
アンケートの作り方のコツとは?質問項目の例と調査票の作成方法を解説
アンケート調査では、目的に合わせた質問項目を設定し、ユーザーに調査を行います。高い回答率を目指すためには、質問項目を吟味する必要があります。 この記事では、アンケートの作り方や質問項目の考え方について解説します。
- アンケート(調査票)とは?
- 調査票の役割と目的
- 調査票の精度が結果に影響する理由
- アンケートの作り方
- 手順1 目的・ターゲットを決める
- 手順2 実施の時期や期間、実施方法を決める
- 手順3 質問項目を決める
- 手順4 回答方法を決め、質問文や選択肢を作成する
- 単一回答(シングルアンサー:SA)
- 複数回答(マルチアンサー:MA)
- 評定尺度法(スケール)
- マトリクス
- 自由記述(フリーアンサー:FA)
- 順位型
- 数値配分法
- 手順5 導入文を考える
- 手順6 事前テスト(プレテスト)を実施する
- 調査票の全体構成と設計の考え方のコツ
- スクリーニングパートと本調査パートに分ける
- 属性確認→本調査→自由記述の流れを意識する
- アンケートの質問項目の種類
- 【目的別】アンケート項目の具体例・一覧
- 顧客満足度アンケートの項目例
- 従業員満足度(ES)アンケートの項目例
- イベント・セミナーアンケートの項目例
- 商品企画・開発アンケートの項目例
- 市場調査・ブランド調査アンケートの項目例
- 質問項目を決める際の考え方とコツ
- 項目の考え方
- 項目設定のコツ
- 重複を避ける
- 一つの質問で一つのことを聞く
- 中立的なデータが得られるよう意識する
- 具体的な時間や頻度を入れる
- 正確に答えられる項目にする
- 専門用語やあいまいな表現を使用しない
- ネガティブな表現やデリケートな質問はできるだけ避ける
- 選択肢の作り方・設計のポイント
- 漏れなく・重複なく(MECE)を意識する
- 「その他」「回答しない」の選択肢を設ける
- 選択肢の数は奇数・偶数を使い分ける
- 選択肢の順番・表現を中立に保つ
- バイアス(誘導・偏り)を防ぐ方法
- 誘導質問・キャリーオーバー効果とは
- 良い例・悪い例で見る誘導表現
- 固定概念を呼び起こす言葉に注意する
- アンケートの回答率を上げるには
- 質問数は最小限にする
- 質問の順序は流れを意識する
- インセンティブをつける
- 個人情報・匿名の扱いを明示する
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アンケート(調査票)とは?
アンケートを実施する上で欠かせないのが「調査票」の存在です。適切な調査票を作成できるかどうかが、アンケート調査の成否を大きく左右します。まずは調査票の基本的な役割と、設計の精度がなぜ重要なのかを理解しておきましょう。
調査票の役割と目的
アンケートの実施に欠かせないのが「調査票」です。調査票とは、対象者に回答してもらうための質問文と回答方法をまとめたものを指します。紙やWebフォームなど形式はさまざまですが、同じ質問を多数の人に回答してもらうことでデータを収集するという点はいずれも共通しています。
調査票の主な役割は、調査目的に沿った情報を効率よく収集することです。企業がユーザーに対して実施する顧客満足度調査や市場調査、従業員向けの職場環境調査など、幅広い場面で活用されています。
調査票の精度が結果に影響する理由
調査票の設計が不適切だと、意図した回答が得られなかったり、回答者に負担をかけて途中離脱を招いたりと、調査結果の信頼性を大きく損なう原因になります。逆に、適切に設計された調査票は回答率・回答精度の両方を高め、分析に活用できる質の高いデータ収集につながります。調査票作りの手順とコツをしっかり押さえておくことが、アンケート調査成功の第一歩です。
アンケートの作り方
まず、アンケートの基本的な作成手順を紹介します。 大まかには、 目的の決定→実施方法の決定→項目の決定→回答方法の決定→導入文の作成 という流れで進みます。詳しく見てみましょう。
手順1 目的・ターゲットを決める
はじめに、アンケート調査の目的を明確にします。「何のために」「どのように活用するために」アンケートを行うのかはアンケート作成の軸となる部分です。目的がはっきりしていると、どのような質問をすべきか、どの層(ターゲット)に聞くべきかが段々と定まってきます。
手順2 実施の時期や期間、実施方法を決める
