アンケートの集計方法とExcel(表計算ソフト)を活用したまとめ方を解説
「アンケート調査」は、消費者の行動や市場のトレンドを把握するために有効な方法のひとつです。しかし、その効果を最大限生かすには、収集したデータを適切に集計・分析し、正確な結果を導き出すことが大切です。 本記事では、アンケート集計の方法とまとめ方、さらにはデータの可視化に役立つグラフの選び方まで、アンケート集計の基本を詳しく解説します。
- アンケートの基本的な集計方法
- 単純集計
- クロス集計
- 自由記述の集計方法
- アンケート集計の手段
- Excel(エクセル)でまとめる
- アンケート集計ソフトウェアを活用する
- リサーチ会社へ依頼する
- アンケートの集計手順:Excelの場合
- 単純集計の手順
- 1. データの入力
- 2. ピボットテーブルの作成
- 3. グラフ作成
- クロス集計の手順
- 自由記述の集計手順
- アフターコーディング
- テキストマイニング
- アンケート集計のポイント
- アンケート結果の回答形式は揃える
- アンケート結果と集計はExcelの別シートで管理する
- 「回答漏れ」がないか集計前にチェックする
- 無効・不完全なデータがないかを集計時にチェックする
- グラフを活用した集計結果のまとめ方
- 最短当日かつリーズナブルなアンケート調査なら『ユニーリサーチ』
アンケートの基本的な集計方法
アンケートの集計方法は、大きく3つの方法に分類されます。「単純集計」「クロス集計」「自由記述の集計」の3つです。これらを組み合わせることで、アンケート結果を多角的に分析することが可能です。
単純集計
「単純集計」とは、質問ごとの回答数をシンプルに数え、その頻度や割合を計算する方法です。例えば、「性別」の質問に対して「男性」「女性」の回答数を集計し、その割合をパーセンテージで示します。単純集計は、データの基本的な傾向を素早く把握するのに適しています。
クロス集計
「クロス集計」は、2つ以上の質問項目でデータを組み合わせて分析する方法です。例えば、「性別」と「製品満足度」のデータをクロス集計する場合、男性のみの満足度と、女性のみの満足度を比較できるため、男女間で満足度に差があるかどうかを確認できます。単純集計よりも詳細な分析が可能となり、特定のグループに特徴的な結果があるかどうかを明らかにすることができます。
自由記述の集計方法
自由記述の回答は、回答者の意見や感想が任意の数値もしくはテキストとして表現されるため、その集計はやや難しくなります。回答が数値の場合は、平均値、中央値、標準偏差値などを算出します。 回答がテキストの場合は、アフターコーディング(自由記述を分類して分析しやすい形にする方法)やテキストマイニング(テキストデータからキーワードやテーマを抽出する方法)を使うことで、自由記述の中に含まれる有益な情報を抽出できます。この二つの方法については、後の章で解説します。
アンケート集計の手段
アンケートの集計には、様々な手段がありますが、ここでは、3つご紹介します。
Excel(エクセル)でまとめる
Excel(エクセル)は、アンケートデータの集計において一般的によく利用される便利なツールです。特に、ピボットテーブルや各種統計関数を使うことで、データの整理が容易になります。Excelには豊富なグラフタイプが搭載されており、データを視覚的にわかりやすく表示することが可能です。 既に社内でExcelを使用している場合は、導入費用が掛からないというメリットもあります。その反面、膨大なデータの集計・分析を行う場合、複雑な関数や仕組みを用いる必要があるため、より手間がかかるというデメリットも存在します。アンケート結果のボリュームを考慮して、Excelを利用するかどうか検討しましょう。
アンケート集計ソフトウェアを活用する
専門的なアンケート集計ソフトウェアは、Excelでは扱いづらい大規模なデータや複雑な分析を行いたい場合におすすめです。多変量解析や時間経過に伴うデータの変化の追跡など、より高度な分析が可能です。 アンケート結果を簡単に集計・分析できるだけでなく、視覚的なレポートを自動で生成する機能も備えているツールもあります。しかし、導入コストがかかるため、利用するかどうかはコストパフォーマンスを考えて検討する必要があります。
リサーチ会社へ依頼する
リサーチ会社にアンケートの集計を依頼するという方法もあります。特に、大規模な調査や専門的な分析が必要な場合には、外部の専門家に依頼することで、より精度の高い結果が望めます。リサーチ会社では、調査の設計からデータの収集・分析、報告書の作成までを包括的にサポートしてくれるサービスもあります。 しかし、その分費用が高くなる、時間がかかる、などの懸念点もあるため、依頼する際はメリットとデメリットを考え、比較検討することをおすすめします。
アンケートの集計手順:Excelの場合
Excelを使用してアンケートデータを集計する場合、単純集計、クロス集計、自由記述の集計のそれぞれに手順が存在します。ここでは、具体的な手順と注意点を説明します。
単純集計の手順
まずは、単純集計から行います。単純集計で得られたデータをもとに、クロス集計を行うため、その後の集計にも関わる大事な段階です。
1. データの入力
アンケートの回答データをExcelシートに入力します。行ごとに回答者、列ごとに質問を配置します。WEBアンケートの場合はCSV形式でダウンロードが可能な場合もあります。
2. ピボットテーブルの作成
集計対象のデータ範囲を選択し、ピボットテーブルを挿入します。ピボットテーブルとは、挿入したデータを項目別に自動集計する機能です。
3. グラフ作成
集計結果を基に、棒グラフや円グラフを作成してデータを視覚的に表現します。Excelでは多様なグラフの形式が用意されているため、目的に合わせてグラフを選択します。グラフの選択方法については後の章で解説します。
