情報収集も価値検証も 短い期間で何度もリサーチできるスピード感は、新規事業開発と抜群の相性
1891年創業、日本を代表する生活消費財メーカーのひとつであるライオン株式会社は、オーラルケア、ファブリックケア、ビューティケアなどを中心にさまざまな製品を生み出しています。さらに、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」をパーパスとする同社では、製品提供だけでなく、歯磨き習慣をはじめとした衛生習慣を日本に根付かせることで、人々の日常を豊かにしてきました。
また同社では、2030年に向けた経営ビジョンとして「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニー」を掲げています。ビジョン実現に向けて、新たな価値創造を推進する取り組みの一つが、2019年に立ち上がった新価値創造プログラム「NOIL(ノイル)」です。「NOIL」は「ヘルスケアの常識を破る事業」をテーマに社員の想いを起点としたアイディアを募集し、事業化を目指すプロジェクトであり、ユニーリサーチも多くの起案者に活用されています。今回はビジネス開発センターに所属し、NOIL運営事務局を担当する永盛友樹さんにユニーリサーチ導入の目的や活用状況などをお伺いしました。
※本記事の内容は取材日2023年8月10日時点のものとなっています
「より良い習慣」づくりに貢献する、明治時代創業の老舗生活消費財メーカー
― まずは御社事業について教えてください。
永盛さん: 当社は、石けんとハミガキから始まり、現在さまざまな日用品を提供しているメーカーです。ただ、私たちが理想としているのはプロダクトの提供だけでなく「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」こと。当社ではこの「より良い習慣」を「Positive Habits」と定義しています。つまり、私たちの役目は、人々の習慣のなかでも「必要だとわかっていても気が進まないこと」を「楽しくすすんでできること=Positive Habits」に変えていく習慣提案であると考えています。
「ヘルスケアの常識を破る」事業アイディアを育てる、社内インキュベーションプログラム「NOIL」
― ユニーリサーチをご活用いただいている、「NOIL」について具体的に教えてください。
「NOIL」は2019年にスタートした新価値創造プログラムです。社名ロゴの「LION」を反転すると「NOIL」になります。ライオンを裏側から眺めて、”ヘルスケアの常識を破る”新たな可能性を秘めたアイディアを従業員から募集し、事業化を目指します。今年で5回目の開催となりましたが、回数を重ねるにつれて、生活者の課題をより深掘りしたアイディアが増えてきたと感じています。
プログラムの流れとしては、まず3ヶ月の準備期間をもってエントリーシートの作成を進めます。書類審査と面接審査を通過したファイナリストはさらに3ヶ月をかけて最終選考でのプレゼン準備を進めます。採択プロジェクトは、さらなるブラッシュアップと事業性検証を経たのち、社内の新規事業として推進されるか、社外からの出資を入れて分社化することもあります。
事務局は、起案者の壁打ち相手として相談に乗ったり、情報提供したり、インタビュー後の分析を一緒に整理したりと、伴走する形でサポートしています。
短い期間で情報収集と仮説検証を繰り返す新規事業 ユニーリサーチとの相性は抜群だった
― 御社では、ユーザーリサーチを行う必要性をどう考えていますか?
永盛さん: 既存事業でも顧客に寄り添った開発を進めているように、社内の共通認識として「価値は顧客が決める」という信念を持っています。新しい価値を作ろうとするとき、そのまま受け入れられて事業化できるものは実際には少ないものです。早めに顧客の声を聞き、確度が高いほうにブラッシュアップする必要があると考えています。
― ユニーリサーチを導入したきっかけについて教えてください。
永盛さん: 導入前は、機縁での依頼を行なっていたのですが、もっと簡単に対面でインタビューできる方法はないかと探していたところ、ユニーリサーチを見つけました。
ユニーリサーチは、アイディア段階での探索的な情報収集に活用できるし、仮説検証にも使えます。新規事業の開発ではこの2つのフェーズを行ったり来たりしながら、決められた期間内に何回もリサーチを積み重ねていく必要があるので、決済稟議に時間をかけず、素早くインタビューできるユニーリサーチは「NOIL」との相性がすごくいいと思いました。
― ありがとうございます。「NOIL」においては、ユニーリサーチはどのようにご活用いただいているのでしょうか。
永盛さん: 顧客の声を直接聞くための便利なツールとして事務局から起案者に紹介しています。現在はエントリーシートの段階からほとんどの起案者がユニーリサーチを使っており、お客様の真意を汲み取った起案ができていると思います。またプレゼンテーションの時にも、多くの方にインタビューしている方は、よりミクロな目で顧客を理解できていると思います。質疑応答時に、解像度の高い回答があると、説得力は一段と変わってくるなと感じますね。
直感的に簡単に使えるユニーリサーチは、事務局としても紹介しやすかった
― ありがとうございます。永盛さんご自身もお使いいただいていますよね。実際に使ってみて、ユニーリサーチの機能で良いと思うポイントはありますか?
永盛さん: 事前に対象者を絞れること、また気兼ねなくインタビューできることには、大変助かっています。
機縁では、会ってはみたものの求めている人とは違った、もしくは条件が特殊で周りに合致する対象者がそもそもいない、ということも度々ありました。しかし、ユニーリサーチでは条件に合う対象者の方に問題なくインタビューできています。また知り合いの紹介ですと、互いに気を遣ってしまうものですが、ユニーリサーチであれば少なくとも相手側に気を遣わせることがないので、本音を聞けていると思います。
機能的に難しいところがなく、簡単に使えるところも良いなと思います。起案者の方に紹介する際には、大体の方にすんなり使っていただけているので、手離れがよく事務局の立場として大変助かっています。
― ありがとうございます。最後に、今後の展望について教えてください。
永盛さん: 「NOIL」での活動を通して、起案者は、事業オーナーとして1から10まで事業開発を推進することが出来、リーンスタートアップ的な考え方や決断力、検証力の強化に繋がっているようです。
新規事業への挑戦を通じてスキルアップできる点は多いので、社内の多くの方にいろんな深さで関わっていただきたいと思います。またその中で実際に顧客の声を聞くと、デスクトップリサーチとは解像度が違う理解が得られます。新規事業に携わる方にはぜひユニリーサーチを使ってもらって、まずはその経験をしてほしいと思います。