ユニーリサーチ
導入事例

「事前タスク依頼」が顧客理解の質を高める — 中立な視点で顧客の声を翻訳するコクヨ横断リサーチチームの活用法

「事前タスク依頼」が顧客理解の質を高める — 中立な視点で顧客の声を翻訳するコクヨ横断リサーチチームの活用法
コクヨ株式会社 谷口佳寿/堀内理沙
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コクヨ株式会社は、文具や事務用品、オフィス家具の製造・販売およびオフィス空間のデザインなどの事業を手掛けています。累計販売冊数37億冊(2024年末時点)を突破した「キャンパスノート」をはじめ、数々のヒット商品で知られる同社は、現在、グローバル展開を加速させるとともに、組織を横断したマーケティング機能の強化にも取り組んでいます。

2025年1月には、GSTグローバルマーケティング部内に「マーケティングリサーチグループ」を新設しました。確かな情報に基づく商品開発を推進するため、国内外における定量・定性調査を担う本格的なリサーチ体制を構築。ユニーリサーチも、その活動を支える重要なツールとして導入いただいています。

今回は、マーケティングリサーチグループの谷口 佳寿さんと堀内 理沙さんに、ユニーリサーチ導入前の課題感や、機能の活用についてお話を伺いました。
※本記事の内容は取材日2025年10月1日時点のものとなっています

商品開発を“確かな情報”で支える コクヨに新設されたマーケティングリサーチグループの役割

― マーケティングリサーチグループが新設された背景について教えてください。

堀内さん: マーケティングリサーチグループは、2025年1月に新設された市場調査の専門チームです。これまでは各事業部ごとにリサーチを行うことが多かったのですが、マーケティング機能を横串で統合し、より確かな情報に基づいて商品開発を進めていくために立ち上げました。

国内外を対象に、定量・定性の両面から市場調査を実施しています。ニーズやインサイトの探索、コンセプト検証などを通じて商品開発を支援するほか、開発後も商品評価やプロモーション施策の効果検証など、各フェーズに応じたリサーチを行っています。


堀内さん GSTグローバルマーケティング部マーケティングリサーチグループの堀内 理沙さん

ロイヤルユーザー中心や技術起点の発想から離れ、よりフラットな“聞き方”へ

― インタビュー調査において、ユニーリサーチ導入前に感じていた課題感があれば、教えてください。

谷口さん: コクヨには「お客様の困りごとから商品をつくる」という考えが根づいています。

一方で、その“聞き方”には課題があったと感じています。同じ学校の生徒さんにヒアリングすることが多かったり、意図せずコクヨの商品を愛用している方の意見ばかり聞いてしまうなど、聞くべき声に偏りがありました。

マーケティング経験の豊富な本部長が新たに就任したこともあり、「目的に合った人に、ちゃんと聞く」ことの大切さが、社内で改めて意識されるようになっていました。


谷口さん GSTグローバルマーケティング部マーケティングリサーチグループの谷口 佳寿さん

堀内さん: コクヨは技術力の高い会社なので、「技術的にできるから」という発想が起点になりがちでした。

しかし、本来は「お客様が何を求めているのか」に合わせて機能を活かすことが大切です。お客様の課題や気持ちにきちんと寄り添い、そのうえで技術をどう活かすかを考える。そうしたコミュニケーションができれば、もっと良い商品が生まれるはずです。

技術と顧客視点、どちらも強みを持つコクヨだからこそ、その両者をうまくかけ合わせていきたいという想いがありました。

“Campus”リブランディングに向けた調査で、学生にインタビューを実施

― ユニーリサーチは、実際にどのような用途で活用されたのでしょうか?

谷口さん: “Campus(キャンパス)”のリブランディングに関する調査で活用しました。

「キャンパスノート」が発売から50年を迎える中、“Campus”をノートブランドから「まなびかたブランド」へと刷新し、新しいブランドコンセプトが学生の気持ちに合っているか、ターゲットである中高生の方々に、率直な印象や感じ方をインタビューしました。

堀内さん: 私はバインダーの案件を担当しており、学生さんがどのようにバインダーを使っているのか、学校生活の中でどのように学びを進めているのかを伺いました。

デプスインタビューでわかった 「本当の価値観」と文房具の多様な使われ方

― これまでの調査との違いはありましたか?

