
インサイトとは?マーケティングの成功において重要視される理由や見つけ方を解説
マーケティングにおいて、ユーザーの「深層心理」や「本音」をどれだけ把握できるかは商品やサービスの成功を左右すると言われており、ユーザーの心理を掘り下げたうえで導き出される洞察のことを「インサイト」と呼びます。
本記事では、インサイトの定義から、マーケティング活動において重要とされる理由、そして具体的な調査方法などを解説します。
- インサイトとは?
- インサイトとニーズの違い
- マーケティングにおいてインサイトが重要視される背景
- 消費者の購買行動が複雑・多様化している
- 市場が飽和状態で商品が売れにくい
- インサイトを見つける手順
- 1.データを収集する
- 2.収集したデータを分析する
- 3.インサイトを見つける
- 4.インサイトが正しいか検証する
- インサイトを見つける手段
- アンケート調査
- インタビュー調査
- エスノグラフィ(行動観察調査/ethnography)
- ソーシャルリスニング
- 調査で得たインサイトを活用している企業事例
- エナフォワード株式会社様
- 株式会社カケハシ様
- 株式会社エイチームライフデザイン様
- インサイトを見つけるなら国内最大級のダイレクトリサーチサービス『ユニーリサーチ』
インサイトとは?
マーケティングの文脈で用いられる「インサイト(Insight)」とは、ユーザー自身でも気付いていない潜在的な行動の動機や価値観、深層心理を理解するための洞察(気づき)を指します。「消費者インサイト」や「顧客インサイト」とも呼ばれます。元々の「インサイト」は直訳すると「洞察」「洞察力」という意味です。
▼「消費者インサイト」についてのより詳しい記事はこちら

