ポーラが取り組む新規事業 ユニーリサーチでビジネスアイディアを磨き、事業化の確度向上へ
ポーラは、「B.A」や「リンクルショット」など人気の化粧品ブランドを展開する企業です。「最上のものを一人ひとりにあったお手入れとともに直接お手渡ししたい」という創業からの想いのもと、コスメ&エステショップ「ポーラ ザ ビューティー」を軸とした全国約2,700の店舗と約23,000名の「ビューティーディレクター」が、一人ひとりの「美と健康」に寄り添ったケアを提供しています。
2029年に創業100周年を迎える同社では、「We Care More. 世界を変える、心づかいを。」をスローガンに掲げ、ケアの領域を人から社会へ、そして地球へと広げることを目指しています。ビジネスアイディアコンテスト「NEWILL」もその実現に向けた施策の一つ。新たな製品、新たな市場の開拓に向けて2021年より始動しました。
今回は「NEWILL」運営事務局を担い、ご自身もフェムテック領域での事業創出に挑戦する同社 新市場企画PJ 馬庭千晶さんにユニーリサーチの活用メリットなどをお伺いしました。
※本記事の内容は取材日2024年4月2日時点のものとなっています
創業100周年に向けて、人と社会と地球のすべてを「Care」していく
― 御社事業について教えてください。
新市場企画PJ 馬庭千晶さん
馬庭さん: ポーラは、「B.A」や「リンクルショット」といった化粧品ブランドを展開しており、化粧品会社としては国内第4位の企業です。
私たちの原点は、創業者の鈴木忍が妻の荒れた手を治すために独学でハンドクリームを作り、プレゼントしたことにあります。「最上のものを一人ひとりにあったお手入れとともに直接お手渡ししたい」という想いは現在もポーラに受け継がれており、化粧品・カウンセリング・エステの3サービスが融合した「ポーラ ザ ビューティー」を含む全国約2,700の店舗と、美容のスペシャリストである約23,000名の「ビューティーディレクター」が目の前のお客さまの「美と健康」のパートナーとして向き合っています。
2029年に創業100周年を迎えるポーラは、「We Care More. 世界を変える、心づかいを。」をスローガンに掲げ、創業精神である「Care」を人から社会へ、さらに地球へと広げていきたいと考えています。
― 馬庭さんも所属している「新市場企画PJ」について教えてください。
肌のケアだけでなく、地球全体をケアするにあたっては化粧品会社の枠を超えた新市場への挑戦が必要です。そこで2020年7月に「新市場企画プロジェクト」が発足しました。
現在のメンバーは7人で、既にサービスリリースを実現した冷凍宅食惣菜『BIDISH』をはじめ、フェムケア領域や教育など、「美と健康」に貢献する幅広い領域での事業創出を目指しています。
2023年7月に新規事業第一号としてローンチした冷凍宅食惣菜『BIDISH』
またビジネスアイディアコンテスト「NEWILL」では事務局として全面的に起案者のサポートを担っています。アイディアを発散し、尖らせ磨き上げられるさまざまなコンテンツとワークショップを事務局で用意するほか、採択後は事業のプロジェクトマネージャーとして起案者に伴走しています。
― ユニーリサーチもご活用いただいている「NEWILL」について教えてください。
馬庭さん: ビジネスアイディアコンテスト「NEWILL」は2021年に始動し、現在は第4期が進行中です。私自身も第1期にフェムテック事業で採択され、事業化に向けて取り組んでいます。
採択されるのは年間で2〜3案。選考は、経営層と新市場企画プロジェクトチーム、そしてビジネスコンテストに知見のある外部の方も含めてジャッジします。起案者に強い意志があるか、そこが最も大事なポイントですね。
最終的な事業化判断は採択後、複数回の経営審査を経て決定されます。
課題、チャネル、マネタイズの検証などに活用し、ビジネスアイディアの質を高める
― ユニーリサーチは、どのような場面でご活用いただいているのでしょうか?
馬庭さん: コンセプト設計のフェーズで使うことが多いですね。お金を払ってでも解決したい課題があるのか、提供価値を最大限発揮できる解決策であるのかなどを見極めるためには、できるだけ多くの想定ターゲットの話を聞くことが重要ですから。
そして私自身も、フェムケア事業で活用しています。チャネルやマネタイズの検証を行ったり、ターゲットを変えて聞き直したり、ソリューションを考えなおす際には課題検証まで戻ったりと、状況に応じてステップを行ったり来たりしながら使っています。
ユニーリサーチなら、的確なターゲットに、スピード感を持って、数多く出会える
― ユニーリサーチ導入に至ったポイントを教えてください。
馬庭さん: まずユーザーリサーチには3つの壁があると考えています。
一つは的確なターゲットに出会うこと。せっかく時間をかけてインタビューしても、本来のターゲットでなかったなら時間を無駄にしてしまうし、意図しない声に振り回されてしまうパターンもあります。どの層が本来のコアターゲットであるのかを見定めた上で、実際に必要な方に出会うのは、とても難しいことだと思います。
次にスピード感です。ターゲットを設定してから実際に出会うまでのプロセスは長くなりがちなので、どこまで早く機会を持てるかは、とても大事です。
そして量の担保。ヒアリング数が少ないと説得力を持てないので、20〜30人には出会う必要があると思います。
ユニーリサーチは、そうした3つの壁を突破できるサービスだと思いました。
― ありがとうございます。実際に使ってみて、いかがでしょうか?特に印象に残っていることがあれば教えてください。
馬庭さん: ユニーリサーチにはさまざまな属性の方が登録しているので、偏りのない規模の大きなプラットフォームの中でターゲットを探せるのが魅力的ですね。募集の際の事前設問に対してきちんと回答いただけるため、本当に話を聞きたい方に出会うことができています。募集してからも早く、3日後にはインタビューを実行しています。
私は「タブーを自由にラボ」という共創型のフェムケアプロジェクトを運営しており、その立ち上げに際しては100名を超える方々にアンケートを実施しました。女性のお悩みやもやもやを知る貴重な機会となったのですが、私個人のSNSを中心に回答の協力を呼びかけていたので、事業化に向けたデータとしては、偏りがありました。
ユニーリサーチを通して今までとは異なるターゲット層に出会うことで、課題を別の観点で捉えられたり、コンテンツを絞れたりといった学びがありました。ユニーリサーチではバイアスのない生の声を聞けると感じています。
今後は大学生向けのワークショップを展開していく予定です。ターゲット層の変更も検討しているので、改めてユニーリサーチを使ってヒアリングしたいと考えています。
『想像できない体験』を当たり前に。「新市場企画プロジェクト」でポーラの風土を変える
― 最後に、今後の展望について教えてください。
馬庭さん: わたしたちは、起案から3年間での事業立ち上げを目標にしています。
新規事業は難しく、ピボットも常に起こり得ますし、撤退せざるを得ないこともあります。しかし、2023年7月に第一号としてローンチした冷凍宅食惣菜『BIDISH』事業がクラウドファンディングでの販売開始に至るなど、一歩一歩ですが、目標を達成できています。
私たちのプロジェクトビジョンは「今はまだ誰も『想像できない体験』を、ポーラの新たな市場想像と新事業活動で当たり前に。」です。100周年を迎える2029年まで、あと5年。そうした未来を描くため、これからいくつの企画をリリースし、「想像できない体験」を当たり前とできるのか。これからも地道に目標を追いかけていきたいと思います。