目的とターゲットが決まったら、どの時期にどのくらいの期間調査を実施するかを検討します。短期間で集中して回答を得るか、長期間にわたってじっくりとデータを集めるかは目的により異なります。 同時に、実施方法についても検討しましょう。非対面で行うWebアンケートや電話調査、対面で行う街頭調査・訪問調査など、方法は多岐にわたります。Webアンケートは迅速に多くのデータを収集できるため、コストと時間の面で効率的です。 ▼「アンケート調査方法の種類や進め方」についてより詳しい記事はこちら

手順3 質問項目を決める
設定した目的に沿って、具体的に知りたい情報を考え、質問項目を決定します。 例えば、顧客満足度を測るためのアンケートなら「全体的な満足度」「製品の品質」「製品の価格」「カスタマーサービス」などの具体的な質問項目を決めます。多すぎず、少なすぎず、目的に応じた適切な数を設定しましょう。質問項目の詳しい設定方法については後の章で解説します。
手順4 回答方法を決め、質問文や選択肢を作成する
質問項目を決定したら、どのように回答してもらうかを決め、回答方法に沿った質問文や選択肢を作成します。 回答方法には様々な種類があり、一般的には以下の方法が用いられます。
単一回答(シングルアンサー:SA)
決められた選択肢の中から一つだけを選ぶ回答形式です。回答者の負担が少ないため、多く用いられます。オンライン上で回答するアンケートの場合は、ラジオボタンやプルダウンによって表示します。
複数回答(マルチアンサー:MA)
決められた選択肢の中から、複数を選ぶことができる回答形式です。いくつでも選択可能な場合もあれば、回答数を制限する場合もあります。オンライン上で回答するアンケートの場合は、チェックボックスで表示します。
評定尺度法(スケール)
評定尺度法は、同意の度合いを尋ねる回答形式です。例えば、「サービスの満足度を5段階で評価してください」という質問では、「非常に満足」「満足」「普通」「不満」「非常に不満」のような選択肢を用意します。この時、尺度の間隔が等しくなるように注意しましょう。一般的に、中央に「普通」や「どちらともいえない」を設けるため、選択肢の数は奇数となることが一般的です。
マトリクス
マトリクス形式は、複数の質問に対して同じ尺度で答えてもらう回答形式です。縦軸の選択肢と横軸の選択肢があり、一覧表の形で出題されます。例えば、複数の製品特性(価格、品質、デザインなど)について、それぞれ5段階で評価する、といった場合に適しています。
自由記述(フリーアンサー:FA)
自由記述は、回答者が自由にテキストで回答する形式です。単一回答等で選んだ選択肢に対して理由を聞く場合によく用いられます。選択肢ではカバーできない回答を得ることができる反面、分析が難しいというデメリットもあります。
順位型
順位型は、選択肢の中から優先度で順位付けする回答形式です。例えば、「以下のサービスを重要な順に順位付けしてください」という質問では、回答者は各サービスに順位を付けます。
数値配分法
数値配分法は、限られた点数や資源を優先度や重要度に応じて配分してもらう回答形式です。例えば、「100ポイントを重要度に応じて以下の機能に配分してください」という形式です。この場合、任意のポイントを重要だと感じる度合に応じて各機能に割り振ります。
手順5 導入文を考える
アンケートの導入文を考えます。この部分で回答者の関心を引き、信頼を築くことが重要です。一般的には、「アンケートの目的」「実施期間」「回答時間の目安」「回答者のメリット(謝礼など)」「個人情報の取り扱い」などを記載し、協力を促します。
手順6 事前テスト(プレテスト)を実施する
調査票が完成したら、本番配信の前に社内のメンバーなどに協力してもらい、事前テスト(プレテスト)を実施しましょう。回答者の立場から見て質問文や選択肢に分かりにくい部分がないか、回答の分岐が正しく機能しているかなどを確認します。
プレテストで確認すべき主なポイントは以下の通りです。
質問文の意味が誰にでも伝わるか
選択肢に漏れや重複がないか
回答の流れが自然でスムーズか
全体の回答時間が適切か
事前テストを行うことで、配信後に問題点に気づくといったトラブルを防ぐことができます。本番配信後の修正はデータの一貫性を損なうリスクがあるため、プレテストは必ず実施するようにしましょう。
調査票の全体構成と設計の考え方のコツ
調査票を作る前に、アンケート全体の構成を設計しておくことが重要です。場当たり的に設問を並べると、回答者が混乱したり、必要なデータが集まらなかったりする原因になります。
