UXリサーチとは?手法やマーケティングリサーチとの違いを解説
顧客満足度を向上させるためのユーザーファーストが重視される中で、ユーザーが求める体験を設計するための「UXリサーチ(ユーザー・エクスペリエンス・リサーチ)」は様々な企業で取り入れられるようになりました。
本記事では、UXリサーチの手法や事例を詳しく紹介します。
UXリサーチとは?
「UXリサーチ」とは、商品やサービスの利用を通して得られるユーザー体験に関する調査です。「UX」は「ユーザーエクスペリエンス(User eXperience)」の略で、ユーザーが商品やサービスの利用を通して得る体験のことを指します。購入前に他の商品と比較する時、不具合が生じてアフターフォローを申し込む時、といった利用前後の体験もUXに含まれます。
より良いユーザー体験はコンバージョン率や顧客満足の向上にもつながります。ユーザーの体験(UX)がより良いものとなるように企画・設計することを「UXデザイン」と言い、このUXデザインに活用するための情報収集が、UXリサーチの主な目的のひとつです。
UXリサーチとマーケティングリサーチの違い
UXリサーチでは「ユーザー体験」の向上を目的に商品やサービスの利用を通した体験を調査し、マーケティングリサーチでは新規顧客獲得や市場シェア拡大などといった「マーケティング課題」の解決を目的にユーザーのニーズや市場全体の動向を調査します。
UXリサーチでは実際に利用または試用したユーザーを対象に調査しますが、マーケティングリサーチの場合、調査の目的によっては自社の商品・サービスをまだ知らない人や利用したことがない人も対象とします。
▼「マーケティングリサーチ」についてのより詳しい記事はこちら
UXリサーチのメリット
UXリサーチを実施し、その結果を商品・サービスのデザインや機能に活かすことには、以下のようなメリットがあります。
顧客満足度の向上:リサーチで明らかになった課題や不満を解決するような改善を実施することで、より満足度の高いユーザー体験を提供できます。
コンバージョン率の向上:購入や登録などにスムーズに到達できるデザインや機能とすることで、コンバージョン率を向上させることができます。
競合との差別化:ユーザーが求める体験の提供により、他社との差別化を図ることができます。また、良いUXは信頼感を高め、長期的な顧客ロイヤリティの向上にもつながります。
コストの削減:問題点の早期発見・改善をすることで、無駄な機能開発を避け、コストを抑えることができます。
UXリサーチの適切な活用は、商品やサービスの市場での成功に大きく寄与します。
UXリサーチの手法には定性調査と定量調査がある
UXリサーチの手法には「定性調査」と「定量調査」があります。
定性調査と定量調査では、収集するデータの種類が異なります。定性調査は言葉や文章、行動といった数値化できないデータ、定量調査は客観的な数字で表すことができるデータをそれぞれ収集します。
定性調査(質的リサーチ)
UXリサーチにおける「定性調査」は、数値化できない行動や心理などを深く理解することなどを目的に実施されます。一般的には1名から数十名程度の少数のユーザーを対象とし、彼らの経験や感情に関する詳細を収集します。代表的な手法はインタビュー調査です。
▼「定性調査」についてのより詳しい記事はこちら
定量調査(量的リサーチ)
「定量調査」は、全体の傾向や関係性を明らかにすることが目的です。結果を数値化できるように調査を設計をして、多くのユーザーからデータを収集し、統計的に分析します。代表的な手法として、アンケート調査があります。
▼「定量調査」についてのより詳しい記事はこちら
定性調査と定量調査は互いに補完し合う関係にあり、両方の手法を組み合わせることで、より包括的なユーザー理解が得られます。
UXリサーチの基本の進め方と手法
UXリサーチには、課題を発見する「探索的リサーチ」と、課題解決のための仮説を検証する「検証的リサーチ」の大きく2つがあり、状況に応じて使い分ける必要があります。
プロジェクトの初期段階からUXリサーチを取り入れる場合は、探索的リサーチで発見した課題に対する仮説を立てたあと、その仮説で課題を解決できるかどうかの検証的リサーチを行うという進め方が一般的です。
それぞれのリサーチとよく使う手法について詳しく解説します。
探索的リサーチ
「探索的リサーチ」は、ユーザーのニーズなどを広く探り、課題を発見することを目的として行います。
具体的な仮説がまだ決まっていない段階で実施することが多く、潜在的なニーズや課題、新しい視点を得るための基本的なステップです。
探索的リサーチの手法を3つ紹介します。
インタビュー
「インタビュー」では、インタビュアーがユーザーにテーマに対する意見やニーズ、経験などを聞き、質問を重ねて深堀りしていきます。深く詳細な情報を得るのに効果的で、主な種類としては「デプスインタビュー」と「フォーカスグループインタビュー」があります。
▼「インタビュー」についてのより詳しい記事はこちら
アンケート
「アンケート」は様式化した同一の質問に対しての回答を得る調査方法です。広範囲の情報を得ることで、ユーザーの傾向や満足度を分析します。
短期間で多くの人々からの回答を得やすいため、UXリサーチの初期段階で大まかな方向性を効率よく把握するのにも適しています。
▼「アンケート」についてのより詳しい記事はこちら
競合分析
