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ブランドポジショニングとは?業界別ポジショニングマップの例や戦略の進め方を紹介

ブランドポジショニングとは?業界別ポジショニングマップの例や戦略の進め方を紹介

企業の長期的な成長を考えるためには、「自社ブランドがどのように市場で認識されているか」を明確にすることが欠かせません。これが「ブランドポジショニング」です。

本記事では、ブランドポジショニングの基礎知識から、戦略の進め方、業界別のポジショニングマップ作成例などを紹介します。

ブランドポジショニングの基礎知識

ブランドポジショニングに関する基礎知識を解説します。

ブランドポジショニングとは?

「ブランドポジショニング」とは、自社が「どのような価値を提供し、他社と比較したときにどのような立ち位置にいる」ブランドとして認識されているか、戦略的に設計することです。

ブランドに付与すべきイメージを設計し、ユーザーが理解・共感できるようにし、市場での競争優位性を築くことがブランドポジショニングの目的です。

ブランドポジショニングステートメントとは?

「ブランドポジショニングステートメント」は、自社ブランドの独自のポジションを簡潔にまとめた文です。

  • どのような人に

  • どのような価値を提供するか

  • その価値はどんな特徴を持ち、競合とどう違うのか

などを盛り込んだステートメントを作成し、社内外で共有することで、ブランドとしての方向性にズレがない施策を展開しやすくなります。ブランドポジショニングステートメントがしっかりと定義されていれば、製品開発のコンセプトや広告の表現なども一貫性を保ちやすくなるでしょう。

ブランドポジショニングマップとは?

「ブランドポジショニングマップ」は、自社や競合他社の特徴を複数の軸でプロットし、視覚化する手法です。縦軸・横軸の定義を設定し、各ブランドがどこに位置するのかをマッピングしていくことで、市場全体の未開拓領域(ブルーオーシャン)や、理想のポジションとのギャップがあるかどうかを把握することができます。

軸の定義としては、例えば「価格帯」「品質」「デザイン性」「機能性」などがあります。ブランドポジションマップを活用することで、自社の位置づけを比較・検討しやすくなります。

ブランドポジショニングの重要性

競合が多種多様化し、ユーザーが多くの選択肢を持つ現代の市場において、以下のような観点からブランドポジショニングは非常に重要です。

独自性の明確化

現在の多くの市場には類似する商品やサービスが溢れています。単に価格や品質だけでは差別化しにくい状況の中で、ブランドポジショニングを明確に打ち出すことで、「なぜこのブランドを選ぶべきなのか」がユーザーに伝わりやすくなります。

顧客ロイヤリティの向上

ユーザーは価値観やライフスタイルに合ったブランドを選んで長期的に支持する傾向があります。ブランドポジショニングがはっきりしているブランドほど、価値観の合う強固なファンを獲得しやすくなり、顧客ロイヤリティ(ユーザーが特定の企業に抱く愛着や信頼)が向上しやすくなります。

マーケティング施策の一貫性

製品デザインや接客対応、広告やSNSでの発信など、すべてをブランドポジショニングに沿って一貫性のある状態で行うことで、ブランドのイメージを統一でき、結果としてユーザーの信頼や評価を高める効果があります。

ブランドポジショニング戦略の進め方

ブランドポジショニングはすぐにできるものではないため、段階を踏んで進めることが重要です。具体的なステップの例をご紹介します。

自社の立ち位置を把握

まずは、自社のブランドが市場でどのような存在として認識されているか、立ち位置を客観的に把握しましょう。ユーザーへのアンケートやインタビュー、SNS上の評価、メディアの取り上げ方などの様々な情報を集めた分析結果を総合し、現在のブランドイメージを明確にします。

現在の立ち位置が曖昧なまま進めてしまうと、後の戦略立案でずれが生じるリスクが高くなるため、多角的に情報を集めて分析しましょう。

自社の独自の価値を特定

次に、自社の独自性や強みを洗い出し、提供できる価値を特定します。製品の特徴やサービスの品質、コンセプト、ブランドの歴史的背景、企業理念、従業員の専門性など、様々な要素から独自の価値を見極めていきましょう。

自社だけが提供できる価値を明確にしておくことが、ブランドポジショニングステートメントの作成にもつながります。

競合他社の分析

ブランドポジショニングを考えるうえで、競合他社の分析は欠かせません。競合の価格帯や、どんな訴求ポイントを打ち出しているかなど、情報収集して分析し、それぞれの企業の立ち位置をブランドポジショニングマップに落とし込みながら整理します。

競合が手薄な領域はブランドの差別化が図りやすくなります。また、競合が多い市場であれば、あえて隙間(ニッチ)の立ち位置を狙うのも一つの手段です。分析を踏まえ、自社が狙うべきポジションを検討していきましょう。