スクリーニングパートと本調査パートに分ける
調査票は大きく「スクリーニングパート」と「本調査パート」の2つに分けて設計するのが基本です。
スクリーニングパートでは、本調査の対象者かどうかを確認するための質問(性別・年齢・職業・商品の利用経験など)を設けます。条件に合わないユーザーをこの段階で除外することで、目的に合ったユーザーからのみデータを収集できます。
本調査パートでは、調査目的に沿って明らかにしたい内容を聞く設問を配置します。スクリーニングで対象者を絞った上で本調査に進む流れを設計することで、データの精度が大幅に向上します。
属性確認→本調査→自由記述の流れを意識する
本調査パート内の設問の並び順も重要です。一般的には「属性確認(性別・年代・職業など)→本調査の設問→自由記述」の順に配置するのがスムーズでしょう。
属性質問を冒頭に置くことでウォームアップになり、回答者が本調査の設問に答えやすくなります。自由記述はユーザーへの負担が大きいため、最後に配置するのが基本です。
▼「アンケートの基本属性の聞き方」についてより詳しい記事はこちら

アンケートの質問項目の種類
アンケートの質問項目の尺度は次の4つに分類されます。
名義尺度(Nominal scale):性別、職業、居住地など、モニターを分類するための項目。
順序尺度(Ordinal scale):順位付けがあるが、項目間隔が一定でない尺度。評価や好みをランク付けする。
間隔尺度(Interval scale):項目間の距離が均等である尺度。温度やテストの点数など。
比例尺度(Ratio scale):絶対的なゼロ点を持つ尺度。身長、体重、収入など。
【目的別】アンケート項目の具体例・一覧
ここでは、よく実施されるアンケートの種類ごとに、具体的な質問項目の例を一覧で紹介します。自社のアンケートに合わせてカスタマイズしてご活用ください。
顧客満足度アンケートの項目例
顧客満足度アンケートは、商品やサービスに対する顧客の評価を測定し、改善点を明らかにするために実施します。以下のような項目を組み合わせて設計するのが一般的です。
カテゴリ | 質問項目の例 | 回答形式 |
|---|---|---|
属性 | 年齢・性別・職業・利用頻度 | 単一回答(SA)/プルダウン |
認知経路 | 商品・サービスを知ったきっかけは何ですか? | 複数回答(MA) |
総合満足度 | 商品・サービスの総合的な満足度を教えてください | 5段階スケール |
品質評価 | 品質についてどの程度満足していますか? | 5段階スケール |
価格評価 | 価格についてどの程度満足していますか? | 5段階スケール |
接客・対応 | スタッフの対応についてどの程度満足していますか? | 5段階スケール |
NPS | この商品・サービスを友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいですか? | 0〜10段階 |
継続意向 | 今後も利用を続けたいと思いますか? | 単一回答(SA) |
競合比較 | 他社の類似商品・サービスと比較して、当社の評価はいかがですか? | 5段階スケール |
改善要望 | 改善してほしい点があれば自由にお書きください | 自由記述(FA) |
従業員満足度(ES)アンケートの項目例
従業員満足度アンケートは、職場環境や福利厚生、上司との関係性などに対する従業員の評価を把握し、組織改善に役立てるために実施します。
カテゴリ | 質問項目の例 | 回答形式 |
|---|---|---|
属性 | 所属部署・勤続年数・雇用形態 | 単一回答(SA) |
仕事のやりがい | 現在の仕事にやりがいを感じていますか? | 5段階スケール |
職場の人間関係 | 上司や同僚との関係に満足していますか? | 5段階スケール |
評価・処遇 | 自分の成果が適切に評価されていると感じますか? | 5段階スケール |
ワークライフバランス | 仕事とプライベートのバランスは取れていますか? | 5段階スケール |
福利厚生 | 会社の福利厚生制度に満足していますか? | 5段階スケール |
成長機会 | スキルアップやキャリア成長の機会は十分にありますか? | 5段階スケール |
会社への愛着 | この会社で働き続けたいと思いますか? | 単一回答(SA) |
自由意見 | 職場環境の改善について意見があればお書きください | 自由記述(FA) |
イベント・セミナーアンケートの項目例
