのに、想定予算内で実施できたのでとても良かったと思います。
― その他使い勝手はいかがでしたか?
決済がクレカでスムーズに行えた点と、ユーザーさんと直接チャットで事前やりとりができた点、あとは応募者が一覧で見れたりCSVで出せる点が非常に便利でした。
あとは日程調整ですね。複数名との日程調整は、自分たちでユーザーさんを集める場合もかなり大変なので、システム内で候補日出しと時間確定がスムーズに行えたのが良かったです。
インタビュー参加者は3人まで。ツールを活用しながら毎回の振り返りを徹底
― インタビュー実施はどのように行いましたか?
特にスライドなどは用意せず、口頭で過去の体験を事実ベースで聞いていきました。
アイスブレイクを行って、その後は何を求めてインストールしましたか?どんな使い方をしましたか?と質問を行いながら、深堀を行いました。ただ離脱ユーザーの方はアプリについてそこまで理解が進んでいないので、適宜アプリのモックをお見せしながら聴取していきました。
― インタビューは何名でされていたのでしょうか?
弊社のインタビューでは通常最大3名まで出席するようにしているのですが、デザイナーと私がマストで、残り1名はエンジニアを中心に参加してもらっていました。デザイナーか私のどちらかがインタビュアーを担当し、残り2名がそれぞれ議事録担当、カスタマージャーニーマップ作成担当、という方法を取りました。インストール前、インストール後、離脱時の感情や事実などをジャーニーマップにメモしていく感じです。
― それはとてもいい役割分担ですね。すぐに振り返りに移れそうです。
振り返りはインタビュー後すぐに、30分行いました。記憶が新鮮なうちに、ジャーニーマップを見ながら、好きなようにしゃべる感じです。ここイケてないねという話だったり、理想の体験についてだったり、ユーザーさんに思いを馳せてディスカッションをしていました。
― インタビューの感想を教えてください
期待より人が集まったのが嬉しかったです。一方でユーザーさんにどのような反応をされるか、当初不安もあったのですが。離脱されたユーザーさんということで、アプリで嫌な体験をされてないかなど考えていて。
でも実際は良い方ばかりで、フランクに「こんなこと言っていいかわらないですけど。。」と言いながら、アプリのここが良くなかったというご意見をいただきました。クレームとして伝えてくるわけではなく、応援してくれるスタンスでお話いただけたのが嬉しかったです。
「ユーザーは開発側が期待しているようには見ていない」という気づき
― 差支えない範囲でどのような気づきがあったか教えて下さい。
第一に、ユーザーさんって我々が期待しているようにはアプリが見えていないんだなという気づきがありました。例えばQ&A機能で検索ができるように検索窓を用意しているんですが、そもそもそれが見えていなかったり。当たり前に気づいてもらえると思っていても、初めての出産や育児で切羽詰まっているママさんにとっては、ご自身が探したいものしか見えなくなってしまうこともあって。開発側の意図と違ったことが、ユーザーさんの中では起こっていました。
2つ目は、チームメンバーの中でユーザー像やユーザーのペインが具体化されたことがとても良かったと思っています。私も含め「ママ」という立場ではないメンバーも多く、どうしてもユーザーのママさんの想いを汲み取り切れていない側面もあるので。ユーザーさんが「つわりが全然終わらない」とすごい検索していたというような話もあったり、リアルな体験談に触れられる機会を作れました。
3つ目はインタビューの様子を録画していたのですが、録画を見ることを宿題にした上で、関係者でのブレストを行うことで、目線が揃った議論が出来たと思っています。
ママリの独自価値を高めていく。改善に向けた挑戦は続く。
― 今回のuniiリサーチの利用は課題解決につながったでしょうか。
つながりました。私たちのチームでも継続して利用したいと思っていますし、MAU以外を追っている別のチームもあり、そちらでも是非機会があれば使ってみたいという話になっています。
― 最後に今後の展望をお聞かせください。
個人的な考えではありますが、ママリの独自価値をより高めていかないといけないと思っています。検索エンジンやSNSなどで色々なママさんの悩みも解消できるようになっていているので、「ママリだからこそ提供できる価値」を作っていかないといけないし、知ってもらう努力をしていかないといけないと考えています。