フォーカスグループインタビューとは?メリットやグルーピング例を紹介
定性調査の代表的な手法である「フォーカスグループインタビュー」について、デプスインタビューとの違いや実施のメリット・デメリット、グルーピングの例などをご紹介します。
フォーカスグループインタビュー(FGI)とは?
「フォーカスグループインタビュー(Focus Group Interview)」とは、共通した属性をもつユーザーのグループ(フォーカスグループ)を2つ以上作り、座談会形式でインタビューを実施する調査方法です。複数のグループを作成することで、属性ごとの違いを比較することができます。ユーザーの生の言動など、数値化できない情報を収集する「定性調査」の代表的な手法です。
フォーカスグループとは?
フォーカスグループインタビューの「フォーカスグループ」とは、調査の目的に沿って、調査対象の商品・サービスの利用状況や、年齢・性別・ライフステージなどが似た属性の人を集めたグループのことです。
フォーカスグループインタビューがどのように始まったかについては諸説あるようですが、「フォーカスグループ」という名称は、心理学者兼マーケティングの専門家であり、モチベーションリサーチの父と呼ばれるアーネスト・ディヒター氏(Ernest Dichter)が名付けました。
デプスインタビューとの違い
1対1の対話形式で行う「デプスインタビュー」との違いは、単にグループを対象に座談会方式で行うということだけではありません。4~8名程度に同時にインタビューすることで、一度で多くの情報を得られる、ユーザー同士の相互作用で新たな意見が出る、などのメリットがあります。また、複数のフォーカスグループに対して調査を行うことで、属性ごとの結果を比較することができます。
一方で、1人1人の意見を掘り下げたり、人前で話しづらいお金や健康などに関するセンシティブなテーマについてインタビューしたりすることには向きません。調査のテーマや目的に合わせ、インタビュー方法を使い分けることが大切です。
フォーカスグループインタビューのメリット・デメリット
「フォーカスグループインタビュー」を実施する場合のメリット・デメリットについて紹介します。
フォーカスグループインタビューのメリット
フォーカスグループインタビューの主なメリットは以下の3つです。
短時間で多くの情報を得られる
4~8名程度のグループに対してインタビューを行うことで、1度の実施で多くの情報を得ることができます。
インタビューの活性化が期待できる
グループ内のユーザー同士の相互作用(グループダイナミクス(集団力動))で発言の活性化や1対1でのインタビューでは思いつかなかったエピソードや意見が出てくることが期待できます。
ただしこれは、他の人の意見に引っ張られてしまい、流れを変えるような発言をしづらいこともあるというデメリットにもなりえます。
フォーカスグループごとの結果を比較できる
複数のフォーカスグループにインタビューすることで、属性ごとの結果の違いを比較することができます。自社商品・サービスの利用状況や年代、地域などが異なるグループ間での結果を比較・分析し、価値観やニーズの相違点および共通点の理解につなげます。
フォーカスグループインタビューのデメリット
フォーカスグループインタビューの主なデメリットは以下の3つです。
一人の発言を掘り下げにくい
グループ全体としての会話の流れがあること、一人あたりの発言時間が限られていることから、一人の発言について深堀りしていくことが難しくなります。
サービス利用や商品購入などの意思決定プロセスを明らかにしたり、潜在的なニーズや隠れた本音を探ったりする場合は、一人のユーザーに対しての質問を重ねていけるデプスインタビューの方が、より掘り下げた内容を聞くことができるでしょう。
モデレーターの難易度が高い
フォーカスグループインタビューではモデレーター(司会)の技術が重要ですが、4~8名程度のユーザーを相手にインタビューを進行する必要があるため、その難易度は高くなります。モデレーターの負担を減らすためには、質問設計やインタビューガイド(シナリオ)の十分な事前準備、記録アシスタントの同席、グループ内の人数を絞るなどの対策が考えられます。
センシティブな話題には向かない
グループで行う以上、他のユーザーの前で発言する必要があるため、センシティブな話題についてのインタビューには向きません。お金や病気に関する話題など、人前で個人的なエピソードや忌憚のない意見を言いづらいテーマについてインタビューする場合は1対1で行うデプスインタビューの方が適しています。
フォーカスグループインタビューを実施する時の注意点
フォーカスグループインタビューを実施する際の主な注意点を3つご紹介します。
適正な人数、時間設定
フォーカスグループインタビューを効果的に実施するためには、適正な人数と時間で行うことが重要です。適正な人数は、一般的に6~8名と言われています。人数が多いと進行の難易度が上がるため、初めて実施する場合は少ない人数がおすすめです。ただし、グループ内での相互作用を活かすことを考えると最低でも4、5名程度は必要でしょう。
時間は90〜120分程度で実施されることが多いです。短すぎると全員から十分に発言してもらうことが難しく、長すぎるとユーザーの集中力が切れやすくなってしまいます。集中力を維持するために、休憩を挟むのも良いでしょう。
ちなみに、オンラインの場合は、人数は3~4名で時間も90分程度が推奨です。
オンラインの場合は、対面のようにテンポの良い進行が難しく、対象者の集中力も持続しにくいため、人数を抑えコンパクトに実施することをお勧めします。
モデレーターの言動
モデレーターの言動がインタビューの内容を左右します。事前準備も重要ですが、実際のインタビューでは柔軟な対応によって一人のユーザーに発言が偏らないよう注意する、話題が逸れてしまった場合に元の議題に戻す、などの進行が必要です。
モデレーターのバイアス(先入観)によってユーザーの回答が誘導されないように注意する必要もあります。発言だけでなく、うなずきや相槌もモデレーターの意図する方向に会話を導いてしまうことがあるため気をつけましょう。
明確なグルーピング
フォーカスグループ間での比較やインタビューの活性化のためには最初のグルーピングが重要です。グループ内での属性の共通性およびグループ間での属性の違いが明確でないと、調査後の比較分析で属性ごとの傾向がわかりにくくなります。また、似たライフスタイルや価値観を持つユーザー同士のグループの方が発言しやすく、インタビューが活性化しやすいでしょう。グルーピングの例を後述しますので、ぜひ参考にしてみてください。
フォーカスグループインタビューのグルーピング例
フォーカスグループインタビューのグルーピングの例をご紹介します。調査の目的やテーマに合わせたグルーピングを行うことが重要です。
年代、性別
年代ごと、性別ごとやそのかけ合わせ(20代女性、50代男性など)といった分け方のほか、F1層(20~34歳の女性)、F2層(35~49歳の女性)やZ世代(1990年代後半から2012年頃に生まれた世代)、シニア(マーケティングにおいては一般的に65歳以上の男女)といったグルーピングもあります。
ライフステージ
未婚(独身)・既婚やパートナーの有無、子供の有無などでグルーピングします。子供に関わる情報を得るための調査であれば、子供の人数や年齢、就学状況で細かくグループを分けることもあります。
職業、業種
社会人、学生、専業主婦(主夫)といった就業の有無や、職業、業種によってグルーピングします。
居住地
複数の地域に展開している、または展開予定の商品・サービスに関する調査であれば、居住地別のグルーピングも有効です。首都圏と地方、東日本と西日本などでの分け方が考えられます。
自社および他社の商品・サービス利用状況
自社および他社の商品・サービスについて、認知・利用の有無や、利用頻度によってグルーピングします。
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