インタビュー初心者でも不安なく利用できる直感的なUI バランスよい対象者選定でペルソナの解像度をUP
石塚硝子は愛知県に本社を置く、老舗ガラスメーカーです。文政2年(1819年)よりガラス製造をスタートし、現在ではガラス製品に留まらず、紙やプラスチック、セラミックスなどの容器及びガラス製造で培った技術を応用した抗菌剤や消臭剤等も製造販売しています。
事業ポートフォリオの約9割を容器関連が占める中、同社では2030年を見据えた長期方針「ISHIZUKA GROUP 2030」において、将来の柱となる新規事業の拡大と多様化を目指すことを発表。また、特に若手社員を中心として新たなビジネスを構想する研修を実施するなど、さまざまな挑戦を後押ししています。
新規事業創出を主導するのは、イノベーション推進部です。新規事業の種の発掘と育成を担い、ユニーリサーチを導入いただいた事業創出プロジェクトもその取り組みの一つです。
今回は、新事業・機能材料カンパニー イノベーション推進部 新事業企画グループの両角秀勝さんと、実際にコンテストに参加しユニーリサーチをご利用いただいたグループ会社の日本パリソン株式会社 R&Dセンター パッケージ開発グループの早川諄さんにお伺いしました。
※本記事の内容は取材日2022年10月21日時点のものとなっています
創業200年超の老舗ガラスメーカーによるイノベーション
― 両角さんが所属する、イノベーション推進部のミッションを教えてください。
両角さん: 石塚硝子グループ全体にとっての、次の柱となる新規事業創出を主導することがメインミッションです。フラットな目線で新たな事業の種を育て、数億円規模のプロダクトやサービス創出を目指しています。
― これまでの取り組みを教えてください。
最近では、独自開発の清掃剤を練り込んだ歯磨き粉の開発を行いました。クラウドファンディングサイトで目標額の7倍を達成し商品化。市販も始まっています。
また、過去には廃棄物となる卵の殻に着目し、ガラス製造に必要な炭酸カルシウム原料(石灰石)の代替として産業利用することに業界で初めて成功しました。「新しい資源の獲得(サプライチェーン・イノベーション)」もまた、イノベーション推進部の役割です。
当社のシーズと、新しいニーズとを繋ぐ「共通項」を見出し活かせるかが、鍵だと考えています。
選抜30名が参加する事業創出プロジェクト
― イノベーション推進部が現在主導されている、事業創出プロジェクトについて教えてください。
新規事業創出は全社一丸で取り組むべきだという想いがあります。
今回のビジネスアイディアコンテストは社員を巻き込み推進していくためのプロジェクトとして、今期よりスタートしました。イノベーション推進部は事務局として制度設計や参加者サポートなどを行っています。
参加メンバーは約30名。経営陣による選抜で、部門や職種、支店を問わず選ばれています。
外部のコンサルタントにも協力いただき、皆、学びながら実践に繋げています。イノベーティブな考え方をできる人材の発掘と教育も主眼の一つです。
私自身が意識していたのは、本人の「原体験として感じた課題から展開してほしい」ということです。他人事ではなく自分事としてコミットできるアイディアを生み出してほしいと考えていました。
リーズナルブルで初心者にも易しいユニーリサーチ
― ユニーリサーチの導入は、事務局から参加者の方へ紹介いただく形で進めていただきました。その経緯を教えてください。
両角さん: 顧客課題の仮説検証というフェーズにおいて、身近な人に聞くのはてっとり早い方法です。しかし、関係性や利害関係があるため「いいサービスだね」と肯定的な返事が返ってきやすいという課題がありました。
コンサルタントからのアドバイスもあり、事務局からリサーチ手段を提供しようと考え、比較的リーズナブルでリサーチ初心者も簡単に利用できるサービスがないかと探したところ、ユニーリサーチを発見し、紹介しました。
対話の中で得られる情報量の多さを実感
― 参加メンバーの反応はいかがでしたか?
