アンケート調査方法の種類や進め方、作り方のポイントを解説
マーケティングリサーチの中でよく実施される「アンケート調査」。この記事では、アンケート調査方法の種類や実施の流れ、質問文作成時のポイントなどをご紹介します。
- アンケート調査とは何か?
- アンケート調査の目的
- アンケート調査方法の種類 対面型と非対面型
- 対面型
- 会場調査(CLT)
- 訪問調査
- 街頭調査
- 非対面型
- ネットリサーチ(WEBアンケート)
- ホームユーステスト(HUT)
- 郵送調査
- 電話調査
- アンケート調査実施の進め方
- STEP1. アンケートの目的と目標を設定
- STEP2. アンケートの実施方法を決定
- STEP3. 調査票を作成
- STEP4. アンケート調査を実施
- STEP5. アンケート結果を集計・分析
- アンケート調査の質問文を作成する時のポイントとは?
- 1. 誘導的な質問にしない
- 2. 主語を必ず入れる
- 3. 結びを統一する
- 4. 専門用語を使用しない
- 5. 略語を使用しない
- 6. 差別的な用語や表現を使用しない
- 7. 過度な敬語・謙譲語を使用しない
- アンケートの例文
- 英語でアンケート調査をする場合は?
- アンケート調査前後のユーザーインタビューなら『ユニーリサーチ』
アンケート調査とは何か?
「アンケート調査」とは、特定のテーマや課題に関する意見や情報を収集するために、様式化した同一の質問に対して多くの人々の回答を得る調査方法です。数値化できるデータを調査結果として求める定量調査の手法としてよく利用されます。企業がユーザーに対して満足度調査や市場調査、意識調査として行うこともあれば、従業員に対して職場環境の満足度調査や意識調査として行うといったこともあります。
アンケート調査の目的
アンケート調査の目的は、特定のテーマに関する対象者の意見や態度、行動を把握することです。調査結果を元に社会的な傾向や意識の変化、顧客満足度、広告キャンペーンの効果などを分析し、新商品開発や顧客満足度向上、マーケティングリサーチ施策の改善などに役立てていきます。
アンケート調査方法の種類 対面型と非対面型
アンケート調査方法にはさまざまな種類がありますが、調査員と回答者が接触する「対面型」と、接触しない「非対面型」の大きく2つに分類することができます。それぞれに分けた調査方法の特徴を解説していきます。
対面型
対面型の調査方法3つについて解説します。
会場調査(CLT)
「会場調査(CLT:Central Location Test)」とは、調査のために用意した会場へ対象者を集めて回答を得る調査方法です。新商品の試食や発表前の商品の反応を見る調査などでよく用いられます。同じ調査環境での回答を得たい場合や、調査に大きな設備が必要な場合に適しているといった特徴があります。
訪問調査
「訪問調査」は、調査員が調査対象者の家庭を訪問して回答を得る調査方法です。本人に直接質問をしてその場で回答を得る「訪問面接調査」と調査員が調査対象者にアンケート用紙を手渡し、記入してもらったものを後日訪問して回収する「訪問留置き調査」の2種類があります。後者の場合、対象者の時間の都合がつくときに回答できることや、その場では聞きにくい質問にも対応してもらいやすいなどの特徴もあります。
街頭調査
「街頭調査」は街なかで通行人を呼び止めて、その場で回答を得る調査方法です。「夕方の帰宅時間に駅を利用する人」など、時間や場所を限定した調査が必要な場合に適しています。調査対象者のリストがなくても実施することができ、条件に合致する対象者をその場で調査員が確認できます。訪問調査と比べて多くの人に短時間で接触できるという特徴があります。
非対面型
非対面型の調査方法4つについて解説します。
ネットリサーチ(WEBアンケート)
「ネットリサーチ(WEBアンケート)」は、WEB上にアンケート画面を用意し、アンケートに回答してもらう調査のことです。回答者の住所や電話番号といった詳しい個人情報がなくても調査可能なため、幅広い回答者を募ることが可能です。また、アンケートフォームの作成や調査結果のグラフ化といった一連の作業も専用のツールやサービスを利用することでWEB上で完結できるのも大きな特徴です。
ホームユーステスト(HUT)
「ホームユーステスト(HUT:Home Use Test)」は、調査対象者の自宅で実際に製品を試してもらい、評価や問題点をアンケートで尋ねる調査方法です。新製品の開発などの調査に向いており、実際の生活環境で利用してもらうことでリアルな反応を知ることが出来るのが特徴です。 ▼関連記事
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郵送調査
「郵送調査」はアンケート用紙を対象者の家庭へ郵送し、回答を返送してもらう調査方法です。商品・サービスの既存顧客など、すでに住所のデータがある人を対象にアンケートを実施します。WEBアンケートの回答が難しい対象者や、企業や施設をターゲットにした調査に適していることが特徴です。
電話調査
「電話調査」は調査員が対象者に電話で質問し、直接回答を得る調査方法です。対象者の電話番号リストをもとに電話をかける方法と、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて生成した番号へ電話を掛けるRDD(Random Digit Dialing)法があります。RDD法を利用するのであれば、電話番号のリストが無くても調査が可能です。 比較的短い期間で調査ができますが、プライバシーの懸念から電話に出なかったり回答を拒否したりするユーザーの割合も一定数あることが予想されます。
アンケート調査実施の進め方
アンケート調査実施の進め方は次の通りです。
STEP1. アンケートの目的と目標を設定
まずはアンケートの目的と目標の設定です。例えば、目的が「顧客満足度の向上」で目標が「ユーザーの不満や要望の顕在化」といったように設定します。 目的を明確にし、それに基づいて質問項目を作成します。目的が曖昧だと、必要な情報を得ることが難しくなるので、しっかり検討した上で決定しましょう。
STEP2. アンケートの実施方法を決定
いつ・どこで・どのような人に・どのような方法でアンケートを実施するか決めます。回答者をどう募集するかも重要です。目的・目標に適した調査方法を選ぶことが回答率アップやデータの精度向上に繋がります。
STEP3. 調査票を作成
質問を記載した調査票を作成します。質問を考える際は、アンケートの目的に対する答えがきちんと得られるものになっているか意識することが大切です。質問は簡潔で明確な文にし、回答者が理解しやすいように配慮します。また、質問の順序も重要です。理解しやすい自然な流れや、特定の回答に誘導してしまわない順番を意識して配置します。質問文を作成する時のポイントについては後の章で解説します。
STEP4. アンケート調査を実施
作成した調査票を使ってアンケートを実施します。非対面調査の場合は、調査フォームをメールやSNSなどで共有します。対面調査の場合は、用意した会場やWEB会議ツールで調査を行います。 回答者には適切な回答期限を設定し、期限が来る前にリマインダーを送ることで回収率を高められます。
STEP5. アンケート結果を集計・分析
アンケートの回答が集まったら、集計作業をします。調査結果を分析しやすくなるように、グラフや表などにまとめるのがおすすめです。求めているデータが得られたかどうかを確認し、得られた調査結果から分析を行い、当初の目的・目標のために活用します。 また、アンケート実施における課題や改善点をまとめ、次回のアンケート調査に活かしましょう。
アンケート調査の質問文を作成する時のポイントとは?