ブランドポジショニングステートメントの作成

自社の独自の価値と競合他社の状況を把握できたら、ブランドポジショニングステートメントを作成します。

ブランドポジショニングステートメントの例

「わたしたちは、(ターゲット)が大切にする(価値)を、伝統と先端技術の融合により実現するブランドです。他社にはない(差別化要素)を備え、(顧客のメリット)を提供します。」

このように、誰にどんな独自の価値を届けるのかを明文化したステートメントがあると、社内の共通の認識を持ちやすく、商品開発や広告展開、アフターサービスなどのあらゆる場面での一貫性を保ちやすくなります。

ブランドポジショニング戦略の実施・検証

ブランドポジショニングステートメントに基づいた戦略を立案・実施し、その結果を検証します。例えば、以下のような観点で検証し、改善のサイクルを回していきます。

  • 広告やSNSでのメッセージが一致しているか

  • 開発した製品や販売チャネルがブランドの方向性に合っているか

  • ユーザーからの反応、売上や認知度などが数値目標と乖離していないか

市場の環境や消費者の嗜好は常に変化し続けるため、ブランドポジショニングも定期的な見直しをしていきましょう。ただし、頻繁な変更はブランドのアイデンティティを損なうリスクがあるため、慎重に検討する必要があります。

ブランドポジショニング戦略に必要な要素

ブランドポジショニング戦略の検討に必要な要素を2つ解説します。

ブランドポジショニングマップの作成

ブランドポジショニングマップを作成することで、競合との比較や市場の空白領域を視覚的に把握しやすくなります。例えば、縦軸を「価格」、横軸を「デザイン性」として、各ブランドをプロットすると、「安価だけれどおしゃれ」「高価でベーシックなデザイン」などの特徴が一目でわかるようになります。

マップの作成時には、軸の選定が重要です。ジャンル別の軸の選定例を後述します。

STP分析の活用

フィリップ・コトラーが提唱したことで知られるマーケティングの基礎的な手法「STP分析」は、ブランドポジショニングを検討するうえで役立つフレームワークです。

  1. Segmentation(セグメンテーション:市場の細分化):市場を年齢・性別やライフスタイル、趣味嗜好など異なる属性のセグメント(グループ)に分割

  2. Targeting(ターゲティング:ターゲットの選定):最も自社と親和性が高い、あるいは競合が入り込みにくいセグメントを選定

  3. Positioning(ポジショニング:自社の位置づけ):選んだターゲット層に対して、自社ブランドがどのような独自の価値を提供するかを明確化

STP分析によって、どのようなターゲットに、どのような価値を提供すべきかがわかりやすくなり、ブランドポジショニングがずれにくくなります。

▼STP分析の指標に用いる「デモグラフィック」「サイコグラフィック」についてのより詳しい記事はこちら

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【ジャンル別】ブランドポジショニングマップの作成例

ブランドポジショニングマップを作ることで、自社が狙うべき立ち位置が見えてきます。ここでは様々なジャンルのブランドにおけるマップの軸の選定例を紹介します。

化粧品ブランドのポジショニングマップ

  • 縦軸:価格帯(低い~高い)

  • 横軸:機能性(低い~高い)

化粧品ブランドの場合、「高価格&高機能」で勝負するハイエンド系ブランドと、「手頃な価格で機能性は最低限」というマス向けブランドを対比させることで、空白領域を見つけやすくなります。他にも、デザイン性などの軸を設定するのも有効でしょう。

家具ブランドのポジショニングマップ

  • 縦軸:デザイン(シンプル~個性的)

  • 横軸:価格帯(低い~高い)

家具ブランドの場合、シンプルで価格を抑えた量産型のブランドと、高級感や独特のデザイン性で差別化を図るブランドがあります。デザイン性については、さらにテイストごとに分類することもできます。

ハイブランドのポジショニングマップ

  • 縦軸:ブランド歴史(伝統がある~新しい)

  • 横軸:価格帯(高い~とても高い)

ハイブランドの歴史やクラフトマンシップを重視する人が多い一方で、新しいブランドならではの目新しいデザインが求められることもあります。ハイブランド市場は競合が限られるものの、高級志向の顧客の目は厳しいため、明確なブランドポジショニングが必要でしょう。

ファッションブランドのポジショニングマップ

  • 縦軸:トレンド感(ベーシック~最先端)

  • 横軸:価格帯(低~中~高)

ファストファッションからハイブランドのファッションまで、多様なブランドが存在するファッション業界は、トレンド感と価格帯の組み合わせで区分しやすいのが特徴です。ユーザーは「少し高くても良いので、長く着られる定番のデザインが欲しい」「手ごろな価格で最新のトレンドを楽しみたい」など、多彩なニーズを抱えているため、どの層を狙うか慎重に判断しましょう。

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ユニーリサーチ編集室
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