デプスインタビューとは?メリット・デメリットや費用を解説
ユーザーリサーチや市場調査の手法のひとつとしてよく聞かれる「デプスインタビュー」。デプスインタビューの利用が効果的な場面やメリット・デメリット、気になる費用などについて解説していきます。
- デプスインタビューとは?
- デプスインタビューの利用場面
- 新規事業開発
- マーケティング施策や既存商品・サービスの改善
- アンケート調査の前後
- デプスインタビューのメリット・デメリット
- デプスインタビューのメリット
- 行動の裏に隠れた潜在的なニーズや本音の発見につながる
- ユーザーの意思決定プロセスを明らかにできる
- センシティブな内容をヒアリングしやすい
- デプスインタビューのデメリット
- コストがかかる
- ユーザー個人の情報しか得られない
- ユーザーとインタビュアーの負担が大きい
- デプスインタビューを実施する際の注意点
- 自己紹介や背景説明でユーザーに安心感を与える
- 二者択一の質問を多用しない
- 先入観を持たない
- 対象ユーザーはどう探す? リクルーティング(募集)方法とその費用
- 社内メンバーや家族、友人、知人
- 調査会社、リサーチ会社
- オンラインサービス
- デプスインタビューの募集ならユニーリサーチ
- 国内最大級のインタビュープラットフォーム『ユニーリサーチ』
デプスインタビューとは?
「デプスインタビュー」とは、1対1の対話形式で行う調査のことで、質問を重ねながら会話を深く掘り下げ、インタビューを受けているユーザーの日々の行動理由やニーズを理解し、明らかにしていく調査です。「デプス(depth)」は深さや奥行きを意味します。
大勢の人を対象にしたアンケート調査などに代表される 、明確な数値結果での計測を目的とする「定量調査」ではなく、ユーザーのそのままの言葉や言動など、数値化できないデータを収集する「定性調査」にカテゴライズされます。
デプスインタビューとよく比較される「グループインタビュー」では複数人を対象とするため、会話を深く掘り下げていくことが難しく、一部のユーザーの意見が埋もれてしまうことがあります。一方で、1回のインタビューで大勢の意見を集めることができ、他のユーザーの発言による相互作用で新たなエピソードが出てくるなどの利点もあるため、調査の目的に応じてインタビュー方法を使い分けていくことが必要です。
デプスインタビューの利用場面
デプスインタビューの利用が有効となる主な場面は、以下の3つです。
新規事業開発
マーケティング施策や既存商品・サービスの改善
アンケート調査の前後
新規事業開発
新規事業開発のためのインサイト収集にデプスインタビューは適しています。マーケットニーズのないサービスをつくってしまい、失敗する新規事業は多く、初期段階から多くの仮説検証を行えるかどうかが事業開発の成功に大きく関わります。デプスインタビューなどの調査を通してユーザーを深く理解した上で、独自のインサイトを発掘し、仮説をブラッシュアップしていくことが重要です。
マーケティング施策や既存商品・サービスの改善
デプスインタビューは1人のユーザーの行動やその理由・背景について深く聞くことができるので、ユーザーがマーケティング施策や既存商品・サービスを利用したときに仮説通りの行動が生まれているか、生まれていない場合はなにがネックとなっているか、丁寧にヒアリングすることができます。インタビューで得られた情報はペルソナの設定やカスタマージャーニーマップの作成にも役立つでしょう。
アンケート調査の前後
市場調査や顧客満足度調査などで大勢のユーザーに向けたアンケート調査を行う前に、デプスインタビューを実施することがあります。デプスインタビューでユーザーのことを事前に理解しておくことでより良いアンケートの調査設計をすることができます。また逆に、定量調査で得られたざっくりとした傾向をもとに、具体的な調査としてデプスインタビューを行うこともあります。
デプスインタビューのメリット・デメリット
デプスインタビューを実施する場合のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
デプスインタビューのメリット
デプスインタビューの主なメリットは以下の3つです。
