
インタビューの振り返り手法を実演!実施時のメモの取り方からグループワークの方法まで大公開by株式会社ユニークルーパー
ユーザーインタビューの実施機会は増える一方で「発見がなかった」「インタビュー手法に自信が無い」といった声もあります。そのような課題は、ユーザーインタビューの振り返りが十分にできていない可能性が原因として考えられます。そこで、プロダクトリサーチャー/リサーチコンサルタントとして多くの案件に従事してきた株式会社ユニークルーパーの平野美和氏をお迎えし、イベントを開催しました。本記事ではインタビューの振り返り方法をメモの取り方からグループワークの方法に至るまでご紹介します。
なお、以下から実際のインタビューを想定したメモの取り方からグループワークの振り返りの実演もご視聴いただけます。一部記事内で取り上げきれなかった部分もございますので、ぜひ合わせてご覧ください。
スピーカー 平野 美和氏 株式会社ユニークルーパー代表取締役 プロダクトリサーチャー/リサーチコンサルタント
なぜインタビューの振り返りは難しいのか?
ー平野氏
私たちは企業のマーケティングリサーチを支援する立場として、相当数の調査を実施しています。調査を実施したい事業会社の方からは「インタビューをしたいが、どう着手したらいいのか」というお悩みの声をよくいただきます。
そこでユニークルーパーでは、インタビュー調査のブラックボックス化を解消し、次のアクションに繋げていくためにDSR(デザインスプリントリサーチ)という仮説構築〜検証インタビューのプログラムを開発しました。
DSR(デザインスプリントリサーチ)とは?

ー平野氏
DSR(デザインスプリントリサーチ)は、Google Venturesの開発メソッド「デザインスプリント」の考え方を元にしたプログラムです。デザインスプリントとは、新製品やサービスを市場に投入する際のリスクを減らすためのプロセスです。「理解・発散・決定・プロトタイプ・検証」の段階を5日という時間制約を設けて実施していきます。
ユニークルーパーのDSRでは「仮説構築」と「仮説の検証&探索」の2つの工程をスピーディーに繰り返すことで、アイデアや仮説の価値をはかり、解像度を上げることを重要視しています。
DSR(デザインスプリントリサーチ)のステップ

ー平野氏
DSR(デザインスプリントリサーチ)は、上図のように「アイデア創発」「プロトタイプ制作」「仮説検証インタビュー」の3ステップからなります。
今回はDSRの仮説検証インタビューのステップ内の「分析・意思決定」をベースに振り返りの手法を実践形式で解説します。早速、インタビューの振り返りにおいて点として今回は3点を紹介します。それは「意思決定のプロセスの共有」、「メモを取り、意見を出す」、「グループワーク」です。
Step1.『意思決定のプロセスの共有』で押さえておきたいこと
「リサーチのゴール」を共有する
ー平野氏
リサーチにおいて大事なことは事前にチームで、リサーチの結果を受けて、意思決定をどのように行うかを共有することです。そのためにまずは、「リサーチのゴール」の認識を合わせます。インタビュー調査を実施する中で、「ゴールがふわふわして次の打ち手や施策に繋げづらかった」などのご経験がある方もいらっしゃるでしょう。
リサーチで得られた結果を、何に活用するかのゴールイメージを必ず共有しましょう。
「解決策・価値の出し方」を共有する

ー平野氏
ゴールが決まった後は、「解決策・価値の出し方」を決めます。
おすすめの方法は、ユーザーの「なりたい姿・目指したい状況」と「阻害している要因」を整理することで、「解決策・価値の発見」に繋げやすくなります。
「意見の出し方」を共有する
ー平野氏
DSRでは、「意見の出し方」も共通化しておきます。フレームワークがあることで、意見も出しやすくなりますし、次のステップでの活用もしやすくなります。
DSRでは前半に個人ワークで意見を出し、後半でグループワークで重要な問いを出し解決を図るという流れをフレームワークとしています。
Step2.『メモの取り方・意見の出し方』で押さえておきたいこと
役割分担
ー平野氏
チームで効果的に振り返りをするには、あらかじめ役割分担をしておくことがおすすめです。役割分担が不十分だと、インタビュー参加者が皆同じようなメモをとってしまい気づきを得られない懸念があるため、注目すべき観点を事前に分ける目的で行います。
我々の場合は、発言の内容を要約して記録する「記録者」と注意深く観察して気づきを出す「観察者」に分かれて分担をしています。記録者は発言内容を細かく追っているためインタビュー後の振り返りではファシリテーターとなり、観察者はあくまでも気づきを出すことに意識を向けるのがポイントです。
記録者の振る舞い
ー平野氏
インタビュー中は記録者はとにかく「キーワード」を、見落とさないようにメモをしましょう。そして、インタビュー後に手元のメモを参考に、単語ではなく2〜3行程度の文章にし付箋にまとめます。
付箋でホワイトボードなどに貼る際は、手元のメモをすべて掲載する必要はありません。テーマに対して重要だと思われるものを順番に取捨選択し、かつ「状況・実態把握」と「思考・感情」に分けて貼り出します。
なお、インタビュー直後に振り返りを実施する場合は、この一連の流れを終了後10〜15分で終えます。観察者が貼り出された付箋を見ながら気づきを考えることもあるため、なるべく早く掲示しましょう。
観察者の振る舞い
ー平野氏
観察者はキーワードに対して、「なぜ気になったのか」「どこが気になったのか」など、その場で得た感覚を言語化することを意識します。そのため、ユーザーの発言を一言一句記録するのではなく、むしろ注意深く話を聴き、気になった発言や気づきを出すことに注力します。
付箋にし貼り出す際は、気になった発言に対して、自分なりの解釈を加えることでメンバーにも共有しやすくなります。記録者の気づきの内容や数には制限はありませんが、テーマをよく意識し関連するポイントを重点的に出しましょう。
なお、解決策に直ちに繋がるようなポイントを掘り下げても、本質的な価値の発見には到達しません。グループで深堀りたいと思う重要な問いや気づきをすくい上げられるよう意識してください。
Step3.『グループワーク』において押さえておきたいこと

ー平野氏 グループワークでは、インタビュー後にまとめた付箋を用います。ファシリテーターが主導となって、ホワイトボードにまとめられた内容を確認し、「重要度の高い付箋」を選定します。
そしてチームメンバー全員で、重要度の高い付箋から解決策や価値の発見、問いに繋げる手立てを書き出します。作業が完了したら、メンバー一人ひとりが簡潔に意見を発表し、類似意見をまとめます。
なお、インタビュー直後の振り返りで解決策や価値の発見そのものに辿り着くことは非常に困難です。そのため、このセッションから次に繋げるための気づきを出すことに注力することが重要です。
インタビュー時のメモの取り方〜グループワークの振り返りを実演

ご紹介したDSRのステップを踏まえて、実際のインタビュー時のメモの取り方からグループワークの振り返りの実演は以下の動画からご覧いただけます。
旅行会社がグループ旅行の幹事に向けた情報ツールの提供に備え、仮説が正しいものかを検証するモデルケースを想定しています。
記事内でご紹介しきれなかった部分や動画だからこそ得られるポイントも多数ありますので、ぜひご覧ください。
なお、ユーザーインタビューを実施する際に、インタビュー相手のリクルーティングに課題をお持ちの場合は、国内最大級のダイレクトリサーチサービス「ユニーリサーチ」のご利用を検討ください。全国のユーザーに「最短当日かつ、1名5,000円~」でインタビュー実施が可能です。大企業をはじめとした2,500社以上に利用されています。サービス詳細や利用事例は以下からご覧ください。
