
概念実証(PoC)とは?実証実験との違いやメリット・デメリット、成功のポイントを解説
「概念実証(Proof of Concept:PoC)」は、新しいアイディアや技術の実現可能性や有効性を検証するための大事なステップです。 本記事では、概念実証と実証実験などの関連用語の説明や概念実証のメリット・デメリット、成功のポイントなどを解説します。
- 概念実証(PoC)とは?
- 概念実証(PoC)と実証実験の違い
- 目的と実施フェーズの違い
- 規模・範囲の違い
- 得られる成果の違い
- 概念実証(PoC)の関連用語との関係や違い
- 概念実証(PoC)と「PoV」「PoB」の関係
- 概念実証(PoC)とプロトタイプの違い
- 概念実証(PoC)とMVPの違い
- 概念実証(PoC)のメリット
- 開発段階でのリスクを減らせる
- 無駄なコストを抑えられる
- 経営層などに根拠を提示できる
- 概念実証(PoC)のデメリット
- 検証回数が増えるとコストがかかる
- 情報漏洩のリスクがある
- 概念実証(PoC)の進め方
- 目的を明確化する
- 目標設定・実施計画を立てる
- 計画に沿って実施する
- 結果を評価・分析する
- 概念実証(PoC)成功のためのポイント
- 小規模で概念実証を繰り返す
- 実際の導入環境と同じ条件にする
- 技術・価値・事業性3つの視点で検証する
- 失敗を次の実施に活かす
- 概念実証(PoC)が活用されている業界の例
- IT業界
- 製造業
- 研究開発
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概念実証(PoC)とは?
「概念実証(Proof of Concept:PoC)」とは、新しいアイディアや技術、ビジネスモデルなどが「どの程度実現可能か」「本当に有効なのか」を、最小限の範囲で検証するプロセスを指します。たとえば、新商品や新サービスを開発するとき、いきなり大規模投資をするのではなく、小規模なテストや調査を実施して実現性を確かめるのが概念実証(PoC)です。 大まかに言えば、概念実証のゴールは「コンセプトの有用性を確認する」ことです。アイディアの良し悪しや技術上の課題、有効性などを見極めることで、その後の大規模開発や事業展開へスムーズに進むことができます。概念実証は開発リスクを軽減する重要なステップと言えるでしょう。
概念実証(PoC)と実証実験の違い
よく似た言葉として「実証実験」がありますが、概念実証と実証実験は目的や実施フェーズ、規模、得られる成果が異なります。
目的と実施フェーズの違い
概念実証(PoC):新しいアイディア・技術が「可能かどうか」を検証し、実現性を初期段階で確認する
実証実験:概念が有用であると見込める段階で、本格的なサービス実装や社会実装を目指す試験的に運用する
規模・範囲の違い
概念実証(PoC):必要最小限の検証環境や小規模データを使い、実行可否の確認や課題の洗い出しを行う
実証実験:より実運用に近い環境での試験を行い、本格導入に向けた評価を行う
得られる成果の違い
概念実証(PoC): 理論上可能かどうか、あるいはビジネス的に効果が見込めるかを示す初期段階の材料
実証実験:本番に近い運用状況下でのデータやユーザビリティ評価など、より実践的な成果と改善点
「概念実証(PoC)」はもっとも初期のアイディアやコンセプトの検証段階であり、「実証実験」はすでに「これは使えそうだ」と見込んだ上で、実際に現場に近い環境で使いながら課題を洗い出す段階です。
概念実証(PoC)の関連用語との関係や違い
「概念実証(PoC)」に似た言葉は他にもあります。関連用語との関係や、似た言葉との違いを解説します。
概念実証(PoC)と「PoV」「PoB」の関係
概念実証(PoC)に関連する略語に「PoV(Proof of Value)」「PoB(Proof of Business)」という言葉がありますが、これらは検証の対象が異なります。
関連するキーワード | 検証の対象 |
---|---|
PoC(Proof of Concept) | 技術的な実現可能性やアイディアの有効性を軸に検証します。 |
PoV(Proof of Value) | 製品やサービスが「価値(Value)を生み出せるか」を検証します。 |
PoB(Proof of Business) | ビジネスとして「事業性があるか」を検証します。 |
PoV(Proof of Value)は、技術的な実現可能性だけではなく、市場のニーズやユーザーへの訴求力、経済効果などを重視します。
PoB(Proof of Business)は、売上予測や収益構造、継続的な費用対効果など、ビジネスモデルそのものの実行可能性により焦点を当てます。
PoC→PoV→PoBと順に検証していくこともあれば、3つ併せて行い総合的に検証するケースもあります。
概念実証(PoC)とプロトタイプの違い
「プロトタイプ」は、製品やシステムの試作品を指し、外観や一部の機能を再現した形で用意して、ユーザー体験や設計上の不具合を見極める目的で作成されます。このプロトタイプを用いた検証のことをプロトタイピングと言います。
概念実証では「できるかどうか」の検証を行いますが、プロトタイプは「使い勝手やUI/UX、実際の環境での動作」を検証するために用いられます。
概念実証(PoC)とMVPの違い