イベントやセミナーの終了後に実施するアンケートです。参加者の満足度を把握し、次回開催の改善に活かします。
カテゴリ | 質問項目の例 | 回答形式 |
|---|---|---|
属性 | 業種・役職・参加回数(初参加 or リピーター) | 単一回答(SA) |
認知経路 | このイベントをどこで知りましたか? | 複数回答(MA) |
参加動機 | 参加を決めた理由は何ですか? | 複数回答(MA) |
総合満足度 | イベント全体の満足度を教えてください | 5段階スケール |
内容の有用性 | 内容は業務に役立つものでしたか? | 5段階スケール |
講師の評価 | 講師の説明はわかりやすかったですか? | 5段階スケール |
会場・環境 | 会場の設備やアクセスは適切でしたか? | 5段階スケール |
再参加意向 | 次回も参加したいと思いますか? | 単一回答(SA) |
テーマ要望 | 今後取り上げてほしいテーマがあれば教えてください | 自由記述(FA) |
商品企画・開発アンケートの項目例
新商品の企画段階や既存商品のリニューアル時に、ターゲットのニーズや購買行動を把握するために実施するアンケートです。
カテゴリ | 質問項目の例 | 回答形式 |
|---|---|---|
属性 | 年齢・性別・家族構成・世帯年収 | 単一回答(SA) |
利用状況 | 現在使用している類似商品は何ですか? | 複数回答(MA) |
購入頻度 | 類似商品をどのくらいの頻度で購入しますか? | 単一回答(SA) |
購入場所 | どこで購入することが多いですか? | 複数回答(MA) |
重視点 | 商品を選ぶ際に最も重視するポイントは何ですか? | 順位型 |
価格感度 | この商品に支払ってもよいと思う金額はいくらですか? | 数値入力 |
コンセプト評価 | 以下の商品コンセプトについて、購入意向を教えてください | 5段階スケール |
デザイン評価 | パッケージデザインの印象を教えてください | 複数回答(MA) |
改善点 | 商品に対して改善してほしい点を自由にお書きください | 自由記述(FA) |
市場調査・ブランド調査アンケートの項目例
市場全体の動向や自社ブランドのポジションを把握するために実施するアンケートです。マーケティング戦略の立案に役立ちます。
カテゴリ | 質問項目の例 | 回答形式 |
|---|---|---|
属性 | 年齢・性別・居住地域・職業 | 単一回答(SA) |
ブランド認知 | 以下のブランドのうち、知っているものをすべて選んでください | 複数回答(MA) |
利用経験 | 過去1年間に利用したことがあるブランドを選んでください | 複数回答(MA) |
ブランドイメージ | 各ブランドに対するイメージを教えてください | マトリクス |
購買チャネル | 普段どこで情報収集をしていますか? | 複数回答(MA) |
乗り換え意向 | 現在利用しているブランドから乗り換えを検討していますか? | 単一回答(SA) |
自由意見 | 当商品・サービスに対するご意見をお聞かせください | 自由記述(FA) |
上記はあくまで代表的な項目例です。実際のアンケート設計では、調査目的と仮説に基づいて必要な項目を取捨選択することが重要です。項目数が多すぎると回答率の低下につながるため、優先度の高い項目に絞りましょう。
質問項目を決める際の考え方とコツ
実際に質問項目を決定する際の考え方とコツについて解説します。
項目の考え方
質問項目を考える際は、まず何が聞きたいのか、大枠を書き出していき、徐々に掘り下げていくと良いでしょう。 例えば、「鉛筆がどのように購入されているか」を調べたいとき、「購入時にどんな行動をするか」「何が理由で購入するか」という2つについて調査するとします。それぞれについて、より詳しく掘り下げていき、 行動:「購入場所」「購入時間帯」「購入頻度」 理由:「競合商品との差」「購入理由(複数選択)」「最も重要な購入理由」 といった細かな質問項目を洗い出します。
質問項目が決定したら、どのように質問するか検討しましょう。例えば、「購入頻度」について最も集計しやすい単一回答形式での回答が欲しい場合、「あなたは鉛筆をどのくらいの頻度で購入しますか」という質問文と、「週1回程度」「月1回程度」「3か月に1回程度」「半年に1回程度」「年1回程度」という選択肢が考えられます。
項目設定のコツ
より効果的な質問項目を設定するためのコツをご紹介します。
重複を避ける