起案したアイディアによっては、より専門家へのヒアリングが適している場合もありましたが、約1/3のメンバーがユニーリサーチを利用していました。
また、「手軽さ」という点ではチャット(テキスト)ベースの調査ができるサービスもありますが、両サービスを利用したメンバーからは「テキストの回答では見つからなかったニーズが、実際に話す中で発見できた」というコメントがあり、数行の文字と対話の中で得られる情報は解像度が違うものだと感じました。
インタビューでは、直接相手の表情をみながらインサイトを探ることができます。事務局としては一人一人に、丁寧に聞くことをおすすめしています。
― ありがとうございます!
現業と異なる新規事業開発には、不安と期待が入り混じる
― ここからは、実際にユニーリサーチをご利用いただいた早川さんにお伺いします。早川さんは普段どんなお仕事をされているのでしょうか?
現業では、ペットボトル用プリフォーム(ペットボトルとして膨らませる前段階の中間製品)の製造を行う日本パリソン株式会社に出向中です。顧客である飲料メーカーからの依頼を受けて、製品設計や開発を行うのが主な業務です。
― 事業創出プロジェクトのメンバーに選ばれた時はどんなお気持ちでしたか?
メンバーに選ばれたと知った時は、まず不安が先行していました。新規事業にはこれまで一切携わったことがないので、現業と両立できるのだろうかと考えていました...。しかし同時に、知らないことを学べるという期待感も入り混じっていました。
直感的に操作でき、インタビューへの不安が薄れた
― ユニーリサーチを紹介された際の、最初の印象はどうでしたか?
私が起案したアイディアは高齢者の課題解決をテーマとしており、石塚硝子が得意とする容器製造とは関連が薄く、リサーチの重要度が高いものでした。
しかし、私自身にインタビュー経験がなく、どう進めるべきなのかも分かりませんでした。また、初対面で話すのも得意な方ではないので、ユニーリサーチを紹介された時も正直、尻込みしていました...。
でも実際に使ってみると、「シンプルな募集画面」や「カレンダーでの日程調整機能」などがあり、戸惑う場面もなく直感的に操作することができました。自信のなかった対象者選定もサクサク準備を進めることができ、ユニーリサーチを使っていく中で、当初の不安は薄れていきました。
目的に合わせてバランスよく対象者を選出
― 実際にお使いいただいた感想を教えてください。
合計7人の方にインタビューしました。事前のスクリーニング設問に対しても真摯に回答いただけたので、アイディアについて肯定的な印象を持っている方、否定的な印象を持っている方をそれぞれバランスよく選んで、満遍なく聞くことができました。
私はインタビュー初心者ですが、実際に対話してみると、質問に対してみなさんきちんと受け答えをしてくださったので助かりました。レスポンスも早い方ばかりでした。
30分で効果的なヒアリングをするコツとは?
― 得られた気づきがあれば教えてください。
インタビューを重ねる中、「相手の人柄を把握した上で、質問すると良い」という気づきがありました。30分という短い時間で集中して出来たのがよかったです。前半15分で相手を知り、後半15分で自分の質問をするのがちょうど良い時間配分でした。
回答を得ることで、自分が想定していた顧客像との乖離を確認し、ペルソナの解像度を上げることができました。
また、私自身も成長することができたと思います。当初は漠然とした抵抗感がありましたが、顧客となりうる方へのインタビューを通して、「肯定は自信に、否定された場合は改善すればいいのだ」という前向きな考え方ができるようになったと思います。
コンテンストで終わらない 新規事業を創出し続けるために
― 今後について、お二人から一言ずつお願いします!
両角さん: 事業創出プロジェクトは、メンバーにとっても非常によい刺激になったと思いますので、今後も継続していきたいと考えています。部門としては新規事業を継続的に創出し続けるための組織や仕組みをより強固にすべく、試行錯誤していきたいですね。
早川さん: コンテンストは、石塚硝子グループのビジネスにとって、大変意義あるものと自覚しています。当初私自身が起案したアイディアは残念ながら落選してしまったのですが、今は共感できる残った案のフォロー役として継続して関わっています。ユーザーインタビューの経験を通して得られた知識を活かして、事業化できるよう貢献できればと思います。