「MVP(Minimum Viable Product)」は「実用最小限の製品」と訳すことができます。最小限の機能を持つサービス・製品を作り込み、市場やユーザーからのフィードバックを得る手法です。
MVPは「ユーザーが実際に利用できる最小限の完成度」が必要な一方、概念実証は実現可能性に重きを置いているので、ユーザーが実際に利用できる状態とすることは必須ではありません。
概念実証(PoC)のメリット
概念実証(PoC)の主なメリットは次の3つです。
開発段階でのリスクを減らせる
概念実証(PoC)を行うことで、新規技術やアイディアが「本当に実現可能か」をあらかじめ把握し、開発段階でのリスクを減らすことができます。大規模な投資の前の技術的なハードルや開発リスクの洗い出しにより、後々の大きな失敗を回避しやすくなります。
無駄なコストを抑えられる
概念実証(PoC)は比較的短期間に小さな範囲で行うことが多いため、必要最低限のリソースで検証を実施できます。大規模な実証実験や本格的な開発に着手する前に、アイディアや技術の実現可能性を見極めるため、開発が進んでから「使えない」「需要がない」と判明し、開発コストが無駄になる、といったことを避けやすくなります。
経営層などに根拠を提示できる
企業内で新規プロジェクトを提案する場合、経営層からの承認が必要になるケースが多いですが、概念実証(PoC)で得られた検証データを示すことで、プロジェクトの実現性や価値を証明しやすくなります。投資判断における説得力を持たせる材料として、概念実証(PoC)は有効です。
概念実証(PoC)のデメリット
概念実証(PoC)の主なデメリットは次の2つです。
検証回数が増えるとコストがかかる
概念実証(PoC)は小規模の検証を繰り返しながら開発を進めていく手法ですが、検証を何度も繰り返せば、それに伴ってコストが発生します。いつまで、どこまで実施するかの見極めが重要です。
情報漏洩のリスクがある
概念実証(PoC)の過程での情報漏洩リスクがあることもデメリットのひとつです。新しいアイディアや最先端の技術をユーザーに検証してもらう際には、社外への情報流出リスクに備え、セキュリティ対策や秘密保持契約などの対応が欠かせません。
概念実証(PoC)の進め方
概念実証は以下のように進めていきます。
目的を明確化する
概念実証(PoC)を始めるにあたって最も大切なのは、目的を明確化することです。「どの要素を検証したいのか」「何をどこまで証明したいのか」を具体的に設定することで、実施の規模や必要なコスト、リソースをより正確に検討することができます。
目標設定・実施計画を立てる
目的が決まったら、達成するための目標やスケジュールなどを決めます。
収集するデータ
設定する評価指標
実施期間
などをあらかじめ計画に落とし込みます。
計画に沿って実施する
計画に沿って検証環境を整え、概念実証(PoC)を進めます。ここで想定外の課題が出てくることも多いため、定期的な状況確認やタスク調整は欠かせません。
結果を評価・分析する
得られたデータやユーザーからのフィードバックをもとに、アイディアや技術がどの程度有用かを評価・分析します。目標に対して想定通りの成果が得られたか、想定外の問題が見つかったかなどを整理し、次のステップ(追加検証、本開発、実証実験など)に進むかどうかの判断をします。
概念実証(PoC)成功のためのポイント
概念実証(PoC)成功のためのポイントを4つご紹介します。
小規模で概念実証を繰り返す
概念実証(PoC)は一度実施して終わりではなく、必要に応じて複数回実施することがあります。最初に広範囲で検証するよりも、小さな単位で検証を行い、検証結果を反映させながら段階的に大きくしていく方が、リスクやコストを最小限に抑えやすくなります。
実際の導入環境と同じ条件にする
実際の運用環境とかけ離れた検証環境だと、概念実証(PoC)得られた結果が本番で活かせないリスクがあります。可能な限り本番環境に近い条件でPoCを行うことで、成功確率を高めることができます。
技術・価値・事業性3つの視点で検証する
技術的な実現可能性だけでなく、「価値(ユーザーにとって本当に役立つか)」や「事業性(事業として採算が取れるか)」の観点からも検証することが大切です。
失敗を次の実施に活かす
概念実証(PoC)はあくまで検証なので、失敗することもありますが、その失敗から学んだことを次のPoCや実装フェーズにつなげられることがメリットでもあります。「なぜ失敗したのか」をチーム全体で共有し、継続的な改善を続けていきましょう。
概念実証(PoC)が活用されている業界の例
概念実証(PoC)が活用されている業界の例をご紹介します。
IT業界
ソフトウェア開発やAIなどの先端技術を扱うIT業界では、概念実証(PoC)を行ってからプロトタイプを作成し、それをブラッシュアップしながらサービスローンチに至る流れが一般的でしょう。
製造業
製造業では、投資対効果を検証しながら、失敗リスクを軽減する仕組みとしても概念実証(PoC)が使われています。新たな生産技術やロボット導入などの大規模な変革の前に、概念実証(PoC)としてラインの一部工程の変更や試作品生産を試験的に実施・検証します。
研究開発
大学や研究所、製薬会社などの研究開発現場でも概念実証(PoC)が活用されています。新薬の開発段階での細胞実験や、新素材の耐久性テストなど、実験や少量生産による検証を経て本格的な臨床試験や生産体制に移行するのが一般的です。
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