「小さな改善を高速で繰り返していくためには、現場の声が必要」 インキュベーションを支える「スピード」を担保
オプトインキュベートは、「事業創造に熱狂を」というビジョンのもと、事業の仕組みを創るインキュベーション企業です。デジタルホールディングスグループの1社として、グループ全体のアセットを活用した投資を基盤に、新規事業の成功確率を高めるための事業開発支援を行っています。
同社が新規事業の開発に従事するなかで磨き上げた独自のフレームワークと、クラウド型開発プラットフォーム「Pocone(ポコン)」などの独自メソッドを活用することで、事業アイデアの発案から検証まで最短3ヶ月と、圧倒的な「スピード」で新規事業の開発支援を行うことが可能です。
今回は、同社が強みとする「スピード」の実現にはユニーリサーチも貢献していると話す、株式会社オプトインキュベート インキュベーション事業部 戦略ディレクター 山賀美裕さんに、ユニーリサーチ導入後の感想などをお伺いしました。
※本記事の内容は取材日2023年9月5日時点のものです。
独自のクラウド型開発プラットフォームを提供し、顧客の新規事業開発を支援するインキュベーション企業
― 御社事業について教えてください。
山賀さん: オプトインキュベートは、顧客企業の新規事業開発におけるコンサルティング支援を行っています。そのなかで、主に3つ、顧客企業に対する支援を行っています。
1点目は、事業化支援コンサルティングです。海外のスタートアップに関するデータベースとChatGPTの活用、当社のインキュベーターや提携する有識者とのワークショップを実施することで、新規事業アイデアの共創(アイディエーション)を行っています。さらに、新規事業サービスのターゲット層の設定や調査検証の設計および実行といった仮説検証(PoC)まで、新規事業立ち上げに関する一連の支援を行っています。
2点目は、プロダクト開発支援です。新規事業のビジネスコンセプトを検証するためには、実用最小限の機能を実装したプロダクト開発(MVP開発)が有効です。当社では、WebサービスにおけるMVP開発を効率的かつスピーディーに実現するためのクラウド型開発プラットフォーム「Pocone」を開発・提供しています。近年増加しているマッチング・シェアリング、およびサブスクリプション型事業などのプラットフォームについては、最短1日で構築することも可能です。必要最小限の機能がテンプレートとして揃っている「Pocone」を活用いただくことで、これまで、チームにエンジニアがいない、コストの関係で外部委託ができないなど、さまざまな理由でMVP開発を断念されている方についても、新規事業の早期開発を実現することが可能です。
3点目は、事業グロース支援です。事業計画分析やサービスの提供価値の再定義など、事業立ち上げ後のお客様のコンディションに合わせた事業グロースコンサルティングやマーケティング支援などを行っています。
― ありがとうございます。お客様はどのような規模感の企業が多いのでしょうか?また支援するうえで大事にされていることがあれば教えてください。
山賀さん: さまざまなフェーズやビジネスモデルのお客様の支援を行っていますが、特に大企業のお客様から高い評価をいただいています。当社には多くの支援実績があるため、目指したい事業規模の設定、自社アセットの活用、MVP開発の品質など、大企業のお客様ならではの課題に関するナレッジが豊富にある点を評価いただいているのだと思います。
また、当社の社員がプロジェクトメンバーの一員となり、お客様に伴走しながら一緒に新規事業をつくり上げていきます。お客様が実現したいことを汲み取りながら、検証時や開発時など、さまざまな場面で新規事業の成功確率が高まるよう提案しています。案件のスタート時には、私たちがお客様をリードし事業開発を進める場合が多いですが、ナレッジをお客様に共有しながら伴走することで、将来的にはお客様が独自で事業開発を推進できる仕組みをつくり上げることが理想です。
― これまでに多くの新規事業開発を支援されているかと思いますが、「陥りがちな失敗」について教えてください。
山賀さん: 情報が揃っていない不確実な状況下にある新規事業開発の現場では、意思決定が必要となるケースが往々にしてあります。このような状況下では、どのように判断したらよいか、打開策が見つからずにプロジェクトが停滞してしまうといった相談を多く受けます。
決定に必要な情報を100%揃えた上で判断できる状況は少ないと受け止め、「今ある情報から仮説を構築して検証をする、検証が前に進むためのポイント」と考え方を変えることでプロジェクトを前進させることができます。新規事業開発には「行動を止めないこと」が必要です。
ユーザー自身も気づかない「潜在ニーズ」を捉えるために必要な質問とは?