「競合分析」では、競合他社の商品やサービスについて調査・分析します。競合のUXを理解して良い点や課題を見つけたり、競合のユーザーがどんな要素を重視しているかを把握したりすることで、自社商品の位置づけを確認し、差別化戦略を立てるための重要な情報が得られます。
検証的リサーチ
「検証的リサーチ」は、探索的リサーチの結果などから発見した課題を解決するための仮説を検証することを目的に実施します。仮説をもとに開発または改善をした機能やデザインがユーザー体験にどのような影響を与えるか、設定した課題を解決できるか、を測定します。
検証的リサーチの主な手法を3つ紹介します。
ユーザビリティテスト
「ユーザビリティテスト」は、ユーザーが実際に商品やサービスを使用する時の「ユーザビリティ(使いやすさ)」を評価するテストで、主にWEBサイトやアプリケーションの設計・改善に用いられます。実際にユーザーに商品を使ってもらい、その時の行動を観察したり、意見を収集したりすることで、使用感や利便性、課題を明らかにします。
ユーザビリティテストを行うことで、設計のフィードバックを得やすくなります。また、開発プロセスの早い段階で行うことで、後々の修正コストを削減しながら、UX全体の質を高める効果が期待できます。
▼「ユーザビリティテスト」についてのより詳しい記事はこちら
A/Bテスト
「A/Bテスト」は、2つの異なるバージョンの商品や機能を比較し、どちらがより効果的かを判断するテストです。テスト対象グループのユーザーを2つに分け、一方にはAバージョン、もう一方にはBバージョンを提示します。
ボタンの色や配置といった細かい要素から、ページデザイン全体まで、様々な対象を対象に検証可能です。ユーザーの反応をデータとして明らかにし、よりユーザーに受け入れられるバージョンをリリースできます。
アクセス解析
「アクセス解析」は、WEBサイトやアプリの利用状況を集約し、ユーザーの行動や興味を分析する手法です。クリック率やページ遷移、滞在時間などを調査し、ユーザーがどの機能を多く使っているか、どこで離脱しているか、といったことを分析します。
結果をもとに導線の整理や離脱が多い箇所の改善などを行うことで、UXを向上させることができます。
UXリサーチの実例紹介
インタビュープラットフォーム『ユニーリサーチ』の導入事例の中から、UXリサーチに力を入れられている企業様の実例をご紹介します。
株式会社エイチームライフデザイン様
株式会社エイチームライフデザイン様は、結婚式や引越しなどのライフイベントに寄り添ったWEBサービスを提供する企業です。お客様のインサイトをより深く理解するための手法としてUXリサーチを取り入れています。
自社が得意とする「定量分析」と、ユーザーインタビューをはじめとした「定性分析」を組み合わせ、お客様のニーズを立体的に捉えるUXリサーチを推進しています。
▼「株式会社エイチームライフデザイン」のユニーリサーチ導入事例
リサーチ期間は半分に、改善サイクルが高速化。定量×定性調査のUXリサーチで顧客インサイトを探る
株式会社メルカリ様
以前からお客様の声を重視する文化が根付いていたメルカリグループでは、2018年11月にメルペイにUXリサーチの専任組織が立ち上がりました。
現在のUXリサーチチームはメルカリグループ横断の組織で、専任のリサーチャーが株式会社メルカリ、株式会社メルペイ、株式会社メルコインなどのプロジェクトをサポートしています。
取組みの1つである「ウィークリーリサーチ」では、毎週4人のお客様にお願いし、インタビューなどの実施機会を設けるというルーティンを数年継続しています。
▼「株式会社メルカリ」のユニーリサーチ導入事例
https://unii-research.com/business/case/mercari/
株式会社LIFULL様
株式会社LIFULL様は、不動産・住宅情報サービスの「LIFULL HOME'S」をはじめとした幅広い事業を通じて、社会課題解決に取り組む企業です。2017年にはユーザーファースト推進グループを新設し、UXリサーチを積極的に推進しています。
組織のUXに対する成熟度を6段階で評価する「UX成熟度」を導入し、開発チームごとに成熟度を可視化しています。
組織のUXに対する成熟度を6段階で評価
出典:ニールセンThe 6 Levels of UX Maturity(nngroup.com)をもとに(株)プロダクトフォースが作成
「UX成熟度」が高いチームでは、ユーザーを中心に据えた会話が自然になされており、UXリサーチで自分たちの仮説を後押しするような結果が得られなかった場合も素直に受け入れ、開発に繋げられているそうです。
▼「株式会社LIFULL」のユニーリサーチ導入事例
[株式会社LIFULL]「おしゃべり」から気軽に始められるUXリサーチ 「UX成熟度」のレベルアップに貢献!
UXリサーチの効率化なら国内最大級のインタビュープラットホーム『ユニーリサーチ』
UXリサーチのためのユーザーインタビュー効率化には「ユニーリサーチ」がおすすめです。ユニーリサーチは、「最短当日・従来の調査コストの10分の1以下」でのユーザーインタビューを可能にするセルフリサーチサービスです。数万人規模の多様なユーザーにアプローチでき、事前設問によるヒアリングで調査の目的に沿わないユーザーとのミスマッチを防止します。スタートアップ企業や、大企業の新規事業部門など、従来の調査サービスを利用できていなかった顧客層を中心に導入いただいており、2024年9月時点で、登録企業2,230社、累計インタビュー数42,000件を突破しました。