似たような質問項目が複数あると、ユーザーが回答に困り一貫性のあるデータが得られなくなったり、調査の信頼性に疑問を抱いて離脱したりしてしまうことがあります。質問したい内容を整理し、同じような項目が重複しないようにしましょう。
一つの質問で一つのことを聞く
「AとBについてどう思いますか」のように、一つの質問文に複数の内容を詰め込む「ダブルバーレル質問」は避けましょう。回答者がどちらに対して答えればよいか迷うだけでなく、集計・分析も難しくなります。
例えば、「価格と品質についてどう評価しますか」という設問は、価格への評価と品質への評価が混在しており、正確なデータが取れません。「価格についてどう評価しますか」「品質についてどう評価しますか」と、それぞれ独立した設問に分けることが正しい設計です。
一つの質問では一つの内容だけを尋ねることを徹底しましょう。
中立的なデータが得られるよう意識する
理想の結果に誘導するようなアンケートは偏ったデータを生み出し、結果の信頼性を損ないます。例えば、ユーザーが感じている「サービスのメリット」について知りたい場合、「サービスのデメリット」も質問項目に加えるなど、中立的なデータが得られるアンケートになるように心掛けます。
具体的な時間や頻度を入れる
正確な回答が得られるよう、時間や頻度を尋ねる場合は具体的な数字や単位を書きましょう。「過去3ヵ月間に何回」「週に何時間」のように具体的に示すことで回答しやすくなり、信頼性の高いデータを得ることができます。
正確に答えられる項目にする
回答するユーザーが正確に答えられる質問項目を選びましょう。不明確または答えられない質問は、無効なデータを生む原因となります。例えば、「5年前の夏に行った旅行先」という質問項目は、回答者の記憶力に依存するため正確に答えるのが難しくなります。 1年以上前の特定の時期や特定の商品などについてどうしても聞きたい場合は、回答者の記憶を刺激するために画像や写真をつけるといった工夫をしましょう。
専門用語やあいまいな表現を使用しない
アンケートの質問項目は、専門用語やあいまいな表現は避け、一般に理解される言葉を使うようにしましょう。あいまいな表現を使うことは、回答者を混乱させてしまうだけでなく、こちらの意図と違う回答を収集してしまう懸念も生じます。
ネガティブな表現やデリケートな質問はできるだけ避ける
感情を害するようなネガティブな表現やデリケートな質問項目はできるだけ控えましょう。例えば、「仕事がどのくらい退屈か」ではなく「仕事にどのくらい満足しているか」のようにポジティブな表現を用いた質問項目を設定します。 調査目的のためにどうしてもデリケートな質問項目が必要な場合、アンケートの後半部分に設置し、「ここからは〇〇についてお尋ねします」などの説明を挟む、「回答したくない」という選択肢を用意する、といった配慮をしましょう。
選択肢の作り方・設計のポイント
回答形式を決めたら、次は選択肢そのものの設計が重要になります。選択肢の作り方ひとつで回答データの質が大きく変わるため、以下のポイントを意識して設計しましょう。
漏れなく・重複なく(MECE)を意識する
選択肢を設計する際の基本原則が「MECE(ミーシー:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)」、つまり「漏れなく・重複なく」です。
どの回答者にも当てはまる選択肢が必ず一つ存在し、かつ複数の選択肢に同時に当てはまることがない状態を目指します。
選択肢に漏れがあると「該当する選択肢がない」という状況が生まれ、データの精度が下がります。設計後は必ず「全員が回答できるか」を確認しましょう。
「その他」「回答しない」の選択肢を設ける
選択肢にどれだけ気を配っても、全ての回答者の状況を網羅しきれないことがあります。そのため、選択肢の最後に「その他」を設け、自由記述してもらうことで、想定外の回答も取りこぼさずに収集できます。
また、プライベートな情報(年収・家族構成など)を尋ねる場合は「回答しない」の選択肢も用意し、回答者が答えやすい環境を整えることが回答率の向上につながります。
選択肢の数は奇数・偶数を使い分ける
評定尺度の選択肢数は一般的に5段階(奇数)が多く使われます。奇数にすることで「どちらともいえない」という中間の選択肢を設けられ、回答者が答えやすくなります。
一方、「どちらでもない」という回答を避けたい場合(より明確な意思を問いたい場合)は4段階(偶数)を用いることも有効です。
また、格付け法では選択肢が多すぎると回答者が判断しにくくなるため、5段階を上限の目安とするのが一般的です。
