定量調査とは? 定性調査との違いやメリット・デメリットを解説
「定量調査」は、数値的に状況を把握したいときに用いられる調査手法で、仮説の検証や施策の効果測定などによく用いられます。この記事では、定量調査のメリット・デメリットや定性調査との違い、併用方法などを解説します。
- 定量調査とは
- 定量調査の目的
- 仮説の検証
- 実態や傾向の把握
- 効果測定
- 定性調査との違い
- 定量調査のメリット・デメリット
- 定量調査のメリット
- 一度に大人数への調査ができる
- 手軽・低コストに始められる
- 全体像の把握ができる
- 信頼性のあるデータを入手でき、ほかの調査の裏付けにも使用できる
- 結果を比較しやすい
- 定量調査のデメリット
- 回答の理由や背景の深堀りには不向き
- データ分析のスキルが必要
- 多くのサンプル数が必要
- 予想外の回答を得るには不向き
- 定量調査の主な調査方法
- インターネットリサーチ(WEBアンケート)
- ホームユーステスト
- 会場調査
- 郵送調査
- 電話調査
- 定量調査・定性調査の使い分けや併用方法
- 定量調査前後でのユーザーインタビューなら『ユニーリサーチ』がおすすめ
定量調査とは
定量調査(英語ではquantitative survey)とは、人数・割合・規模などの数値データを収集し、統計的に分析する手法です。選択肢式のアンケートを用いて、特定の質問に対してどの選択肢を何人が選んだか、その割合を調査します。 例えば、「30代男性の〇%が新製品に興味があると回答している」や、「既存顧客の女性のうち〇%がサービスを継続したいと回答している」といった具体的なデータを得ることができます。 定量調査は、客観的な数値に基づいて現状を把握し、将来の戦略を立てるために有効な方法といえます。
定量調査の目的
定量調査の主な目的としては「仮説の検証」「実態や傾向の把握」「効果測定」などがあります。
仮説の検証
定量調査を実施する主な目的のひとつは、事前に立てた仮説が正しいかどうか、検証することです。例えば、新製品が市場のニーズに合っているか、購買動機として立てた仮説が正しいかなどを調査し、製品開発やマーケティング戦略の精度を高めることができます。
実態や傾向の把握
市場や消費者の認知度、行動パターンなどの実態・傾向を把握したい場合にも定量調査が役立ちます。例えば、特定の商品がどの程度認知されているか、市場全体の動向がどうなっているかを把握し、理解することで、より適切なビジネス戦略を立てることができます。
効果測定
広告キャンペーンやプロモーションなどの効果を測定したい場合にも定量調査を用います。例えば、広告を見た後の消費者の反応や、サービスを利用した顧客の満足度を数値で知りたい場合に有用です。施策の効果を具体的に把握することで、今後の改善につなげることができます。
定性調査との違い
定量調査と定性調査は、収集するデータの種類に違いがあります。定量調査は客観的な数字で表すことができるデータ、定性調査は言葉や文章、行動といった数値化できないデータを集めます。 定量調査が、回答を数値化しやすい形式で行う一方、定性調査は、理由や印象など、数値化できない意見や感情、行動などを調査します。調査対象者も1名から数十名程度と定量調査と比較すると少ない人数であることが多く、深い意見を引き出しやすい調査です。そのため、生じている課題の原因追及や、仮説構築のための材料集めとして利用することができます。 定性調査はデプスインタビュー、フォーカスグループインタビュー等対面で行う調査手法が主ですが、オンラインで実施することも多くあります。後述するように、調査の目的に合わせて定量調査と定量調査を使い分けたり併用したりすることで、より信頼度の高いデータを集めることができます。 ▼関連記事
定量調査のメリット・デメリット
定量調査のメリット・デメリットについて解説します。
定量調査のメリット
定量調査はほかの調査よりも手軽に実施できるほか、統計学的に信頼性のあるデータを収集できるなど、さまざまなメリットがあります。主な5つのメリットについて詳しく説明します。
一度に大人数への調査ができる
定量調査の大きなメリットは、一度に多くの対象者からデータを収集できる点です。インターネットリサーチ(WEBアンケート)を利用することで、多くの人々から指定した項目に関する情報を効率的に集めることができます。
手軽・低コストに始められる
オンラインサービスやWEBフォーム等を活用することで、手軽に低コストで調査を開始することが可能です。また、モニターも簡単に参加できるため、多くの回答を得やすいという特徴もあります。
全体像の把握ができる
定量調査は、大量のデータを収集することで、全体の傾向や世間一般の行動理由を把握するのに適しています。収集したデータを表やグラフで可視化することで、社内やクライアントとの共有も容易になるため、意思決定に役立つ明確な情報を提供しやすくなります。