クロス集計の手順
ピボットテーブルの行と列にそれぞれ異なる質問を設定し、交差するセルに集計値を表示します。 クロス集計によって得られたデータを正しく解釈するためには、誤った因果関係を導かないよう注意が必要です。統計的な妥当性を検証するようにしましょう。
自由記述の集計手順
回答数が多い場合、自由記述にすべて目を通していると、膨大な時間がかかります。そのため、大まかなテーマに分けたり、キーワードを抽出したりなど、集計作業には工夫が必要です。自由記述の集計によく用いられるそれらの方法を「アフターコーディング」「テキストマイニング」といいます。
アフターコーディング
「アフターコーディング」では、自由記述の回答をテーマや満足度ごとにカテゴリで分類します。例えば「肯定的」「中立」「否定的」といった満足度や、「暮らし」「趣味」といったテーマで分けていきます。大きく分けたカテゴリの中でさらに細かく分類をし、意見の数などを見ていくことで、自由記述を数値的に扱うことが可能になります。
テキストマイニング
「テキストマイニング」では、自然言語処理ツールを使用して、自由記述からキーワードやテーマを抽出します。例えば「満足」「良かった」などのキーワードを指定して、抽出することができます。ただし、文節ごとに区切るため、文脈としての意味は把握しづらくなります。ツールを使用するため、ある程度の操作スキルが求められますが、テキストデータ全体の傾向やユーザーにとって重要なテーマを特定するのに有効な方法です。
アンケート集計のポイント
アンケート集計を行う際には、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
アンケート結果の回答形式は揃える
アンケート集計では、回答形式を統一するようにしましょう。例えば、「はい」という回答を得たい場面で、「○」や「YES」などの様々な形式で回答されていると、データの統合が複雑になります。そのため、どうしても必要な質問項目のみ自由記述とし、他の項目では選択肢を用意して回答形式を揃えておくことが重要です。
アンケート結果と集計はExcelの別シートで管理する
Excelを使用する場合、元データと集計結果を異なるシートに分けて管理するようにしましょう。もしも、データの変更ミスが発生しても、元データを保持していれば修正や確認が可能です。また、誤って元データを消去したり変更したりするリスクも軽減されます。
「回答漏れ」がないか集計前にチェックする
集計を始める前に、回答漏れがないかの確認を徹底し、漏れがある場合は除外するなどの処理をしましょう。アンケートの一部に回答がないまま集計すると、結果が偏る可能性が高くなります。例えば、質問の途中で回答を止めてしまった場合や、特定の質問に意図的に回答しなかった場合、その回答漏れが全体の分析に影響を及ぼすことがあります。
無効・不完全なデータがないかを集計時にチェックする
回答漏れと同様に、無効または不完全なデータが含まれると、集計結果の正確性が損なわれる恐れがあります。たとえば、極端な値や明らかに誤った回答、未回答などがこれに該当します。無効・不完全なデータは、集計段階で除外するか、補完するようにしましょう。
グラフを活用した集計結果のまとめ方
グラフは、複雑なデータを視覚的に表現し、結果の要点を簡潔に伝えるために非常に有効です。データが示す内容に対して、最も理解しやすい形式のグラフを選択することで、意図を正確に伝えることができます。 ここでは、よく利用される6種類のグラフについて、おすすめの使用場面をご紹介します。
円グラフ: 全体の中で各選択肢が占める割合を示す際に適しています。たとえば、回答者の年齢層の割合や製品評価の分布を表示する場合に使われます。
棒グラフ: 数値を比較する際は、棒グラフが有効です。例えば、複数の製品の人気度を比較する際に、作成したクロス集計のグラフ化に棒グラフを使うことで視覚的な違いが分かりやすくなります。
帯グラフ: 帯グラフは、調査項目の評価や重要度の順序を明示した上で各選択肢が占める割合を示す際に便利です。
折れ線グラフ: 時系列データの変化を視覚化する場合に、折れ線グラフが効果的です。例えば、1年間の売上推移や顧客満足度の変動を分析する際に役立ちます。単純集計の経年観察にも便利です。
レーダーチャート: 複数の変数を一度に比較する場合は、レーダーチャートがおすすめです。例えば、製品の強みや弱みを視覚的に表現する際に使用します。
散布図: 散布図は、2つの変数間の相関関係を示すのに適しています。価格と満足度の関係など、データポイント同士の相関を分析する際に役立ちます。
集計後は、そのデータをもとに分析を行います。アンケート結果の分析方法については、ぜひ関連記事をご覧ください。
▼関連記事
最短当日かつリーズナブルなアンケート調査なら『ユニーリサーチ』
「ユニーリサーチ」では、国内最大級2,800万人規模のユーザーパネルにアプローチし、最短当日かつリーズナブルなアンケート調査が可能な『セルフアンケート機能(β版)』をリリースしました。 国内最大級のインタビュープラットフォーム「ユニーリサーチ」は利用企業数2,230社、累計マッチング数は43,000件を突破し、企業のインタビューニーズに応える形で成長を続けている一方で、アンケートを中心とした定量調査ニーズに対するソリューションへの期待を多くいただいていました。そこでこの度、国内最大規模のユーザーパネルに対して最短即日かつリーズナブルなアンケート調査が可能なサービスを開発しました。初期費用と月額費用は不要で最低人数100名、1,000円~のアンケート実施が可能です。 詳しくはこちらのページをご覧ください。 ユニーリサーチ、2,800万人に1,000円~リーチ可能な『セルフアンケート機能(β版)』をリリース