谷口さん: 大きな違いがありました。以前は学校に伺い、5〜6人のグループでお話を聞くことが多かったのですが、ユニーリサーチを通じて1対1でデプスインタビューができたことで、より深い部分まで掘り下げられました。

学生さんの場合、グループで聞くと、一人が「こう思う」と言うと、本当はそう思っていなくても「私もそうです」と合わせてしまうことが、どうしてもあります。でも、1対1では、ご自身の考えや行動の背景をじっくり伺うことができます。

文房具を使う目的も、学生さんによって本当にさまざまです。モチベーションを上げるために使う人もいれば、効率を重視する人もいる。グループインタビューでは見えづらかった個々の価値観や使い方の違いが明確になり、ターゲット像をより立体的に描けるようになりました。

インタビュー前に写真送付を依頼 「タスク依頼機能」がインタビューの質を高める

― 「タスク依頼機能」もご活用されていますね。便利に感じたポイントはありますか?

谷口さん: 「タスク依頼機能」には本当に助けられました。


事前タスク インタビュー前の事前タスクとして、事前ワークや写真・動画の提出を求めることができる

ノートの調査では、学生さんに実際に使っているノートの写真を事前に送ってもらいました。どのようなページ構成で、どんな色の線を引き、どんなメモを書いているのかをあらかじめ確認できたことで、インタビュー当日に聞きたいポイントを整理できました。

当日はノートを手元に用意していただきました。学生さんは無意識で行っていることも多いため、実物がないと拾いづらい部分もありますが、実際のノートを見ながら話すことで、会話をうまく引き出すことができました。

また、事前にノートの使い方を確認しておくことで、どんなタイプの学生さんなのかを把握でき、インタビューの進行もより円滑になりました。

堀内さん: 実は、ユニーリサーチだけでは人数が足りず、他のセルフリサーチサービスを併用したことがありました。両方をやってみて、「タスク依頼機能」の価値を改めて感じました。

私の調査も細かい内容が多かったので、事前にお使いのバインダーのお写真をいただけたのは本当に助かりました。

インタビューは同じだけ時間をかけても、他社では少し“惜しい”結果になってしまったのに対し、ユニーリサーチでは機能を活かしたコミュニケーションが取れ、より深い話を伺うことができました。

「ユニービデオ通話」と「バックルーム機能」で実現 チームの“目線合わせ”と一体感

― ありがとうございます。その他にユニーリサーチで気に入っているポイントがあれば教えてください。

谷口さん: インタビューが一番重要な部分なので、そこに至るまでの調整工数が少ないのはとても助かります。日程調整をメールで行うのは手間がかかりますが、ユニーリサーチではカレンダー上で空き時間を選ぶだけ。学生さんのレスポンスも早く、簡単にスケジュールを確定できました。

また、「ユニービデオ通話」も重宝しています。ZoomやMeetだと録画データがダウンロードできてしまうため、個人情報管理の手間やリスクが発生します。「ユニービデオ通話」はダウンロードできない仕様になっているので、安心して使えました。


ユニービデオ通話 独自のビデオ通話機能でバックルームの利用や録画データ保管ができる

それに、「バックルーム機能」も便利でした。開発メンバーや企画メンバーに同席してもらうことで議論が進みやすくなりますが、一方で、全員が画面に映ると学生さんへの“圧”があります。私と学生さんだけが画面に映り、他のメンバーはバックルームから視聴・質問できる仕組みなので、リラックスした雰囲気で深い対話ができました。

― インタビューの様子を共有することで、チームにはどんな気づきや効果がありましたか?

谷口さん: 実際にインタビューを見ないと、表情やニュアンスはなかなか掴みにくいですよね。お客様のインサイトは、そうした細やかな部分にも現れると思うので、リアルな反応をメンバーと共有できるのはすごく良いと思います。結果として、顧客解像度がチーム全体で上がる感覚があります。

毎回インタビュー後にはデブリーフィングを行い、また全てのインタビューが終わった段階で改めて総括の会議を設けています。一人の意見に偏らず、「みんなどう感じた?」とラフに意見を出し合う目線合わせの時間がとても大事ですね。

堀内さん: メンバーとのデブリーフィングの時間は本当に盛り上がります。

「ここが印象的だったよね」とか「すごく整理整頓が得意な子だったね」など、学生さんの人柄まで含めて話が広がっていきます。学生さんは部活などで忙しいので、就業後の時間にインタビューを実施することも多いのですが、盛り上がりすぎて「このままご飯行こうか」と、夜まで語り合うこともありますね。

国内で仮説精度を上げ、海外展開へ 「リアルな声=揺るがない根拠」が意思決定をスムーズに

― ユニーリサーチの活用を通じて、得られた成果はありましたか?