インサイトとニーズの違い
インサイトと混同されやすい概念として「ニーズ」がありますが、意味は異なります。「ニーズ」は、ユーザーが明確に感じている課題や欲求のことを指すのが一般的です。ニーズは表面的な欲求、インサイトはニーズの背景にある感情や根本的な価値観、動機を捉えます。
マーケティングにおいてインサイトを得ることは、顕在化しているニーズだけでなく、本質的な課題や欲求にアプローチするためには欠かせないものです。
マーケティングにおいてインサイトが重要視される背景
インサイトは競争の激しい市場で差別化を図るための重要な要素です。マーケティングにおいてインサイトが重要視される背景を2つ解説します。
消費者の購買行動が複雑・多様化している
情報社会の発展やSNSの普及に伴って、現代の消費者は多種多様な方法で情報を得ながら、購買行動をとるようになりました。
昔はテレビや新聞などのマスメディアが主流だったため、マーケティングの打ち手も比較的シンプルで、「広告を大量に流して認知度を高め、買ってもらう」という方法が主に取られていました。
しかし、今では商品やサービスが本当に自分に合っているかどうかを調べる手段が増え、口コミサイトやSNSでの他の人の評判もチェックしながら購買の意思決定を行います。
従来のように広告が目立つだけでは、消費者の注意を引くことが難しくなっているため、消費者が「自分の悩みや感情に寄り添った商品である」と感じ、購買欲求が喚起されるような、インサイトを押さえたマーケティング施策がより重要になっています。
市場が飽和状態で商品が売れにくい
現在はあらゆる市場で商品やサービスが飽和状態にあり、似たような特徴を持つ製品が多数存在することも珍しくありません。消費者は、一度に多くの商品を比較検討し、その中から自分に最適だと思う商品を見極めた上で購入しようとします。
このようにコモディティ化(付加価値の高い商品が市場の競争を経て差別化が難しくなり、一般的な商品となること)が進む中では、単純な価格や機能面だけで競合との差別化を図ることが難しくなってきました。そこで注目されているのが、インサイトを反映した価値訴求です。
たとえば、同じビデオカメラを販売する企業であっても、「大容量バッテリー」という機能的アピールだけでなく、「大切な瞬間を逃さず、いつでも思い出を共有できる」という感情的な側面を打ち出すことで差別化を図ることができます。インサイトを元に消費者の根底にある本音を突くことで「この商品は自分の気持ちをわかってくれている」と感じてもらえ、競合製品との差別化につながります。
インサイトを見つける手順
インサイトを得るまでの手順を解説します。
1.データを収集する
インサイトを発見するためには、まずは多角的なデータの収集が重要です。定量的なデータ(アンケートの回答や売上に関する数値、公式サイトのアクセスログなど)だけでなく、定性的なデータ(インタビューで引き出した生の声や、ユーザーとのやり取りの記録、SNSの投稿内容など)も幅広く集めましょう。
データ収集時のポイントは、できるだけバイアスをかけず、ありのままの情報を捉えることです。データ収集の時点で先入観があると、真のインサイトに辿り着く前に「思い込み」で結論を出してしまうリスクがあります。
2.収集したデータを分析する
次に、集めたデータを分析していきます。様々な分析方法がありますが、例えば、定性的なデータは以下のようなステップを踏むと整理しやすくなるでしょう。
類似する回答やコメントをグループ分けする
グループごとの共通点や矛盾点を見つける
そこからユーザーの心理を推測する
「なぜ、このようなコメントや行動をしているのか?」と問いながら考えていくことで、潜在的な欲求を探るきっかけが得られます。
3.インサイトを見つける
分析結果を元に、ユーザーの本音や深層心理についての「インサイト」を見つけていきます。ユーザーの課題だけでなく、その背景まで踏まえることで、単なるニーズから一歩踏み込んだ理解が得られます。
4.インサイトが正しいか検証する
最後に大切なのが、見つけたインサイトが妥当かどうかを検証することです。仮説に基づく試作の商品や広告を実際のターゲット層に試用してもらい、フィードバックを得ます。
ターゲット層の反応がポジティブであればインサイトが妥当である可能性が高く、逆に反応がいまいちであれば、インサイトまたは訴求方法がずれている可能性があるため、別のアプローチを検討する必要があります。
インサイトを見つける手段
インサイトを見つけるための調査方法を4つご紹介します。
アンケート調査
「アンケート調査」では、調査の目的に沿った質問項目を設計し、オンライン上や紙媒体で消費者へのアンケートを実施します。多くの人から幅広い意見を集めたいときに有効で、短い期間で情報を集めて分析し、そこからのインサイトを得ることができます。
一方で、「回答者の本音」を拾いにくいという面もあるため、「はい/いいえ」などの選択式の質問だけでなく、自由記述欄を設けるといった工夫をするのがおすすめです。
▼「アンケート調査」についてのより詳しい記事はこちら




インタビュー調査
「インタビュー調査」は、直接会話して、質問を重ねて具体的な回答を聞き取る方法です。対象となる消費者を選び、事前に準備した質問を元に対話を行います。個別に実施することもあれば、グループで実施することもあります。
時間やコストの都合でアンケート調査と比べると回答者の人数は少なくなりがちですが、より深いインサイトを得るにはインタビュー調査が効果的です。回答者の表情や口調、ちょっとした言葉のニュアンスなども含めた「生の声」を捉えることができます。
▼「インタビュー調査」についてのより詳しい記事はこちら




▼インサイトに迫るインタビュー手法についてのセミナーアーカイブはこちら
エスノグラフィ(行動観察調査/ethnography)
「エスノグラフィ」とは、対象ユーザーと生活様式を共にすることで、ユーザーの行動や言動を直接観察する調査方法です。アンケートやインタビューでは「社交的に望ましい回答を選ぶ」などのバイアスが働くことがありますが、バイアスの働きづらい実際の行動を観察・記録するのがエスノグラフィです。
店舗での買い物の様子や、商品利用中のユーザーの仕草などを現地視察や撮影でリアルに捉えることで、本人の発言とはまた違った本質的な行動パターンを見つけ出し、さらに深いインサイトを得やすくなります
▼「エスノグラフィ(行動観察調査)」についてのより詳しい記事はこちら

