顧客課題の検証期間を半分に。エプソン販売のビジネスモデル創出を支えるインタビューとアンケート活用術
エプソン販売株式会社は、日本市場の顧客接点として、エプソン製品・サービスを基盤に、企業および個人ユーザーの課題解決と価値創出を実現するソリューションの提供をしています。
同社は、新しいビジネスモデルの創出に本格的に取り組んでいます。その中核を担うのが、「ビジネスデザインセンター」。自ら事業を生み出しながら全社からも広くアイデアを募り、エプソン販売における次の柱を育てています。そのプロセスではユニーリサーチのインタビューとアンケートを組み合わせることで顧客の声を素早く集め、約2ヶ月かかっていた検証期間を1か月程度にまで短縮。数多くのアイデアを検証できる体制を整えてきました。
今回は、ビジネスデザインセンターの田中 愛彦さん・栁田 嘉隆さんに、新規ビジネスモデル創出の取り組みとユニーリサーチの活用方法について伺いました。
※本記事の内容は取材日2026年5月20日時点のものとなっています
「新規事業」ではなく「新しいビジネスモデル」をつくる組織
― ビジネスデザインセンターの役割について教えてください。
マーケティング本部 ビジネスデザインセンター 田中 愛彦さん
田中さん: ビジネスデザインセンターは、「新しいビジネスモデル」を生み出すことを主眼に組織されました。
私たちが目指しているのは、まったく新しい領域にゼロから参入することではなく、エプソン商品やサービス、顧客接点といった既存アセットを活用しながら、顧客課題を解決するビジネスをつくることです。
そのために、顧客にとってどのような価値を提供できるのか、その価値をどのように届け、マネタイズし、継続的な事業として成立させるのかまでを一体で設計しています。
― ビジネスデザインセンターの体制や、検証プロセスについて教えてください。
田中さん: 顧客と向き合う「プレイヤー」、ビジネスとして成立するかを見る「デザイナー」、技術的に実現できるかを考える「エンジニア」という3人1チームが基本の体制です。
ビジネスモデル検証のステップは大きく5段階です。「顧客の課題はあるか」という実証、提供価値の確認、無償PoC、有償PoC、本格投資・ローンチへ、という流れです。
直接の顧客接点が少ないことが課題。ユニーリサーチでBtoB/BtoC両面での検証も可能に
― ユニーリサーチ導入の背景を教えてください。
田中さん:
エプソン販売はこれまで、販売代理店の皆さまと連携しながら、プリンターやプロジェクターをはじめとする商品を多くの顧客にお届けしてきました。
代理店さまとの強固なネットワークは、当社の事業を支える非常に重要な基盤です。
一方で、新しいビジネスモデルを検討する場面では、実際に商品やサービスを利用される顧客の課題や行動を、より直接的に把握する必要があります。既存の販売網とは別の観点で、エンドユーザーの声をスピーディーに収集できる仕組みが必要だと感じていました。
「新しいビジネスモデル」をつくるためには、顧客の課題を知ることが絶対に必要です。しかし、話を聞くべき顧客を自分たちで探すには限界があり、時間もかかる。そこで、業種・業態を絞ってすぐにヒアリングできるようなプラットフォームを探していました。
展示会でさまざまなサービスを見ていた中で、ユニーリサーチを知りました。私たちがやりたいのはBtoBとBtoC、両面でのリサーチです。エキスパートインタビューは既に活用していましたが、ユニーリサーチはBtoCにも強いので、導入の決め手になりました。
インタビューで仮説を磨き、アンケートで量を担保する
― ユーザーインタビューとアンケートをご導入いただいています。具体的に、どう使い分けていますか?
マーケティング本部 ビジネスデザインセンター 栁田 嘉隆さん
栁田さん: インタビューは、顧客の困りごとを深く理解したいときに行います。カスタマージャーニーを掘り下げたい、課題の前後にどんな行動があるかを一連で理解したい、そういった目的のときですね。アンケートは、数百人規模で傾向を掴むなど、定量的な結果が必要なときに使います。
インタビューから始めるケースが多いです。まず課題の仮説を立て、顧客にとって本当にお金を払ってでも解決したい課題なのかをインタビューで検証します。そのあとアンケートで「これだけの人数がこう言っている」という量の担保をしていく流れです。
顧客課題の実証が2か月から1か月に短縮 意思決定を担うライトパーソンの声を聞ける
― ユニーリサーチ導入後、変化はありましたか?
田中さん: 以前は顧客課題の実証に約2ヶ月かかっていましたが、導入後は大幅に短縮されています。顧客が誰なのか、本当に存在するのかを確認するまで、1か月程度で回せるようになりました。
たとえばアンケートでは、狙ったセグメントにスピード感を持ってアプローチできます。300人の回答が翌朝には揃っている。とてもありがたいです。
「新しいビジネスモデル」は、100のアイデアからやっと1つが生まれると言われるくらい難しい。だからこそ、数を多く試すことが前提になります。検証が速くなればなるほど試せる数が増える。私たちにとってスピードは、数を生み出すために必要不可欠です。その意味でユニーリサーチは、私たちのビジネスモデル創出に直接貢献してくれているツールだと感じています。
栁田さん: ライトパーソンの声を直接聞けるようになったことも大きな変化です。自分たちで調べようとすると、たとえば意思決定を担う店長や経営者の話を直接聞くのは難しかった。でもユニーリサーチを使うことで、「この属性のこの人に聞きたい」というセグメントでライトパーソンにアプローチできるようになりました。
― 調査結果からどんなヒントを得られましたか?
栁田さん: インタビューを通じて、当初想定していた課題ではなく、別のところに真の課題があるとわかったことがありました。ネガティブな結果ではなく、顧客の課題認識を見直すヒントになりました。結果的にピボットにつながることもありましたが、それも調査として十分機能した証拠だと思っています。
アンケート分析はクロス集計で加速 PoCフェーズでのMVP検証にも期待
― 今後、ユニーリサーチをどのように活用していきたいですか?
栁田さん: BtoBの検証でも活用の幅を広げたいと思っています。エキスパートパネルではなかなか集まらない、現場のビジネスパーソン層へのアプローチです。アンケートはパネル数も多いので、今後も積極的に使っていきたいです。最近リリースされたクロス集計機能も私たちが求めていた機能なので、分析のスピードアップにもつながると期待しています。
かんたん操作でアンケート結果を視覚的に分析できるクロス集計機能
田中さん: PoCフェーズでの検証にも活用したいと思っています。弊社のソリューションセンターで実際のアイデアを体験してもらってから声を聞く、というかたちです。ホームユーステストも含め、「価値があるか」を検証する一番小さなMVP検証としての活用を試してみたいです。
― 今後の展望について教えてください。
田中さん: 私たちの使命は、顧客に喜んでもらえるビジネスモデルをより多く世の中に出していくことです。それと同時に、エプソン販売全体にチャレンジする文化を醸成したいと思っています。
既存事業を伸ばしていくことは非常に重要です。しかし日本の人口減少を考えると、今後は事業の多角化も求められてくると考えています。次々に新しいビジネスを展開し、社員の意識も変えていきたい。ビジネスデザインセンターは、そのための起点でありたいと思っています。