行動の裏に隠れた潜在的なニーズや本音の発見につながる
ユーザーの意思決定プロセスを明らかにできる
センシティブな内容をヒアリングしやすい
行動の裏に隠れた潜在的なニーズや本音の発見につながる
一人の相手に合わせて質問を重ねていくことで、ユーザーの行動理由や感情を理解し、潜在的なニーズや隠れた本音の発見につなげることがメリットの一つです。グループインタビューのように先に発言したユーザーの回答に釣られてしまったり、違う意見や本音を言い出しにくくなったりすることはありません。
ユーザーの意思決定プロセスを明らかにできる
ユーザーの意思決定プロセスを明らかにできるのもメリットです。先述のように潜在的なニーズや隠れた本音に関する洞察を深めながら、一人のユーザーのサービス利用や商品購入などの意思決定プロセスを明らかにでき、開発や改善に役立てることができます。
センシティブな内容をヒアリングしやすい
センシティブな内容について聞きやすいのもメリットです。年収や預貯金、住宅ローンなどのお金の話、持病や心身の悩みなどのヘルスケアの話といったプライベートな内容はなかなか話しづらいものです。
1対1のデプスインタビューではユーザーとインタビュアーの間で信頼関係を築きやすく、他の人がその場にいないため、センシティブな内容もヒアリングしやすくなります。また、グループインタビューと比べて質問を重ねやすいため、より踏み込んだ内容を聞くこともできるでしょう。
デプスインタビューのデメリット
デプスインタビューの主なデメリットは以下の3つです。
コストがかかる
ユーザー個人の情報しか得られない
ユーザーとインタビュアーの負担が大きい
コストがかかる
1対1の面談であるため、対象ユーザーの人数分だけインタビュアーの労力や時間、謝礼等の金銭的なコストがかかります。
また、後述のようにユーザーの負担が大きいため、一般的にはグループインタビューの場合よりも1人当たりの謝礼の金額が大きくなります。
ユーザー個人の情報しか得られない
デプスインタビューでは、対象ユーザーから多くの情報を得ることができますが、それはあくまでそのユーザー個人の情報でしかありません。
調査を活かした仮説検証などの精度を高めるためには、複数人へのインタビューが必要です。
ユーザーとインタビュアーの負担が大きい
デプスインタビューでは、1対1でユーザーの経験やニーズを深く聞いていくため、事前に用意された質問事項に答えるアンケート調査やグループインタビューの場合よりも集中力を要し、時間もかかります。そのため、対象ユーザー、インタビュアーともに実施にかかる負担は大きいでしょう。
代表的なデメリットを挙げましたが、コストや労力については昨近のオンラインインタビューの普及により、かなり改善されていると言えます。近年の調査では、デプスインタビューの約7割がオンラインで実施されているというデータもあり、気軽かつリーズナブルにデプスインタビューが実施できる環境が整ってきていると言えるでしょう。
*出典:一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会 第48回経営業務実態調査
デプスインタビューを実施する際の注意点
デプスインタビューにおける主な注意点3つをご紹介します。
自己紹介や背景説明でユーザーに安心感を与える
二者択一の質問を多用しない
先入観を持たない
自己紹介や背景説明でユーザーに安心感を与える
インタビューの冒頭では、インタビュアー側から自己紹介をし、目的や依頼背景を伝えます。初対面の相手に対する緊張をほぐし、安心感をもってインタビューに臨んでもらうためです。
インタビュアーの自己紹介にプライベートな内容を入れることで、話しやすい雰囲気をつくるという手法もあります。デプスインタビューは1対1で行い、インタビュアーと対象ユーザーの関係がその後のインタビュー回答にも影響し得るため、このような信頼関係構築のための工夫が大切です。
二者択一の質問を多用しない
はい/いいえで回答できるような二択の質問ばかりをしてしまうと、相手から詳しい話を引き出しづらくなるため、多用しないようにしましょう。このような二択の質問形式を「クローズドクエスチョン」といい、反対に、自由に回答できる質問を「オープンクエスチョン」といいます。例えば「通勤中にスマホを利用しますか?」はクローズドクエスチョンで、「どんな時にスマホを開いていますか?」はオープンクエスチョンです。
