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ユーザーインタビューの課題分析はなぜ難しい?課題特定のプロセスや効果的な分析手法【イベントレポート】

ユーザーインタビューの課題分析はなぜ難しい?課題特定のプロセスや効果的な分析手法【イベントレポート】

サービス開発において、対象となる顧客に対してユーザーインタビューを実施し課題の特定を行うべきという通説があります。一方で、課題特定を誤った方法で行っていたり、正しい方法で行えているか不安を抱えている方もいます。そこで、多くの事業開発を支援してきたSEREAL株式会社 代表取締役 安達氏をお迎えしイベントを開催しました。 本記事では、ユーザーインタビューにおける実践的な課題分析の方法について解説します。なお、以下から実際のイベント動画もご視聴いただけます。一部記事内で取り上げきれなかった部分もございますので、ぜひ合わせてご覧ください。 【無料】このイベントを動画で見る

スピーカー 安達 誠寛氏 SEREAL株式会社 代表取締役CEO/Designer

課題特定はなぜ難しい?そもそも課題とは何か?

ー安達氏 課題特定とはどのような状態であるかを、はっきりと回答することはできますか?課題探索をしようとすると「課題のようなもの」が複数出現したり、「問題・課題・原因・対策」といった厳密には異なる要素が入れ子状になっていたりといった難しさがあります。 結論、実践レベルの課題特定で扱うべきは「価値課題」と「原因課題」の二つに絞られます。課題がよくわからないと感じている方ほど、ぜひこの二点に集中するようにしてください。

価値課題とは

ー安達氏 価値課題とはユーザーが解決に価値を感じる課題を指します。言い換えると、お金や対価を支払ってもらえる課題です。なお、この価値課題は複数あると考えられます。そのような場合、事業者としてどこのレイヤーで価値提供するべきかを決めましょう。 例えば、結婚式を控えた女性の課題として「結婚式までに綺麗になりたい」があった場合、自社のサービスと照らし合わせて「なかなか痩せない」という点にフォーカスするといった具合です。

原因課題とは

ー安達氏 一方、原因課題とは価値課題が解決しない原因を指します。先ほどの結婚式を控えた女性の例であれば、なかなか痩せないという事象の原因、すなわち上図のように構造化すると最終的に「食欲を我慢できない」が原因課題となります。 そしてこのように原因課題が特定できていれば、論理的にソリューションを設計できます。食欲を我慢できないことに対するソリューションとしては、「全ての食事を食欲がなくなる青色にするスプレー」「食欲ホルモンの分泌を抑えるサプリ」などが考えられるでしょう。

よくある間違った課題設定

ー安達氏 課題設定時によくある間違いとして挙げられるのが「ソリューションに対して大きすぎる価値課題を設定してしまうこと」です。例えば「結婚式までに綺麗になりたい」は「なかなか痩せない」よりも大きな価値課題であり、解決の難易度がより高くなってしまいます。 また、もう1点「価値課題に対してソリューションを設計してしまう」こともNGです。食欲を我慢できないという原因課題に対してではなく、「結婚式までに綺麗になりたい」に対しての設計をしてしまうと想定しているソリューションとの乖離が激しいため避けるべきです。ソリューションは必ず、原因課題に対しての解決策として設計しましょう。

課題特定のプロセス

ー安達氏 価値課題と原因課題を特定するプロセスは、上図の通り4つの要素があります。

  1. 価値課題の探索

  2. 価値課題の特定

  3. 課題の構造化

  4. 原因課題の特定

上記のステップです。

そのため、「対価をもらえる課題の特定」と「対価をもらうために解決しないといけない課題(原因)の特定」の大きく2段階に分けて実施してください。

価値課題の探索・特定を効率的に行う方法

ー安達氏 価値課題の特定には半構造化インタビューがおすすめです。とはいえ、インタビューの実施時には、インタビュースクリプトの設計の難しさやインタビュー後にどれを課題とするかわからないという状況に陥っている方もいらっしゃるでしょう。 しばしば、課題を見つけることがインタビューにおいて重要だと言われていますが、効率的に課題特定を行いたいのであれば、「課題を探すのではなく、ユーザーを理解する」ようにしましょう。 課題特定を誕生日プレゼント選びに置き換えてみると、課題をユーザーに聞くということは誕生日に何が欲しいかを直接相手に聞いている状態です。聞かれた本人からすると、欲しい物が明確でなかったり、答えてはみたものの対して欲しいものを挙げられなかったということもあります。 そこで意識いただきたいのが、「課題は『現状』と『理想』の間のどこかに必ずある」ということです。この現状と理想の理解に役立つのがRIGAPというフレームワークです。

ユーザーを理解する際に用いたいフレームワーク『RIGAP』

ー安達氏 RIGAPとは、ユーザー自身に現状と理想の間にどのようなギャップがあり、それに伴いどのようなアクションをし、何が障害となっているのかを整理したものです。上図であれば、太っているが半年後に結婚式があり、人生で一番綺麗な姿で式を迎えるため-20kgを目標に走っているものの続いていないという一連がRIGAPに当たります。

RIGAPを活用したインタビュー設計方法

ー安達氏 インタビュースクリプトは、上図の通りRIGAPに従って現状・理想・ギャップ・やっていること・やっていることで課題になっていることを知る質問を考えることで作成できます。 初期のインタビューでは課題に関する質問にいきなりたどり着くのは難しいため、現状と理想を徹底的に聞くようにしましょう。この2点が整理できるようになると、ギャップについては聞かなくても推定できるようになったり、課題に関する質問が見えてきたりします。 そのため、スクリプトはインタビューを繰り返すなかでRIGAPを用いて分析し改善しましょう。価値課題になりそうなものにあたりをつけ、スクリプトを寄せていくイメージです。ただ、あたりをつけても基本的には「現状」「理想」から入り、課題ではなくユーザー自身のRIGAPを理解することを大切にしてください。

まとめ

「価値課題」と「原因課題」を理解することで、課題特定をすることができます。ユーザー理解をしていく上では、ぜひご紹介したRIGAPや課題の構造化を用いてみてください。 以下では、記事内でご紹介しきれなかった内容を含む、実際の講義動画もご覧になれます。ぜひ、ご覧ください。 【無料】このイベントを動画で見る ご紹介した通り、価値課題の特定にはインタビューがおすすめです。その際はぜひ、ユニーリサーチのご利用を検討ください。『最短当日・従来調査費用の10分の1以下』と短期間かつ低コストで質の高いユーザーインタビューを実施いただけます。サービス詳細や利用事例は以下から、ご覧ください。 ユニーリサーチ紹介資料を見る

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登壇した人
【登壇者】安達 誠寛氏
【登壇者】安達 誠寛氏
SEREAL株式会社 代表取締役CEO/Designer 1985年島根県生まれ。九州大学・九州大学大学院卒業。 大学進学を期に福岡に移住。大学卒業後にスタートアップを共同創業しプロダクトデザインを担当する。その後StartupStudioSerealを立ち上げ「良質なスタートアップを量産する」をミッションにスタートアップとの協業や自社サービス開発を複数同時に行なっている。 初期フェーズの事業開発、プロダクト開発、デザインが得意。
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