アンケート回答率の平均と目安は? 回答率を上げる工夫や計算方法を解説
マーケティングやリサーチ活動において、アンケート調査の結果は一つの重要な指標ですが、アンケートの回答率が低いと調査の信頼性は下がってしまいます。
本記事では、アンケート回答率の基本的な概念や計算方法、平均値、目安、そして回答率を向上させるための工夫をご紹介します。
アンケートの回答率とは?
アンケートの回答率とは、アンケートを送付した対象者のうち、回答が得られた比率を示すもので、アンケート調査の成功を測る基本的な指標の一つです。
回答率が高ければ、調査対象者の意見を幅広く反映した、信頼性の高い結果を得ることができたと言えます。逆に回答率が低いと、回答した特定の層の意見が強く反映され、データの偏りが生じるリスクが高まります。
アンケート回答率の重要性
アンケート回答率は、アンケート結果の信頼性を保つために重要です。回答率が高いほど、母集団の意見をより正確に反映しているといえます。例えば、ユーザーの購買行動を調べる調査で回答率が低い場合、一部の積極的なユーザーの意見に偏ってしまう恐れがあります。
また、回答率が低いと、統計分析に必要なサンプルサイズが確保できず、分析結果の精度も低下します。高い回答率は、調査データの質を保つための重要な要素です。
「回答率」と「有効回答率」の違い
回答率は調査全体の回答割合を示す基本指標ですが、「有効回答率」は分析に使用可能な回答データの割合を示します。
例えば、500件のアンケートを送付した結果、200件の回答が得られ、そのうち50件に無回答や不備がある場合、
有効回答率 = 150(有効回答数) ÷ 500(アンケート配布数 ) × 100
という式で計算され、有効回答率は30%になります。
多くの回答を得られても、無効回答が多いと、結果的に有効回答率は低下してしまいます。ユーザーが答えやすいアンケートの作成を意識しましょう。
「サンプルサイズ」と「サンプル数」の違い
「サンプルサイズ」は、母集団から抽出したデータの個数のことを言います。母集団のデータの個数「N」に対し、サンプルサイズは「n」と表します。統計的に意味のある結果を得られるよう、信頼度や許容誤差を考慮して適切なサンプルサイズを設定することが必要です。
一方、「サンプル数」はデータのまとまりの数(抽出した回数や属性ごとのグループの数)を示す指標です。
アンケート調査の場合の各用語の使用例を2つご紹介します。
例①:〇〇県内の図書館の利用状況調査
母集団:〇〇県内在住者(1,000,000人)
サンプルサイズ:各図書館で調査する人数(300人)
サンプル数:30(調査対象となる図書館数)
例②:〇〇市図書館の利用状況調査
母集団:〇〇市在住者(100,000人)
サンプルサイズ:各調査日に調査する人数(100人)
サンプル数:7(調査日数)
サンプルサイズとサンプル数は混同して用いられることが多い言葉なので、注意が必要です。
サンプルサイズの決め方
信頼性の高いデータを得るためには、統計的手法を活用して適切なサンプルサイズを決める必要があります。母集団の規模や必要な許容誤差、信頼度などを元に計算し、アンケートの回答率を考慮して配布数を決定しましょう。
「許容誤差」は、抽出したサンプルへのアンケート調査結果と、母集団全体に対してアンケートを行った場合の調査結果との「誤差の範囲」を、「信頼度」は許容誤差範囲内の結果を得られる確率を表します。一般的な目安として許容誤差5%、信頼度95%以上が統計的に有意とされていますが、調査の目的に応じてもっとハードルの低い値を設定することもあります。
サンプルサイズを求める計算式は複雑なため、すぐに知りたい場合は標本誤差早見表や計算ツールを用いるのがおすすめです。
標本誤差早見表 参考:サンプリング・標本誤差 - NTTコム リサーチ
アンケート回答率の平均と目安
アンケートの回答率の平均と目安はどのくらいなのか、解説していきます。
アンケート回答率の計算方法
まずは、アンケート回答率の計算方法を解説します。回答率は簡単な計算式で求めることができます。