― ユーザーインタビューはどのような目的で実施されていますか?またその際に工夫されていることを教えてください。
山賀さん: 新規事業におけるユーザーニーズを調査するため、インタビューを実施しています。ただ、ユーザー自身がニーズに気づいていないこともあるため、「普段どのような生活を送っているか」「このサービス(ビジネスアイデア)の代替品となるものは何か」「お金を支払ってでも解決したい悩みはあるか」といった、ユーザーの基本行動や今抱えている課題などを探る質問によって、ユーザーの潜在的なニーズを捉えられるよう心掛けています。
特に、今までにないサービスは「本当に使ってもらえるのか?」という検証が難しいです。ユーザーが抱えている課題の理解と解決方法を見つけることが、事業開発を前進させるためには必要な要素となります。
インタビューは、ソリューション検証のフェーズにおいても実施しています。なぜなら、リリース前のサービスをどのように擬似体験していただくかが重要だからです。疑似体験用に作成したランディングページやコンテンツを実際に体験いただき意見を集めることで、効果的な検証につなげています。メッセージやアクションの違うページを複数作成し、良いと感じるのはどのパターンかなどを検証していきます。
「インタビュー実施から数日で結果報告」 お客様も驚くスピードをユニーリサーチが担保
― ユニーリサーチをご活用いただいた感想はいかがでしょうか?
山賀さん: 当社では、開発支援において「スピード」を重視しています。ユニーリサーチを導入したことで、リクルーティング、インタビューの実施、結果報告までを圧倒的なスピード感で実現できるようになりました。「今週中にユーザーインタビューを実施して、来週には結果を報告しますね!」といったスケジュール感に、お客様も驚かれています。綿密な計画を立て時間をかけてインタビューするケースや、難しい募集条件のケースもありますが、こうしたスピードを担保できるのは、すぐにインタビュー対象者を見つけられるユニーリサーチだからこそだと感じています。また、大規模なアンケートパネルを持つリサーチ会社に依頼するよりも、圧倒的にコストを抑えられるため、こまめに検証を実施できるのもありがたいです。
ユニーリサーチでクイックに聞き、得られた検証結果をすぐにお客様にフィードバックすることで、検証結果をもとに納得感を共有しながら、すぐに小さな改善サイクルを回せることは、新規事業開発に欠かせません。「スピード」を強みとしている当社と方向性がフィットしたツールだと感じています。
― 便利に思われる機能があれば教えてください。
山賀さん: ツールの操作性や募集に対して集まる人数は、他のツールと比較しても一番だと思います。また、自動日程調整機能も便利ですね。インタビューの日程調整が非常にスムーズです。
最近の機能アップデートで嬉しかったのは、募集を立ち上げた担当者以外でもメッセージ機能や決済機能を使えるようになったことです。「2、3日後にインタビューをしたい!」といったスピードで案件が動いたとしても、募集を立ち上げた担当者がすぐに対応できない状況もあるため、他のメンバーでも柔軟に対応できるようになったのは大変便利だと感じました。
当事者の話を聞いて初めて得られた視点。サービスや価値を再考するヒントになった
― ありがとうございます。これまでのインタビューで、特に印象に残ったケースはありますか?
山賀さん: ファミリー向けの新規事業の開発時にインタビューしたケースでは、小さなお子さまがいらっしゃるご家族から実際の悩みを聞くことができました。内容としては、「育休中に無事に保育園を見つけて職場に戻れるのか」といった不安をお伺いし、この課題をなんとしても解決したい、と身が引き締まりました。インタビュー対象者も、インタビュー協力が課題解決につながるかもしれないと参加意義を感じてくださっていたため、この期待にお応えしたいという想いでいっぱいになりました。
他にも、センシティブな内容で募集難度の高い条件があったインタビューについても、インタビューを実施することができました。インタビューを通じて、これまでお客様や当社では気づくことができなかった新しい視点での意見をいただくことができ、当初想定していた以上の価値やサービスが提供できるのではないかと、事業内容を再考するきっかけになった事例でもありました。
当事者でなければ分からないことや気づけないことも多いため、直接インタビューすることは本当に大事ですね。
― 今後の展望について教えてください。
引き続き、さまざまなフェーズやビジネスモデルのお客様の新規事業開発の支援を行い、お客様の事業成長に伴走していきたいと思っています。
新規事業開発において、ユーザーインタビューは欠かせないプロセスです。いかにスピード感を持ってユーザーの声を集められるかは、事業を進める上で非常に重要です。ユニーリサーチ導入前は、社内や友人等のつながりをもとにインタビューを実施していたため、即日で多くの悩みを聞くことが難しい状況でした。ユニーリサーチを導入したことで、スピーディーにユーザーの声を反映しながらサービスをつくることが実現できています。