信頼性のあるデータを入手でき、ほかの調査の裏付けにも使用できる
収集した多くのサンプルを、統計的手法を用いて分析することで、信頼性の高いデータを得ることが可能です。信頼性が高いデータは、他の調査結果や分析の裏付けとしても利用できます。
結果を比較しやすい
数値データを収集するため、異なる時期や条件での調査結果を比較しやすくなります。経年観察によって長期的なトレンドを分析したり、性別・年代別など、特定の属性ごとの傾向を把握したりすることに役立ちます。
定量調査のデメリット
定量調査には以下のようなデメリットも存在します。定性調査で補える点もあるため、どちらの調査方法が適しているか、併用することでデメリットを解消できないか、吟味した上で調査を行いましょう。
回答の理由や背景の深堀りには不向き
定量調査では、回答の背後にある理由を深く掘り下げることが難しいというデメリットがあります。「なぜその選択肢を選んだのか」という理由の深層の部分を明らかにするには向いていません。このような深掘りが必要な場合は、定性調査と併用するのがおすすめです。併用については後の章で解説します。
データ分析のスキルが必要
収集したデータを適切に分析するためには、基本的な統計知識や専用ソフトウェアの利用スキルが必要です。誤った解釈を避けるためにも、適任者がいない場合は専門家に依頼することも検討しましょう。
多くのサンプル数が必要
信頼性の高いデータを得るためには、多くのサンプルを集める必要があります。収集には時間やコストがかかる場合があるため、目標サンプル数を設定し、どのくらいの期間と予算で達成できるかを事前にシミュレーションしておくのがおすすめです。
予想外の回答を得るには不向き
定量調査は、選択肢形式であるため、結果から新たな発見や深い洞察を得るには向きません。予想外の行動理由や背景等の回答を求める場合には、自由記述欄を設けたり、別の方法での定性調査と併用したりすることがおすすめです。併用については後の章で解説します。
定量調査の主な調査方法
ここからは、定量調査の主な調査方法を4つ紹介します。
インターネットリサーチ(WEBアンケート)
インターネット上のアンケートサイトに回答を入力してもらう調査方法です。特定の対象者にアンケートサイトのURLを共有して回答を集める「クローズ型」と、不特定多数から回答を募る「オープン型」があります。インターネットが使用できる機器があればどこでも回答できることに加え、無料で使用できるサービスもあるため、最も手軽で低コストに始められる方法といえます。
ホームユーステスト
モニターの家に商品を送付し、指定期間中に実際に使用してもらった上でアンケートの回答を得る調査方法です。美容用品や健康食品などの調査でよく使われます。実際の使用感を調査できるだけでなく、企業が予想しなかったニーズの発見や、商品改良のヒントが見つかる可能性があります。
会場調査
対象者を特定の会場に集めて商品を試してもらい、アンケートの回答を得る調査方法です。ホームユーステストとは異なり、一定の調査環境を保つことができます。リリース前の商品など、外部に持ち出したくないものをテストするのにおすすめです。
郵送調査
アンケートを郵送し、返送してもらうことで回答を得る調査方法です。郵送の手間とコストがかかりますが、インターネットを普段利用しない層からも回答を得られるため、年代を問わず幅広いサンプルを集めることができます。
電話調査
調査員が電話を通じて対象者に質問を行い、回答を収集する方法です。事前に準備された質問リストに基づき、対象者に直接電話をかけて、回答をリアルタイムで記録します。迅速なデータ収集と高い回答率が見込まれる一方、電話番号リストの用意や調査員のトレーニング、またはオートコールシステムの導入などの準備が必要です。
定量調査・定性調査の使い分けや併用方法
定量調査と定性調査はそれぞれ特徴があり、調査目的に対しての向き不向きがあります。条件に応じて使い分けたり併用したりすることで、より詳細なデータを得ることができます。併用する場合は、定量調査と定性調査の特徴に応じて、どちらを先に行うか、何を調査するか、調査結果を相互に補完できるように計画しましょう。 例えば、
市場調査(定量調査)→仮定したターゲット層にインタビューしてニーズを把握(定性調査)
ユーザーインタビューの回答を元に課題が生じる原因について仮説を立てる(定性調査)→アンケートで多くの人に仮説が当てはまるか検証(定量調査)
などの使い分け方が考えられます。
定量調査前後でのユーザーインタビューなら『ユニーリサーチ』がおすすめ
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