回答率 (%) = (回答数 ÷ 配布数) × 100
例えば、500人に配布して200人から回答が得られた場合、回答率は40%です。
また、先述の通り、分析に使用可能な回答データの割合を示す「有効回答率」は次の計算式で求めることができます。
有効回答率 (%) = ((回答数-無効回答数) ÷ 配布数) × 100
500人に配布して200人から回答が得られたが、50人分は無効な回答だった場合、有効回答率は30%です。
一般的なアンケートの回答率
アンケート調査全体での回答率平均は30%ほどと言われており、目標回答率もこの30%がひとつの目安となります。一般的なアンケート調査で60名の回答を得たい場合、200名程度にアンケートを配る必要があるということです。
ただし、回答率は調査方法に大きく依存します。WEBアンケートやメールなどのオンライン調査では20~30%程度が一般的ですが、イベント後のアンケートなど対面調査や郵送調査の回答率は50%以上になることもあります。これらの数値を参考に、必要なサンプルサイズを計算し、目標回答率を得られるアンケートを目指しましょう。
アンケート回答率を上げるには?
アンケートの回答率は正確な調査結果を得るためには重要な指標です。ここでは、回答率を上げるための工夫をご紹介します。
答えやすいアンケート設計にする
ユーザーが答えやすいアンケート調査を設計することで、途中離脱を防ぐことができ、アンケートの回答率の向上につながります。答えやすいアンケート設計にするには、以下のことに気を付けましょう。
調査の目的と配布方法は適切か
アンケートの調査目的を明確にし、ユーザーが回答しやすい配布方法を選ぶことが重要です。どのような目的で実施しているアンケートかが明確でないと、ユーザーは不信感を覚えてしまいます。
また、対象となるグループが普段どんな情報収集手段を用いているかをリサーチし、答えやすい配布方法を選択するのも大切です。オンライン調査ならメールやSNSを活用し、アクセスのしやすさを確保しましょう。
目的に合った対象者を選定できているか
調査の目的に適した対象者を選定することが重要です。適切な対象ユーザーにアンケートを配布することで「自分に関係がある」アンケートだと認識されやすくなります。その結果、回答への心理的なハードルが下がり、回答率や回答の質が向上します。
アンケートは長すぎないか
長すぎるアンケートはユーザーの負担となります。質問数を絞り、1問あたりの回答時間を短くする工夫が必要です。総所要時間が何分程度かを明記するのもおすすめです。
▼「アンケートの作り方」についてのより詳しい記事はこちら
ユーザーのモチベーションを高める
ユーザーがアンケートに回答する理由を作るのも重要です。回答することによって何らかのメリットがあると、ユーザーのモチベーションにつながります。モチベーション向上のための工夫を3つご紹介します。
インセンティブを活用する
ユーザーにメリットを感じてもらうために、抽選でオリジナルギフトを提供するなどのインセンティブを活用するのがおすすめです。回答者全員に謝礼や特典があると、より高い回答率が見込めるでしょう。
タイミングを工夫する
ユーザーが落ち着いて回答できるタイミングで配布することが理想です。例えば、イベントなどの現地アンケートの場合、その場で記入してもらうことで高い回答率が期待できます。
信頼性を印象づける
調査の目的や実施者の詳細、回答の匿名性を明記し、信頼できる調査であることを伝えましょう。調査結果がどのように利用されるかを記載するのも大切です。お礼メールや調査結果の共有といったアンケート回答後のフォローも、次の調査に向けて信頼性を高めるために効果的です。
実施者の認知度を上げる
アンケートの実施者が信頼されるブランドであれば、回答率の向上が期待できます。認知度向上は一朝一夕では難しいことではありますが、世間に知られた企業が行うアンケートは「悪用されない」だろうという信頼につながります。
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