クローズドクエスチョンは対象ユーザーの回答の幅を狭めますし、回答を誘導し調査側の先入観(バイアス)が含まれてしまうこともあるため、デプスインタビューへの多用は適していません。回答の自由度が高いオープンクエスチョンを繰り返し投げかけることで、背景に存在する感情や考え方まで深堀りしやすくなります。
先入観を持たない
先入観を捨てて、インタビューに臨むことも大切です。自分の先入観を肯定する情報にばかり注目してしまう「確証バイアス」によって都合のいい回答だけを記憶してしまったり、インタビュアーの先入観が質問事項に反映されてユーザーの回答に影響したりすることがあるためです。
確証バイアスを避けるため、インタビューに入る前に一旦仮説を捨てる、と言われることもあります。「事前に立てた仮説は間違っていて当たり前」くらいの気持ちで臨み、ユーザーから得られた生の回答を真摯に受け止めましょう。また、バイアスは人間である以上避けることが難しいため、設問の設計段階やインタビュー実施を複数名で行い、相互にレビューをしあえる状態にする方法も有効です。
対象ユーザーはどう探す? リクルーティング(募集)方法とその費用
デプスインタビューの対象となるユーザーの主な募集方法とそれぞれの方法にかかる費用についてご紹介します。
社内メンバーや家族、友人、知人
デプスインタビュー対象者の条件が決まったら、まずは身近にいる社員や家族、友人、知人などにインタビューするのが一つの方法です。本格的な調査を始める前に方針や質問項目を検討するためのプレインタビューとしての利用が非常に有効です。ただし、属性の偏りや元々の関係性によって、通常のインタビューとは異なる結果となる可能性も高いので注意が必要です。 手軽かつコスト不要で実施できる点が大きなメリットですが、知人経由の紹介でも、社外の方を対象とする場合は謝礼をお支払いする、というのが一般的でしょう。
調査会社、リサーチ会社
調査やリサーチを専門としている会社にデプスインタビューの対象ユーザー募集を依頼するのも一般的な方法です。条件に合わせて適したユーザーを探し出してもらうことができます。一方で、コストは高く、費用は対象ユーザー1名あたり約5万円以上かかる場合もあります。また、調査開始までの時間も約1ヵ月前後かかることがあるなど、予算や期間に余裕がある場合におすすめの方法です。
オンラインサービス
オンライン上で対象ユーザーを募集することができるサービスもあり、リサーチに特化したサービスでは、募集から日程調整、謝礼の払い出しまでオンラインで完結することができます。費用はもちろんかかりますが、調査会社を利用するよりもコストを抑えることができます。例えば「ユニーリサーチ」の場合は、対象ユーザー1名あたり約5,000円から、調査開始までの時間も最短当日と、費用も時間も大きく削減することができます。
デプスインタビューの募集ならユニーリサーチ
株式会社プロダクトフォースが運営する「ユニーリサーチ」では、募集開始まで最短5分というスピードでデプスインタビューの対象となるユーザーを全国から募集し、最短当日にインタビューを実施することができます。
調査会社に依頼するよりもコストを抑えながら、全国数万名規模の多様なユーザーにアプローチできるため、自社でデプスインタビューの募集を行う場合におすすめのサービスです。事前質問機能による適切な条件の対象者選定や、自動日程調整機能によって、調査の労力や工数も削減することができます。
国内最大級のインタビュープラットフォーム『ユニーリサーチ』
ユニーリサーチは「最短当日・従来の調査コストの10分の1以下」でのユーザーインタビューを可能にするセルフ型リサーチサービスで、「マニュアルを見なくてもインタビューまで実施できた」とのお声もいただく、誰もが使いこなせるUIが好評です。大企業の新規事業部門やスタートアップ企業など、従来調査サービスを利用できていなかった顧客層を中心に、ユーザーリサーチの機会提供を進めており、2024年6月時点で2,000社の企業の皆様が、累計39,000件のインタビューを実施していただくことができました。