谷口さん: 学生さん一人ひとりの行動や考え方から、「なぜそういう価値観に至るのか」まで深く聞けるようになったのは、とても大きな成果でした。

社内でも「顧客意見ファースト」の意識はもともとありましたが、どこかで「顧客は本当にそうなの?」という疑問が残っていた部分もありました。ユニーリサーチを活用してインタビューを行うようになってからは、“リアルな声”という揺るがない根拠をもとにスムーズに意思決定が進むようになりました。組織全体で同じ方向を向いて判断できるようになったのは、非常に良い変化だと思います。

堀内さん: マーケティングリサーチグループでは、国内だけではなく海外でも調査を行っています。海外では調査会社さんに段取りをお願いしていますが、ユニーリサーチを使って自分たちで調査を経験できたのは非常に良かったです。

実際に自分たちで一度やってみることで、「こういう流れで聞くといいんだな」「この部分を深掘りしたほうが良さそうだ」という感覚がつかめる。調査会社さんはプロですが、依頼する側が押さえるべきポイントを理解しておかないと、せっかくの調査がもったいない結果になってしまいます。

国内で検証したことで勘所を得ることができ、結果的に、国内と海外の調査をうまく連携できたのは、とても良いコンビネーションだったと思います。

― ユニーリサーチの活用について、今後どのようにお考えですか?

堀内さん: すでにかなり助けられていますし、今後も積極的に活用していきたいです。

調査を進める中で、「想像していたのと少し違うな」「仮説がずれていたかもしれない」と気づくことは少なくありません。そうしたときに、一から大規模なリサーチをやり直すのは大変ですが、ユニーリサーチは小回りが利くのが本当にありがたいです。

上手に使えば、調査全体の進め方そのものが変わる可能性を感じています。今後もツールをうまく使いこなしながら、より効果的なリサーチを実現していきたいです。

谷口さん: 私たちは、“数字”ではなく、お客様の“生の声”として捉える姿勢を大切にしています。商品によっては大きな調査予算をかけられないこともありますが、「お客様の声をちゃんと聞く」ことは欠かせません。コストを抑えつつも丁寧に声を拾えるユニーリサーチは、そうした場面に非常にフィットするサービスだと感じています。これからも活用の幅を広げていきたいです。

リサーチの質をもう一段階上へ 中立な姿勢で、顧客の声を正しく“翻訳”する「良い通訳者」へ

― 最後に、今後の展望について教えてください。

谷口さん: チームで「これからどんなリサーチグループを目指したいか」を、丸一日かけて合宿のように議論したことがありました。その際に出てきたのが、「顧客の声が一番集まってくるグループにしたい」「中立でありたい」「コクヨの良心でありたい」という思いです。

メーカーには、自分たちの商品に思い入れがあります。だからこそ、私たちが中立な立場でお客様の声を聞き、良いものはさらに伸ばし、課題があれば「こういう修正をしましょう」と提案できる存在でありたい。

リサーチの質をもう一段階上げていくことで、社内外から自然と声が集まるような、信頼されるチームを目指したいです。

堀内さん: チームのあるべき姿については議論の最中ですが、やはり「お客様の生活に寄り添う存在」でありたいと思っています。文房具は、子どもからお年寄りまで誰もが日常的に使うもの。だからこそ、生活の中でどんな使われ方をしているのかを理解し、それを商品づくりに活かす準備が常にできていることが大切だと感じています。

お客様の声を正確に“翻訳”し、開発チームへとつなぐ。そんな「良い通訳者」としての役割を果たしていきたいです。

― 貴重なお話をありがとうございました。 「タスク依頼機能」を活用して高校生と文房具の関係性を上手く掴む工夫は大変勉強になりました。 引き続き貴社の素晴らしい取り組みをご支援させていただけますと幸いです。

コクヨ株式会社
会社名
コクヨ株式会社
業種
文具・事務機器の製造・仕入れ・販売等
社員数
7,647名※グループ連結従業員数
2024年12月時点
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