アンケート調査で使用する質問文は、明確でわかりやすく作成することが重要です。 作成する時の7つのポイントを説明していきます。
1. 誘導的な質問にしない
質問は誘導的にしないようにしましょう。例えば、「賛成ですか?→ はい/いいえ」という文章は誘導的と言えます。この場合、「どう思いますか?→ 反対/どちらともいえない/賛成」などという聞き方をします。
2. 主語を必ず入れる
質問文には主語を必ず入れましょう。例えば、子供に関するアンケートで「髪をどのくらいの頻度で洗いますか?」 という聞き方をすると、回答するユーザー自身のことを聞いているのか、子供のことを聞いているのかわかりません。この場合「あなたのお子様は、髪をどのくらいの頻度で洗いますか?」と主語を入れた聞き方が適切でしょう。
3. 結びを統一する
質問文の結びは統一しましょう。例えば、同じアンケートの中で結びが「お答えください」となっている部分と、「お知らせください」となっている部分が混在していると、回答するユーザーは何か意図が異なるのかと混乱することがあります。
4. 専門用語を使用しない
質問文に専門用語を使用しないようにしましょう。例えば、「LTV(Lifetime Value)」や「エンゲージメント」などの用語は使い慣れている方は自然に理解できても、ユーザーは用語の意味が分からない場合があります。ただし、その分野に精通した方や専門家を対象とする時は使用したほうがよい場合もあります。
5. 略語を使用しない
質問文に略語を使用しないようにしましょう。人によって解釈が異なる場合があり、誤解を招く恐れがあるためです。「スマホ」、「ファミレス」など普段略語を使用している場合でも、アンケートでは正式名称「スマートフォン」、「ファミリーレストラン」とした方が良いでしょう。
6. 差別的な用語や表現を使用しない
無意識のうちに差別的な用語や表現を使用しないよう注意しましょう。アンケートの対象ユーザーに近い属性のメンバー複数人に確認してもらう、社内のガイドラインを作成する、などの対策を取るのがおすすめです。
7. 過度な敬語・謙譲語を使用しない
敬語や謙譲語は過度にならないようにしましょう。例えば、「あなたの年収をお答えいただけますと幸いに存じます」という言い方はアンケートとしては不自然なので、「あなたの年収を教えてください」などの言い方がおすすめです。
アンケートの例文
アンケートの質問文を回答するユーザーが答えやすく、かつ誘導的でない形にすることが、正確なデータ収集に繋がります。質問の順番や回答形式(選択式、記述式など)も重要です。「<商品名>を購入したお客様に対する満足度アンケート」の例文をご紹介します。 Q1. あなたは、<商品名>を何から知りましたか。 Q2. 今回、<商品名>をどこで購入しましたか。 Q3. <商品名>を購入した理由をすべてお知らせください。(複数可) Q4. <商品名>に対して、総合的にどのくらい満足していますか。 Q5. <商品名>に対して前問のように回答した理由をお書きください。 Q6. <商品名>の以下の点に対して、どのくらい満足していますか。それぞれお知らせください。 Q7. <商品名>に対してご意見・ご要望がございましたら、ご自由にお書きください。
英語でアンケート調査をする場合は?
海外進出を計画していたり、日本在住の外国人向けサービスを展開していたりする場合、英語でアンケート調査を作成する機会もあるでしょう。英語では「アンケート」とは言わず、下記のように訳されます。 『従業員に回答してもらう調査』=Employee survey 『お客様または潜在顧客に回答してもらう調査』=Customer survey 『インターネットを使って回答してもらう調査』=Online survey 英語でアンケート調査をする場合のポイントを3つご紹介します。
明確さ 全てのユーザーが質問を理解できるように、簡単で明確な言葉を使用します。専門用語や慣用表現は避け、英語が母国語でないユーザーにもわかりやすい文章にします。
文化的配慮 文化や習慣の違いを考慮して作成します。また、法律や規制も国によって異なるため、遵守できるよう専門家の確認を取るのがおすすめです。
事前のテスト アンケートを公開・実施する前に対象となるユーザー層にあてはまる英語話者にテストしてもらい、フィードバックを受けることで文化や言語の違いによる問題がないかを確認します。
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