選択肢の順番・表現を中立に保つ
選択肢の提示順序や表現が回答傾向に影響を与えることがあります。例えば、ポジティブな選択肢を先頭に並べると、そちらに回答が偏りやすくなります。
同様に、特定のブランド名や商品名を選択肢に含める場合は、順番をランダムに入れ替える(ランダマイズ)ことでバイアスを防ぐことができます。
選択肢の表現も自社に有利になるような言葉を選ばず、中立的な言葉を使うよう心がけましょう。
バイアス(誘導・偏り)を防ぐ方法
どれだけ丁寧に調査票を作成しても、設問の表現や順序によって回答が特定の方向に誘導されてしまうことがあります。これを「バイアス(偏り)」と呼びます。バイアスが入ったデータは信頼性を失い、誤った意思決定につながるリスクがあります。
誘導質問・キャリーオーバー効果とは
「誘導質問」とは、特定の回答を促すような表現を含む設問のことです。例えば、「多くのユーザーに好評の〇〇サービスについて、あなたはどう思いますか?」という設問は、「多くのユーザーに好評」という情報がポジティブな回答を誘導してしまいます。
また、「キャリーオーバー効果」とは、前の設問の内容が後続の設問の回答に影響を与える現象です。例えば、環境問題に関する否定的な設問の直後に「あなたはエコ活動に積極的ですか?」と聞くと、前の設問の影響でエコ活動への関心が高まった状態で回答されてしまいます。
設問の順序設計においてもバイアスへの配慮が必要です。
良い例・悪い例で見る誘導表現
誘導質問の典型的なパターンを良い例・悪い例で確認しておきましょう。
悪い例:「弊社の〇〇サービスは業界トップクラスの品質を誇りますが、満足度はいかがでしたか?」 →「業界トップクラス」という表現が満足度を高く回答させる誘導になっている。
良い例:「〇〇サービスの品質についての満足度をお聞かせください。」 →事実のみを問い、余分な情報を含まない中立的な表現。
悪い例:「〇〇が健康に悪いとされていますが、あなたは〇〇を控えようと思いますか?」 →前置きが特定の回答を誘導している。
良い例:「今後、〇〇の利用頻度を変えようと思いますか?」 →中立的な立場で意向を問う表現。
固定概念を呼び起こす言葉に注意する
特定のイメージや固定概念を想起させる言葉も、バイアスの原因になります。
例えば、「節約家のあなたは…」「環境意識の高い方なら…」といった前置きは、回答者に特定の自己イメージを持たせてしまい、本来の意識とは異なる回答を引き出す可能性があります。
また、同じ言葉でも世代や地域によって解釈が異なる場合があるため、誰が読んでも同じ意味に取れる表現を使うことが重要です。設問文の作成後は、第三者に読んでもらい誘導的な表現がないか確認する習慣をつけましょう。
アンケートの回答率を上げるには
最後に、アンケートの回答率を上げるために意識したほうが良いことをご紹介します。目標回答数をクリアするために、ぜひ参考にしてみてください。
質問数は最小限にする
アンケートはできるだけ短くシンプルにするのが回答率を上げるための基本です。質問が多すぎると回答するユーザーの負担が増し、途中離脱が増えて回答率が低下する可能性があります。重要な質問に絞り、アンケート全体の長さを最小限に抑えましょう。
質問の順序は流れを意識する
質問を論理的な流れに沿って配置することで、スムーズに回答しやすくなり、途中離脱のリスクを減らすことにつながります。簡単な質問から始め、徐々に具体的な質問に移ることで、回答するユーザーの負担感を軽減できます。
インセンティブをつける
回答するユーザーへのインセンティブとして、謝礼や抽選でのプレゼントを用意することも回答率向上に有効です。アンケートの長さや負担感、対象となるユーザーの希少度に合わせたインセンティブを設定することで、より回答が得やすくなります。
個人情報・匿名の扱いを明示する
回答率を上げるためには、アンケートへの安心感を醸成することも重要です。導入文や設問の冒頭で「本アンケートは匿名で実施します」「収集した個人情報は〇〇の目的にのみ使用します」といった個人情報の取り扱い方針を明示しましょう。
特に年収・家族構成・健康状態などプライベートに関わる情報を尋ねる場合は、データの利用目的と管理方法を丁寧に説明することで、回答者の不安を取り除き、回答率と回答品質の両方を高めることができます。
▼「アンケート回答率」についてのより詳しい記事はこちら

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