ソーシャルリスニング
「ソーシャルリスニング」は、SNS(ソーシャルメディア)における消費者の声を収集・分析し、トレンドや意見を発見していく調査方法です。
SNS上には消費者が投稿している「本音」が多く存在するため、アンケートやインタビューでは出てこないような、最新かつより自然な声を拾いやすいのが特徴です。大規模な分析の場合は専用のツールを使用し、ターゲット層の消費者がどんな話題について投稿しているかを調査し、最新のニーズや感情を分析します。
ただし、消費者の属性が限定的になりがちであることや、実際とは異なる言動でSNS上で理想の自分像を演出していることもある、といった懸念もあるため、他の調査手段と組み合わせて活用するとより効果的です。
調査で得たインサイトを活用している企業事例
ダイレクトリサーチサービス『ユニーリサーチ』の導入事例の中から、調査で得たインサイトを活用されている企業様の実例をご紹介します。
エナフォワード株式会社様
エナフォワード株式会社様は、美容師と顧客をつなぐアプリケーションサービス「ビーネ」を提供し、美容師が顧客から継続指名をもらいやすい仕組みを整え、仕事を続けられる環境構築を目指しています。
プロダクトの価値検証(PoC)のため、ユニーリサーチで募集した8人のモニターに体験後のインタビューを行ったところ、期待値以上のインサイトが得られ、プロダクトの価値を改めて定義し、さらに尖らせることができたとのことです。

▼「エナフォワード株式会社」のユニーリサーチ導入事例
[エナフォワード株式会社]アプリ利用とオフライン体験のPoCを実施 ユニーリサーチモニターを活用してプロダクトの体験価値を再定義し、尖らせることができた
株式会社カケハシ様
株式会社カケハシ様は、「日本の医療体験を、しなやかに」をミッションに掲げ医薬品産業・医療産業全体における課題解決や体験のアップデートを目指しています。
患者さんについての理解やインサイトの発見を目的に、多様な切り口でのインタビューをしていますが、「得られたインサイトを次にどう繋げるか」といった具体的な目的設定はあえてしていないとのこと。
中長期的なプロダクトの方針や、事業活動での意思決定に繋がるはず、という考えのもと、さまざまな切り口で毎月10人弱の方へのインタビューを継続的に実施しているそうです。
▼「株式会社カケハシ」のユニーリサーチ導入事例
[株式会社カケハシ]募集からインタビューまで1週間で完結 継続的なユーザーリサーチが可能になり顧客理解はチームのDNAに
株式会社エイチームライフデザイン様
株式会社エイチームライフデザイン様は、結婚式や引越しなどのライフイベントに寄り添ったWEBサービスを提供する企業で、お客様のインサイトをより深く理解するための手法としてUXリサーチに力を入れています。
インタビューにおいては、実際に言葉で話されていることの裏側にある意外なインサイトに気づけるよう、「なぜ?」を繰り返して深堀りすることを心がけているそうです。
▼「株式会社エイチームライフデザイン」のユニーリサーチ導入事例
リサーチ期間は半分に、改善サイクルが高速化。定量×定性調査のUXリサーチで顧客インサイトを探る
インサイトを見つけるなら国内最大級のダイレクトリサーチサービス『ユニーリサーチ』
「ユニーリサーチ」は、調査会社を介さずに「最短当日・従来調査費用の10分の1以下」での様々なリサーチを可能にする国内最大級のダイレクトリサーチサービスです。数万人の多様なユーザーにアプローチでき、基本属性の選定や事前設問によるスクリーニングで調査の目的に沿わないユーザーとのミスマッチを防止します。
「オンラインインタビュー」や「アンケート」などのリサーチサービスで、インサイトを得るための情報収集が可能です。2024年12月時点で、登録企業2,500社、累計リサーチ件数50,000件を突破した「ユニーリサーチ」をぜひこの機会にご検討ください。
